店舗レベルを知り、取り組みの優先順位を決める ~従業員エンゲージメントの違いが前年売上対比10%以上の違いに!~
株式会社ストライプインターナショナル
earth music&ecologyを中心に、14のファッションやライフスタイルブランドを展開する株式会社ストライプインターナショナル。顧客、従業員、関係企業に対し、家族の次に信頼される関係になるという想いを込めた「セカンドファミリー」を経営理念に掲げる同社の顧客満足度覆面調査と従業員エンゲージメント調査の活用方法を伺った。
――従業員エンゲージメント調査「tenpoketチームアンケート」を導入された経緯を教えてください。
2018年2月にマネジメント体制を変えたことがきっかけです。これまでは、スーパーバイザー制度を取り、一人のスーパーバイザーが4~5店舗を担当し、売上管理、在庫管理、人員調整、スタッフのモチベーション向上など多岐にわたって、深く店舗指導に関わっていました。その状態ですと、店長がスーパーバイザーを頼るようになり、自分で考える店長が少なくなって、組織としての成長が止まってしまうと感じていました。そのため、自走できる店長を作っていくために、スーパーバイザー制度からサポーター制度に変更しました。
サポーター制度とは、人員調整やスタッフのモチベーション向上やCS指導を行う「エリアサポーター」と在庫管理や売上向上施策サポートを行う「ブランドサポーター」の二人のサポーターが、一つの店舗に関わっていく制度です。一人のサポーターが担当する店舗数が30~35店舗に増え、フォローする店舗の優先順位をつける必要が出てきたため、従業員エンゲージメント調査「tenpoketチームアンケート」を導入しました。
お話をお伺いした、人事部教育チーム 後藤 千枝氏
――顧客満足度覆面調査「ミステリーショッピングリサーチ」を導入された経緯もお教えいただけますか?
以前は、社内のロープレ大会を顧客満足(以下、CS)向上の施策として行っていたのですが、どうしてもロープレ大会で優勝するためにという目的で取り組む店舗が出てきて、入賞したスタッフが現場ではロープレ大会で実演したようなことができていなかったり、リアルな店舗の実情とは異なってくるようになりました。また店舗ごとにお客様の特性が違い、求められるCSレベルが異なりますので、画一的な指標ではなく、各店舗の実情に合わせた調査ができるようにMS&Consultingさんのミステリーショッピングリサーチを導入しました。
――従業員エンゲージメント調査「tenpoketチームアンケート」や顧客満足度覆面調査「ミステリーショッピングリサーチ」をどのように活用されていますでしょうか?
CSの重要性は店長も理解していたのですが、CSを向上させようと言っても、従業員エンゲージメントの状態が整っていないと取り組みを進めていくことができませんでした。あるいは、取り組みが継続されないということが起きていました。
そのため、店舗の実情に合わせて、
■今は従業員エンゲージメントに取り組むべき状態
■CSに取り組むべき状態
■従業員エンゲージメントとCSが整っているので、売上拡大を目指し新規客獲得の販促施策に取り組むべき状態
と取り組むべきテーマを設定しています。
ミステリーショッピングリサーチとtenpoketチームアンケートによって各店舗のCSとエンゲージメントレベルが分かるので取り組むべき内容に優先順位をつけることができるようになりました。店長は現場にいると、本部からの指示などいろいろやらないといけないことが多くなり、思考停止に陥ってしまいます。そのため、何から手を付けたら良いのかが明確になったのはとても良いと思います。
表1|各店舗のtenpoket結果に合わせた解決策の指針
実際、従業員エンゲージメントが高い店舗はお客様の不満比率が低く、予算達成率や売上前年比が高いことが分かりました。Dランクの店舗とSランクの店舗で、売上前年比で10%以上違いがあることは驚きでした。
この結果を見て、店長たちは会社が推し進めていこうとしていることに対して、確信が持てたと思います。
表2| Aランク以上になると、お客さまの不満がグッと減る
――今後の展開をお教えください。
当社は経営理念を「セカンドファミリー」としております。この理念には、家族のように、お客様や店舗スタッフ、本部スタッフ、関係会社に接していき、家族の次に信頼感のある関係になりましょう、という想いが込められています。企業ですので、当然売上を上げていくことは必須なのですが、関係の質を高めて、売上を上げていくという順番を大切にしています。
「tenpoketチームアンケート」の結果が上がることで、スタッフとの関係性が高まっていることが分かり、ミステリーショッピングリサーチの結果が上がることで、お客様との関係性が高まっていることが分かります。その結果、売上が上がっていくという売上を上げるプロセスを大切にしていきたいと思っております。
表3|Sランクの店舗は売上前年比も高い。
※取材・文:砺波 敬之
※記載されている会社概要や役職名などは、インタビュー(掲載)当時のものです。