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【データから読み解く】Z世代はどんな時に働く意欲が低下する?特徴を分析

何かと注目されることの多いZ世代ですが、彼らはどのような時に働きがいを感じ、どのような時に働く意欲が低下するのでしょうか?サービス業の現場で働くZ世代10,486名の従業員エンゲージメント調査データを分析した結果をご報告します。

 【調査概要】
 調査対象:飲食業、小売業などサービス業の店舗で働く従業員
 サンプル数:Z世代10,486名、ゆとり世代3,134名、プレッシャー世代以上5,902名
 調査エリア:全国47都道府県
 調査期間:2020年1月1日~2024年3月31日
 調査手法:従業員エンゲージメント調査「tenpoketチームアンケート」

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Z世代の定義

Z世代とは、一般的には1990年代半ばから2010年代初めに生まれた世代のことを指し、2024年現在の年齢では12~28歳前後の人が該当します。日本ではゆとり世代の次の世代として、デジタルネイティブ世代と呼ばれることもあります。

さて、Z世代が育ってきた時代には、以下のような社会環境の変化がありました。

  • インターネットやスマートフォン、SNSの普及
  • 日本経済の低成長や少子高齢化による閉塞感、安定志向の高まり
  • 社会貢献や環境問題、多様性への意識の高まり
  • リモートワークやハイブリットワーク、副業など、働き方の多様化

このような時代の中で育ってきたZ世代は、一体どのような時に働きがいを感じ、どのような時に働く意欲が低下するのでしょうか?

本調査では「1997年生まれ以降の人(2024年現在27歳より若い人)」をZ世代と定義して【図1】、Z世代10,486名、ゆとり世代3,134名、プレッシャー世代以上5,902名の従業員エンゲージメント調査の結果を比較・分析しました。Z世代のエンゲージメント向上&離職防止のポイントを報告します。

【図1】本調査での世代の定義

Z世代の特徴1|エンゲージメントを高めるポイント

【図2】は、従業員エンゲージメント(帰属意識=会社・店舗に所属し続けたいか)のスコアが「普通のグループ」と「高いグループ」でどのように異なるのかを分析した結果です。両グループの差が大きい項目順に並べ、Z世代のエンゲージメントを「普通」から「高い」レベルに引き上げるために重要な要素を考察しています。


【図2】Z世代のエンゲージメントを普通→高いに改善するヒント
※エンゲージメントが「高いグループ」と「普通グループ」で差が大きかった項目のランキング(判別分析)
【図2】Z世代のエンゲージメントを普通→高いに改善するヒント_従業員エンゲージメントデータ分析からの特徴分析 (1)


ポイント1: 改善意識の醸成

全世代共通で従業員エンゲージメント向上への影響度が1位となったのは「改善意識(会社・店舗をもっと良くしたいと思う意識)」です。自分も組織運営に関わっていると感じられるような会社づくりが、どの世代にとっても重要になっています。

特に、Z世代はSNSの普及期に育ったため、周囲からの評価や見られ方に敏感な傾向があり、意見を否定されることに強く反応しやすいとされています。Z世代に対しては「意識的に意見を聞く」「出してくれた意見にまず共感する」「意見を出してくれたことに感謝を伝える」といった対応を取り、彼らが安心して意見を発信し、組織改善に積極的に参加できるようなマネジメントスタイルが重要と言えそうです。


ポイント2:人間関係

「人間関係」や「仲間への思いやり」がエンゲージメントに及ぼす影響が、Z世代は他の世代と比べて大きくなっています。また、エンゲージメントが高いZ世代が、その理由について回答したコメントを見ると「仲がよい」「雰囲気がよい」というキーワードが他の世代の2倍以上の出現率になっていました。

Z世代は、他者とのつながりや共感を大切にする傾向があるとされています。「心地よい人間関係のある組織づくり」や「仲間への思いやりのある組織づくり」が、Z世代のエンゲージメント向上においてキーワードとなりそうです。

Z世代の特徴を踏まえたZ世代の離職を防ぐための研修プログラムもご紹介「管理職向け研修ラインナップ」_サービス資料

Z世代の特徴2|離職を防ぐポイント 

【図3】は、従業員エンゲージメント(帰属意識=会社・店舗に所属し続けたいか)が「低いグループ」と「普通のグループ」では何が違うのかを分析した結果です。両グループの差が大きい項目順に並べ、離職リスクの高いエンゲージメントが低いZ世代に対して、どのような点がエンゲージメント向上のポイントになるのかを考察しています。


