【従業員エンゲージメント完全ガイド】基本の解説や取り組み方、成功事例まで一挙にご紹介
近年、企業と従業員の関係をより良いものに導き、離職率改善や生産性向上を実現する 「従業員エンゲージメント」という考え方に注目が集まっています。今回は、長年にわたり従業員エンゲージメントに取り組んできた弊社のコラムを抜粋、これを読めば「従業員エンゲージメント」の基本から実践までわかるようにまとめました。
目次[非表示]
- 1.従業員エンゲージメントとは?
- 2.従業員エンゲージメントと似た言葉との違い
- 3.ワークエンゲージメントとの違い
- 4.従業員エンゲージメントに取り組むメリット
- 5.人的資本経営と従業員エンゲージメント
- 6.従業員エンゲージメント調査、実施の流れ
- 7.エンゲージメント調査・向上ツールの選び方
- 8.現在地を知るための「tenpoketチームアンケート」
- 9.エンゲージメント研修で部下の働きがいを高められる管理職を育てる
- 10.土台をつくるための「従業員エンゲージメント向上研修」
- 11.従業員エンゲージメントが高い企業の取り組み事例
- 12.エンゲージメント向上の考え方
- 13.従業員エンゲージメント向上取り組みを実施するには?
従業員エンゲージメントとは?
従業員エンゲージメントは発展途上の研究分野で、統一された定義はまだありません。しかし、その目指す姿、つまり「従業員エンゲージメントが高い状態とはどのような状態なのか?」についてはどの研究においても概ね共通しています。
それは、従業員が会社が掲げる理念や目標に共感し、その達成に向けて熱意を持って主体的に仕事をこなしている状態です。平たく言えば、以下の2つが揃っている状態を指すと言ってもよいでしょう。
組織に対するエンゲージメント:組織と従業員の間に信頼関係と貢献関係が成り立っている状態
仕事に対するエンゲージメント:従業員の仕事に対する活力・熱意・没頭がある状態
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詳しくは下記の記事で解説しています。ご参考ください。
従業員エンゲージメントと似た言葉との違い
従業員エンゲージメントと似た概念に「従業員満足度」があります。これは、従業員が組織に対してどの程度満足しているかを示す指標です。具体的には、仕事の内容や給与・福利厚生・職場環境などの項目についての満足度を調査し、算出します。
従業員エンゲージメントとの大きな違いは、従業員満足度が「従業員が会社を評価する一方的な視点」であるのに対して、従業員エンゲージメントは「従業員と会社の双方向的な関係性を問う視点」であることが挙げられます。
その他、モチベーション、従業員ロイヤルティといった類似ワードとの違いは、下記のコラムで解説をしています。ご参考ください。
ワークエンゲージメントとの違い
「ワークエンゲージメント」は、仕事に対するエネルギッシュで充実した心の状態を指し、従業員のメンタルが健全かどうかを判断するための指標のひとつです。ユトレヒト大学のシャウフェリ教授らが提唱した概念で、従業員の仕事に対する活力・熱意・没頭の3つが満たされた状態と定義されています。
従業員エンゲージメントが、従業員の「会社に対する信頼感」と「仕事に対する熱意」の2つを計測する指標であるのに対し、ワークエンゲージメントは「仕事に対する熱意」のみを計測する指標である点が大きな違いです。
詳しくは下記の記事で解説しています。ご参照ください。
従業員エンゲージメントに取り組むメリット
従業員エンゲージメント向上に取り組むメリットとしては、以下の3点があります。
・「従業員」から選ばれる会社になる:採用ブランディングや離職防止につながります。
・「顧客」から選ばれる会社になる:仕事の品質が高まり顧客満足度向上につながります。 ・「資本家」から選ばれる会社になる:資本家の従業員エンゲージメントへの関心が高まっています。
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とりわけ近年は人手不足が深刻化しており、 人材確保施策のひとつとして従業員エンゲージメントに取り組む企業が増えています。 下記は飲食業や小売業などサービス業の10,565店舗対して行った調査結果です。実際に、「従業員エンゲージメント調査」のスコアが高い組織ほど「人手不足だと感じている比率」が低いことがわかります。
「従業員エンゲージメント」と「人材不足感」の関係
人的資本経営と従業員エンゲージメント
人的資本経営とは、企業が自社の「人」という経営資源を最大限に活用し、長期的な企業価値の向上を目指す経営手法です。近年、企業の価値が無形資産に大きく依存するようになり注目が集まっています。日本でも2023年3月期決算から有価証券報告書等での「人的資本の情報開示」が義務化されました。自社の人材についての情報を、投資家をはじめとするステークホルダーへ公開する流れがはじまったのです。
そして、内閣官房が公表した「人的資本可視化指針」で示された、人的資本の情報開示の6分野のひとつが、従業員エンゲージメントです。いくら従業員が高度な知識や能力を持っていても、彼らの意欲や組織への帰属意識を高める企業文化がなければ、その力を引き出せないためです。人的資本経営を成功させるためには、従業員のエンゲージメントを高める仕組みづくりが必要であるといえます。
人的資本可視化指針で示された6分野
※出典:非財務情報可視化研究会「人的資本可視化指針(p19~25)」より弊社作成
人的資本に関する情報開示のガイドラインである「ISO30414」については、以下の資料で詳しくご紹介しています。ご参考ください。
従業員エンゲージメント調査、実施の流れ
自社の従業員エンゲージメントの状態を知る方法が「従業員エンゲージメント調査」です。以下は、調査実施の基本的な流れです。
