1人のゲスト(お客さま)に全員で関わることで、 美容室のディズニーランドを目指す
株式会社ann
代表者:築林 篤司 代表取締役
所在地:大阪府堺市北区百舌鳥赤畑町3-138-1
設立年月:1989年2月
公式ホームページ:http://www.annweb.co.jp/
事業内容:美容業、及び美容商品の販売
展開するブランド:ann(アン)8店舗
社員数:正規84名、パート・アルバイトなど5名(2013年11月時点)
『季刊MS&コンサルティング 2014年冬 特別号』掲載
※記載されている会社概要や役職名などは、インタビュー(掲載)当時のものです。ご了承ください。
細やかな心遣いで一人一人の気持ちに向き合うサービス
美容室のディズニーランドを目指すという株式会社アンは、1人の顧客に全員で関わることを重視し、顧客を直接担当しない場合でも立ち居振る舞いや笑顔、細かい所作に神経を注いでいる。例えば、ミステリーショッピングリサーチで「お見送り」を指摘されてから、全員で扉の外に出て姿が見えなくなるまでお見送りをするようにした。
また、顧客へのカウンセリングを三段階で行なっている。来店時、すぐに鏡の前に案内するのではなく、ファーストカウンセリングとして別室のテーブルで面談し、悩みや要望を聞き、施術内容を決めていく。中間カウンセリングとして、要望どおりになっているかどうか施術中に確認を行なう。施術後の最終カウンセリングでも1対1の面談形式をとり、仕上がりの感想をヒアリングし、次回の提案を行なっている。
このように顧客の期待通りになっているかを何度も確認し、ちょっとした不満や要望を伝えやすい雰囲気を作っている。
ゲストの笑顔
ビジョンの実現を支えているスタッフ育成
同社の教育理念の中心は、「人間味あふれる最高のおもてなしを提供できる人づくり」。技術だけではなく、高い人間性で顧客を感動させる教育に時間をかけている。毎日の朝礼時「13の徳目」に掲載されているテーマにそって、昨日の気づきと今日の行動目標の共有を行なう。また毎月「理念と経営」の読み合わせを行ない、5つ程の設問に対して自分なりに感じたことをまとめて本部に提出し、社長が一人一人にフィードバックしている。こうした取り組みにより人間教育を推進している(写真下)。
美容室のディズニーランドを目指して、3つのポリシー「永遠に未完成」「非日常の提供」「毎日が初演」を大切にし、その結果、「また行きたくなる美容室 日本一」を目指している。
一方、技術の向上も欠かさない。コスト削減プロジェクト(以下、PJと省略)、テクニカルPJ、営業企画PJ、CS向上PJ、ディズニーPJと社内を横串に組織した委員会がある。各店舗の代表者が集まり、その代表者がPJでの決定事項を各店舗に落とし込み、実行していく。コスト削減PJ、営業企画PJは店長、テクニカルPJは副店長、CS向上PJはナンバー3やナンバー4の立場のスタッフが行なう。各店舗に浸透させていくのは担当者の役割であり、責任感の向上にもつながっている。
また、ディズニーPJでは新人がディズニーランドへ行き、利用客に感動を与える仕掛けや仕組みを見つけ、共有している。
美容室は女性の多い組織である。そのため女性の長期的な雇用を生み出す目的で、準キャスト制とパートナーキャスト制を設けている。週休3日制や、週休2日の場合でも、妊娠や出産をした女性キャストが労働時間を短縮して働ける制度がある。その他、店長を3年以上勤め、優秀な成績を修めたスタッフは「のれんわけ制度」で店舗を持つことや、エリアマネージャー、社内トレーナーへのキャリアアップを選択することもできるといった制度も用意されている。