店舗ビジネスでエンゲージメントツールを導入するメリットとは?5つの成功事例も紹介!
店舗ビジネスにおいてブランドイメージを高め、競争力を強化するためには、顧客と直接かかわる従業員のエンゲージメントを高め、彼らのやる気や能力を引き出すことが必要不可欠です。本コラムでは、従業員エンゲージメント向上をサポートしてくれるツールの導入メリットや、それらのツールを使って成果を上げた5つの事例をご紹介します。
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従業員エンゲージメントが成果を加速する
●チームAとチームB、どちらが良いチーム?
次の2つのチームがあった時、どちらの方が離職率が低く、また、良い業績をあげるでしょうか。
もちろん多くの人がチームAを選ぶと思います。ところが、実際の職場ではチームBの状態が生まれることがよくあります。原因は忙しさやコミュニケーション不足など様々ですが、その真因を突き止め、解決に導くためのキーワードが「従業員エンゲージメント」です。
●従業員エンゲージメントとは?
「従業員エンゲージメント」とは、従業員が会社のビジョンや目標、また、自分自身の仕事に対して誇りや熱意を持って主体的に取り組んでいる状態を指します。チームAは従業員エンゲージメントが高い状態、チームBは従業員エンゲージメントが低い状態です。
昨今、企業にとって従業員エンゲージメントの向上は、単なる人材管理の一環ではなく、企業競争力を高めるための重要な戦略要素となってきています。
●従業員エンゲージメント、何から取り組む?
では、従業員エンゲージメントに一体どう取り組めばいいのでしょうか?このコラムでは、従業員エンゲージメント向上をサポートしてくれるツールをご紹介、また、それらのツールを活用し成果につなげた5社の事例をご紹介します。同じツールでも、導入目的が異なれば使い方のポイントは異なります。自社の状況を念頭に置きながら読み進めていただければ幸いです。
エンゲージメントツールの2つの種類
さて、企業が従業員エンゲージメントの改善に取り組もうとした際に、その助けとなるのが様々に登場している「エンゲージメントツール」です。大きく分けて次の2つのタイプがあります。
【測定型】エンゲージメントの度合いを測定するためのツール
自社の従業員エンゲージメントの状態を計測し、可視化するためのツールです。従業員に対するアンケート調査を行い、結果を分析することで、エンゲージメントの度合いや離職リスク、組織課題などを可視化します。
「従業員のエンゲージメントを高めたいが何から手をつけていいかわからない」「効率的にエンゲージメントを高めたい」 といった場合には、最適な打ち手を見極めるために測定型のツールから導入することが有効です。
【向上型】エンゲージメントを向上させるためのツール
従業員のエンゲージメントを直接的に改善するためのツールです。例えば「1on1ミーティング支援ツール」「社内コミュニケーションを活性化させるためのツール」など多彩なツールがあります。改善したいポイントがすでに明確になっている場合は、向上型のツールを導入すると効果的です。
店舗ビジネスでエンゲージメントツールを導入するメリット
店舗ビジネスを展開する企業にとって、エンゲージメントツールを導入することで得られるメリットは以下の通りです。
●的確な経営判断が可能になる
エンゲージメントツールを導入することで、自社の従業員エンゲージメントの度合いや店舗毎のコミュニケーション状況といった、これまで見えていなかった部分をデータで可視化・分析できるようになります。また、エンゲージメントツールを提供する企業の多くは、ビッグデータを基に「同業他社との比較」や「異業種との比較」などを行える機能を持っており、自社の強みと弱みを客観的に浮き彫りにすることができます。このため、経営陣はより適切な意思決定ができるようになります。
●改善スピードが速まる
社内にノウハウが乏しい分野で問題解決をスピーディーに行うのは中々難しいものです。エンゲージメントツールは、過去の成功事例やノウハウに基づいて開発されており、これを活用することで、改善スピードを速めることができます。
●店長・店舗の改善を促進できる