1.調査目的の整理
2.アンケート設問の設計
3.調査をなぜ行うのか、その目的を従業員に発信 4.回答の回収 5.結果の分析 6.課題と施策の整理 7.組織長へのフィードバック 8.改善施策の実施 9.改善施策の効果検証 |
さて、長年にわたって従業員エンゲージメント調査を実施してきた経験則から言うと、外してほしくないのは「8.改善策の実施」です。調査に回答したけれど結果がどう活用されたのか全く広報がない中で、翌年もアンケートの回答依頼がきたらとしたらどうでしょうか。アンケートに対するモチベーションが年々下がることは確実です。調査実施後、その結果をどう受け止めたのか、どのような施策を実施していく予定なのかなど、組織として何らかのフィードバックを従業員に対して行うことが大事です。
従業員エンゲージメント調査の目的や調査の流れ、活用方法については以下の記事に詳しくまとめていますのでご参照ください。
エンゲージメント調査・向上ツールの選び方
従業員エンゲージメントの重要性が高まる中、従業員の「エンゲージメントを計測するツール」や「エンゲージメント向上をサポートするツール」が様々に登場しています。これらのツールの導入を検討する際は、各種ツールを比較するポイントとして以下6点を押さえておくとよいでしょう。
1.導入目的を満たすツールか 2.サポート体制 3.価格 4.現場の負担なく導入できるか 5.業界特有のポイントが織り込まれているか 6.比較データ |
近年、様々に登場している従業員エンゲージメント調査・向上ツールについて、以下の資料で詳しく機能や特徴を紹介・比較しています。ご参考ください。
現在地を知るための「tenpoketチームアンケート」
従業員エンゲージメント調査を実施する際は、「全員の声」を集めることが重要です。「tenpoketチームアンケート」は、非正規雇用社員も含めたすべてのスタッフの調査を低価格で実施できるようにするため、人数単位ではなく組織数単位で価格が決まる従業員エンゲージメント調査です。業界標準値との比較分析や組織課題の抽出を通して、エンゲージメント向上のための優先順位をつけることができます。
エンゲージメント研修で部下の働きがいを高められる管理職を育てる
従業員エンゲージメントを高めたいと思った時、「上司のリーダーシップ育成」は外せないポイントです。以下は、弊社がサービス提供している、従業員エンゲージメント調査「tenpoketチームアンケート」のビッグデータ分析結果です。上司のリーダーシップが、スタッフの満足度やチームの遂行力といった他のカテゴリにも影響を及ぼし、エンゲージメントを高める起点となっていることがわかります。
そのため、「管理職向けのエンゲージメント研修」を行うことは、自社の従業員エンゲージメントを高めるための有効な策となりますが、研修プログラムを設計する際には以下のようなポイントを意識することが大切です。
1.行動につながる設計 2.管理職自身のエンゲージメントも高まる設計 3.個々の強みを開発できる設計 |
特に、「管理職自身のエンゲージメントも高まるプログラム設計」は意識してほしい点です。エンゲージメントには「伝染性」があるからです。管理職が高い意欲を持って仕事に臨んでいれば、その姿勢は部下にも自然と波及します。管理職研修では「部下のエンゲージメント向上」にプログラムの内容が集中してしまいがちですが、「部下」と「上司」の両方のエンゲージメント向上につながるプログラム設計を行うと効果的です。
下記の資料では、エンゲージメント向上研修のプログラム事例もご紹介しています。ご参考ください。
土台をつくるための「従業員エンゲージメント向上研修」
基礎知識から実践的な内容まで網羅し、マネジメント層のエンゲージメントに対する共通認識をつくります。また、CS調査に強みを持つMS&Consultingならではの、エンゲージメントとCSの連動を図るプログラムもご提供しています。
従業員エンゲージメントが高い企業の取り組み事例
さて、「従業員エンゲージメント」といっても、組織の抱える課題は様々であり、組織の課題にあった取り組みが求められます。例えば、弊社のコンサルティング先であるA社では従業員エンゲージメント調査を行い現在地の確認を行ったところ、管理職のコミュニケーション知識の不足が浮き彫りになり、管理職向け研修を実施、大幅に離職率を改善することに成功されました。一方で、B社ではマネジメント指標に従業員エンゲージメント調査のスコアを組み込むことで、マネジメントレベルを引き上げることに成功しました。
このように組織の抱える課題によって、従業員エンゲージメントを高める方法論は異なってきますが、共通しているのは以下3点です。
1.従業員エンゲージメントへの影響が大きい「上司力」の改善 2.診断ツールを使って課題を特定してからエンゲージメント向上施策を決定 3.「全社改善」か「部署毎改善」かの見極め |
詳しくは以下の記事で解説しているのでご参考ください。
エンゲージメント向上の考え方
高い従業員エンゲージメントは、チームワークを高め、離職を防ぎ、顧客満足を高め、業績拡大につながります。店舗ビジネスにおける過去の調査データを交えながら、わかりやすくエンゲージメントの考え方についてお伝えします。
従業員エンゲージメント向上取り組みを実施するには?
人手不足時代や人的資本経営時代に対応するためには、従業員エンゲージメントを向上させることが重要であることは上記のコラムをご覧いただいたことで、十分に伝わったかと思います。
従業員エンゲージメント向上を図るためには、「現在地を知る → 土台をつくる → 企業風土を改善する」といったステップを踏み、幅広い角度からアプローチすることが重要です。従業員エンゲージメントを強化・改善するノウハウが詰まったサービスページを公開していますので、ご確認ください。