「ホスピタリティ」と「人」で売るメガネ
株式会社Zoff
代表者:上野剛史 代表取締役社長
所在地:東京都港区北青山3-6-1 オーク表参道6階
設立年月:1993年3月
公式ホームページ:http://www.zoff.co.jp/
事業内容:メガネ・サングラス、ケース、クリーナーなどの販売、その他の付属品の販売、その他上記に付帯する一切の業務
展開するブランド:Zoff
社員数:1128名、アルバイト含む(2013年4月現在)
『季刊MS&コンサルティング 2014年冬 特別号』掲載
※記載されている会社概要や役職名などは、インタビュー(掲載)当時のものです。ご了承ください。
「満足」の先を目指して
今でこそメガネの販売方法として認知が広がりつつある3プライス、30分仕上げというビジネスモデルだが、Zoffを展開する株式会社ゾフはその先駆けとして知られている。「お客さまに真心を持って接し、メガネを通じて社会に貢献します」という創業当初からの経営理念のもと、業界での競争が激しくなる中で、ホスピタリティを軸とした経営(人による差別化)を行なっている。その実践のため、Interest(人や行動に興味を持ち、相手の立場に立って考える)、Professional(販売員として、メガネ店員としてのプロフェショナル)、Speed(スピーディーに効率よく対応、運用)の頭文字を取った、IPSという独自の指標を社内で共有している。
このIPSを確立するまでには、多くの社員との議論や葛藤があった。当初は、顧客の満足度を指標とし「満足」の先を目指していた。しかし、そこには「大満足」はあっても「感動」はないのではないか?という疑問にぶつかった。そこから、自分たちにとっての「感動」とは何かを追求した。その結果、目の前のお客様に向き合い対応する人間力をホスピタリティ軸とし、当たり前のことを行う徹底度合いをサービス軸として、その両方を実現することが「感動」だと定義した。
洗練されたデザインの店内。また、視力測定は通常15分程度で、会計終了後、最短30分でメガネをお渡しするクイックサービスも大きな特長だ。
独自指標IPSにより一貫した価値観を共有
同社では日々届くお客さまからのお褒めの言葉やクレームをスタッフに向けて公開している。また、毎月の店長会ではIPSを評価基準とした表彰も行なっている。結果だけではなく、教育や議論といったプロセスを重視し、IPSについての意見交換会を数回に渡って行なうことで全店長への浸透を図った。今では「このケースはIが足りなかったね」「こういう場合はSを優先した方が良いね」など、店長との会話でも共通言語化しつつある。店長クラスを考え方の「インフルエンサー」として、各店舗のスタッフへさらに浸透させ、お客さまの「感動」に繋げていきたいと考えている。また、接客ロールプレイング大会での審査基準や、マイスター制度などの人事評価基準にもIPSを取り入れ、一貫したビジョンを社内で共有している。
このようなビジョンが、一部の人間によって作り上げられた「絵に描いた餅」ではなく、現実の取り組みとして実践できている理由は、やはり「人」にあるだろう。代表取締役社長の上野剛史氏は、「またこの人に会いたい」と思える魅力ある人物を採用基準において重視し、IPSの更なる充実を目指している。
お客様の立場に立った気付きを心掛ける店舗スタッフ。お客様との信頼関係を築くことで、リピーターの獲得につなげている。