店舗ビジネスでエンゲージメント向上に取り組む際は、「本部主導の全社施策」と「各店舗で取り組む個別施策」をバランスよく進めることが重要です。店長がスタッフのエンゲージメントに与える影響は大きく、店舗ビジネスにおいて従業員エンゲージメント向上に取り組む際は、各店舗の実情にあわせた個別施策も必要とされるからです。エンゲージメントツールはIT化が進んでおり、店舗毎にエンゲージメント改善に取り組む負担を減らしてくれます。
エンゲージメントツール導入成功事例【測定型ツール】
では、どのように従業員エンゲージメントツールを活用したらいいのでしょうか?具体的なイメージを持って頂くため、まず【測定型】のエンゲージメントツールを上手に活用し成果につなげた、3つの事例をご紹介します。
【事例1】離職率を大幅に改善(飲食企業A社)
5年で店舗数を2倍に拡大したA社では、アルバイトを含めた年間採用人数が1,800~2,000人の規模に拡大していました。結果、新人にかかる時間やコストが増大。「スタッフの定着率向上」に取り組み、必要な採用人数の膨張を防ぐ重要性が増していました。
◆取り組み◆
同社はまず、自社の現在地を把握するため、測定型のエンゲージメントツールである、従業員エンゲージメント調査「tenpoketチームアンケート」を導入しました。診断の結果わかったのは、上司の「部下に対するコミュニケーション知識の不足」です。
スタッフ定着率に影響の大きい課題を発見した同社は、「幹部/エリアマネージャー/店長対象の研修実施」「スタッフと本部のホットライン設置」といった取り組みを行い、上司との人間関係が原因と思われる退職者を前年比50%減少させることに成功しました。
◆まとめ◆
人材不足が続く現在、離職率を改善するために従業員エンゲージメント向上に取り組む企業が増えていますが、具体的な施策を取る前に、測定型のエンゲージメントツールを導入し、優先して解決すべき離職理由を特定してから取り組んだことで、成果につながった優良事例です。
>>株式会社トランジットジェネラルオフィス様の事例(詳しい内容はこちらから)
【事例2】業績・ES・CSを連立させるマネジメント体制の構築(アパレル企業B社)
B社で、従業員エンゲージメント調査「tenpoketチームアンケート」のスコアと業績の関係を分析したところ、「従業員エンゲージメントのスコアが高い店舗ほど予算達成率・売上前年比ともに高い」ことがわかりました。
◆取り組み◆
同社では、各店舗のマネジメント指標に、従業員エンゲージメント調査「tenpoketチームアンケート」のスコアを加えることにしました。また「まず従業員エンゲージメント、次に顧客満足度に取り組む」という方針を明確に示し、各店が自分達のエンゲージメントのスコアから取り組むべき改善施策の優先順位を判断できるようにしました。
<取り組み指針> エンゲージメントスコアが低い(B・C・Dランク)店舗➡チーム力アップから取り組む エンゲージメントスコアが高い(S・Aランク)店舗➡接客スキルアップに取り組む |
また、特に従業員エンゲージメントスコアが低い(C・Dランク)店舗には、エリアサポーターが支援に入り、立て直しを支えました。
◆まとめ◆
店舗のコンディションを「業績」だけでなく「従業員エンゲージメント調査のスコア」からも判断できるようにしたことで、店舗のマネジメントレベルを一段引き上げた優良事例です。
>>株式会社ストライプインターナショナル様の事例(詳しい内容はこちらから)
【事例3】店長育成に従業員エンゲージメント調査を活用(化粧品D社)
店舗ビジネスの場合、「店長のヒューマンマネジメント力」の差で、従業員エンゲージメントがどうしてもばらついてしまいます。この課題に取り組んだのが、化粧品販売のD社です。
◆取り組み◆
製造業が強い愛知県に立地するこの会社の周りには、給与や福利厚生の条件がとても良い企業が多数あります。そんな中にある中小企業の同社は「大きい会社」ではなく、人事や教育といった分野を強化して「幸せな会社」を目指すことを経営方針としています。
具体的に取り組んだのは、店長育成に従業員エンゲージメント調査「tenpoketチームアンケート」のスコアを活用することです。同社は、店舗ごとの従業員エンゲージメントの状態を公表、店長に自店の強み・弱みを押さえてもらい、次の調査までに改善に取り組んでもらうPDCAサイクルを確立しました。
