店長は一人の「経営者」 店舗から広がるラッシュの理念
株式会社ラッシュジャパン
代表者:ロウィーナ バード 代表取締役
所在地:神奈川県愛甲郡愛川町中津4027-3
設立年月:1998年10月1日
会社ウェブサイト:http://www.lush.co.jp
事業内容:自社ブランド (LUSH) 化粧品の製造・販売・輸出入、SPA施設
展開するブランド:LUSH
社員数:正規約600名、パート・アルバイトなど約1,200名
『季刊MS&コンサルティング 2015年冬 特別号「サービスの強化書」』掲載
※記載されている会社概要や役職名などは、インタビュー(掲載)当時のものです。ご了承ください。
英国生まれのフレッシュハンドメイドコスメの製造・販売を手がける株式会社ラッシュジャパン。ヨーロッパのマーケットを思わせる色彩豊かな店内で展開する 人気の同社の石鹸・入浴料、スキンケア・ボディケアアイテムは、オーガニックな野菜や果物をたっぷり使用し、国内の製造工場にて、愛情をこめて作られてい る。
顧客へ「ラッシュライフ」を提供する
こうしたこだわりの商品を日々の生活に取り入れることで、暮らしをより楽しく豊かなものにする。これを同社では「ラッシュライフ」と呼ぶ。顧客に「ラッ シュライフ」を提供するために、スタッフは店舗に訪れる顧客に、日常のスキンケアについて詳しくヒアリングしながら、一人一人のニーズに合った商品を紹介 する。
同社の接客の特徴は、一人の顧客に対して複数のスタッフが対応するチーム接客である点だ。これには、スタッフ一人一人の知識や接客力のバラツキをチームで カバーし、顧客満足を高める狙いがある。チーム接客を円滑に行うために、「チーム内での情報伝達・共有の仕方が特に重要。『シンプルに伝えること』『理由 と目的を伝えること』を心掛けている」と語るのは、東京ドームシティラクーア店店長の武笠氏。2013年に導入したミステリーショッピングリサーチも、本 部から届いた次の日の朝礼で全員に共有し、皆で課題を設定している。
一人のお客さまに複数のスタッフが対応する。スタッフ間の商品知識や対応力の差を埋めるだけでなく、いつ来ても知っているスタッフがいて、温かく迎えられる環境を作っている。
店長は一人の経営者
同社では、店長が店舗運営に関するほぼすべての権限を持っている。接客方法に関しても各店長に任せられており、 本部作成のマニュアルはない。先の武笠氏は、「当店は遊園地という立地柄、さまざまなお客さまが来店されるので、『一つのアトラクションとして楽しめるお 店』を目指している」と話す。東京ドームでのコンサートに合わせて毎年来店する顧客もいるほど、ファンが定着しているという。
店長の権限が大きい同社では、店長のスキルが一般の会社以上に重要な要素となる。そのため、厳しい店長昇格試験 を課しており、出店スピードが合格者を上回った場合でも既存店の店長が新店の店長を兼務することでカバーするなどで対応し、例外は認めない。厳しいシステ ムだが、横浜店店長の田本氏が「自分が教わってきたように、『仕事が楽しい』『スタッフの顔を見るのが楽しい』というお店を増やしたい」と語るように、先 輩店長が直接後輩を教育する中で、マネジメントスキルだけではなく良好な風土の築き方も受け継がれているようだ。
一方、同社の本部では、各店長が店舗運営を行いやすいよう徹底してサポートする。店長会では各店舗のさまざまな取り組みや店舗でのトレーニング方法の共有 を行うなど、「本部からの指示」ではなく、店長同士が互いに学び合える仕組みの構築を行っている。こうした体制によって、同社ではより顧客ニーズに合致し たサービス提供に取り組んでいる。
各店舗では、毎月ミーティングを実施している。売上動向から始まり、店長会で共有されたゲーム感覚で実践できる追加提案のトレーニングなどを行っている。
東京ドームシティラクーア店では、朝礼で目標を発表し、終礼で確認を行う。例えば、「台風の日」に来店されたお客さまに楽しんでいただくための接客など、テーマを決めて発表している。