◆まとめ◆
店長指導の際、上司の感覚的な判断だけでなく、客観的な数字に基づいて話をすることで、より的確な指導が行えること、指導を受ける側の納得度が増すことを活かし、店長教育を進化させた優良事例です。
>>株式会社くわこや様の事例(詳しい内容はこちらから)
エンゲージメントツール導入成功事例【向上型ツール】
次に、 【向上型】のエンゲージメントツールの導入事例を2つ紹介します。多くの企業で導入している「顧客アンケート」も活用を工夫することでエンゲージメント向上につながることもご紹介します。
【事例4】本部と店舗のコミュニケーションを改善(洋菓子販売D社)
従業員エンゲージメント調査の結果を分析したところ、本部と店舗のコミュニケーションのあり方に課題があることが浮き彫りになったD社では、コミュニケーションツール「tenpoketトーク」の導入を決めました。
◆取り組み◆
同社の従業員エンゲージメントを下げる一因となっていたのが、チームリーダー(複数店舗を統括するエリアマネージャー)の臨店時のコミュニケーションが「指摘中心」になっていたことです。洋菓子販売を行う同社の店舗はカウンター形式で常にお客様の目があるため、どうしても指摘や必要事項についてのやり取りばかりになっていたのです。
そこで、同社はtenpoketトークの「バッチ機能(賞賛や感謝のメッセージをバッチと一緒に贈れる機能)」を活用し、指摘中心から承認中心のコミュニケーションへの切り替えを図りました。
結果、エンゲージメントスコアを8.7ポイント改善することに成功。また、承認中心のコミュニケーションの重要性を学んだある店舗では、店内でも同様の活動を行い、昨対118%をたたき出すなど、活動が広がりました。
◆まとめ◆
店舗ビジネスではお客様が目の前にいる中で仕事をするため、スタッフ同士のコミュニケーションに割ける時間が限られています。そのため、店内コミュニケーションが業務連絡・改善事項中心になりがちで、承認や称賛のメッセージが不足しがちです。その点を向上型エンゲージメントツールを上手く活用し、改善した好事例です。
>>株式会社トップス様の事例(詳しい内容はこちらから)
【事例5】顧客アンケートを使ってスタッフの働きがい向上(体験施設B社)
顧客の満足度を調査するために、何らかの形で「顧客アンケート」を実施している企業が多いと思います。実はこの「顧客アンケート」も活用法を工夫することで従業員エンゲージメント向上につなげることができます。ご紹介するのは、子供たちのための職業・社会体験施設を運営するB社の事例です。
◆取り組み◆
同社では、顧客アンケートの結果から判明した課題について、本部が取りまとめて現場に指示するというトップダウンの進め方は取らないことに決めました。かわりに、スタッフ自身に顧客アンケートの結果に向きあってもらい、改善策を考え、実行してもらうという、スタッフ主体の進め方を取ることにしました。
その結果、「どうしたらお客様にもっと喜んでもらえるかを考える会議」が自発的に行われるようになったり、「部署間を超えた情報交換」が進むようになったりと、組織風土が変わっていきました。結果的に自分達の仕事がお客様の喜びにつながっている実感が高まり、働きがいを高めることに成功しました。
◆まとめ◆
店舗ビジネスの現場で働くスタッフにとって日々接するお客様に喜んでもらえている実感があるかないかは、従業員エンゲージメントに大きく影響します。「顧客アンケート」を現場のサービス品質チェックとしてのみ使うのではなく、よりお客様に喜んでいただくためのヒントが書いてあるツールと位置づけたことが、同社の従業員エンゲージメント向上の鍵となりました。
>>KCJ GROUP株式会社様の事例(詳しい内容はこちらから)
まとめ
以上、顧客満足度の向上やスタッフの離職率低減につながる「エンゲージメント向上」の重要性と、その改善スピードを速めてくれる「エンゲージメントツール」について、5つの実例とともにご紹介しました。
自社の状況に合わせて最適なツールを選び、効果的に活用することが、今後の店舗運営の成功に欠かせない要素となるでしょう。ぜひ、自社に合ったエンゲージメントツールの導入を検討してみてください。