【図3】Z世代のエンゲージメントを低い→普通に改善するヒント
※エンゲージメントが「低いグループ」と「普通のグループ」で差が大きかった項目のランキング(判別分析)
【図3】Z世代のエンゲージメントを低い→普通に改善するヒント_従業員エンゲージメントデータ分析からの特徴分析

ポイント1:上司との人間関係

Z世代のエンゲージメントを低い状態から普通程度に引き上げるためには「人間関係」が最も重要なポイントになっています。また、 「適正な評価」「(上司への)信頼」「(上司の)効果的な助言」など、直属の上司がエンゲージメントに及ぼす影響が、他の世代と比べて大きくなっています。Z世代はまだ多くのサポートが必要な若手スタッフとなるため、直属の上司との人間関係が及ぼす影響が大きくなっています。


ポイント2:心身の健康

「心身の健康」は、全世代でエンゲージメントに及ぼす影響が大きくなっています。その中で、エンゲージメントが低いZ世代のコメント回答を見ると「(人が)少ない」「シフトが(多い)」といった不満コメントが多くなっていました。他の世代と同等、もしくは、それ以上に、ワークライフバランスへや働き方への配慮がより重要な世代がZ世代と言えそうです。

Z世代の特徴3|本音の把握には、丁寧なやり取りが必要

【図4】は、エンゲージメントが低いZ世代が、不満の理由を記載してくれた回答欄で出現率の高かったワード一覧です。先述のように「店長」や「(人が)少ない」「(シフトが)多い」など、上司や人員不足に対するコメントも多い傾向が見られましたが、最も出現率の高かったワードは「特にない」です。

Z世代は不満の理由を言葉にして教えてくれない傾向があります。1on1や日頃のコミュニケーションを通して、彼らの本音を把握する重要性が高い世代と言えそうです。

【図4】エンゲージメントが低いZ世代のコメント回答の傾向
※エンゲージメントが「低いグループ」がコメント回答欄に記入したワードの出現率
【図4】エンゲージメントが低いZ世代のコメント回答の傾向_従業員エンゲージメントデータ分析からの特徴分析

まとめ

さて、Z世代の働きがいを高め彼らのポテンシャルを引き出すには、また、働く意欲の低下を避け離職率を下げるためには、どのような施策が有効なのでしょうか?今回の分析結果からの考察をまとめます。

ポイント1:「人間関係」「組織の雰囲気」の重要度が高い

Z世代では「人間関係」や「組織の雰囲気が良いかどうか」がエンゲージメントに及ぼす影響が、他の世代と比べて大きくなっています。コメント回答でも「従業員同士とても仲が良く、お互いがフォローしあって良い関係を築いている」「明るく頼りやすい雰囲気があり、忙しくても楽しく働くことができる」といった内容が多く見られました。関係性にもさまざまありますが、特に「働く仲間同士サポートしあえる関係性」「気さくに相談できる関係性」といった点が重要になりそうです。

ポイント2:「上司のリーダーシップ」の重要度も高い

Z世代では「適切な評価」や「効果的な助言」など、自身の上司を信頼できると感じているかどうかがエンゲージメントに及ぼす影響が、他の世代と比べて大きくなっています。Z世代は年齢が若いスタッフとなるため、直属の上司との関係性が及ぼす影響度が高くなっていると考えられます

ポイント3:Z世代の本音の把握には、丁寧なやり取りが必要

エンゲージメントが低いZ世代コメントに、その理由を聞いたところ、「特にない」というコメント回答が最も多くなっており、不満理由を言葉にして教えてくれない傾向がありました。1on1や日頃のコミュニケーションを通して本音を把握する重要性が高い世代といえそうです。

本考察がZ世代のスタッフにいきいきと活躍してもらうためのヒントになれば幸いです。


Z世代の特徴を踏まえたZ世代の離職を防ぐための研修プログラムもご紹介「管理職向け研修ラインナップ」_サービス資料


※分析:株式会社MS&Consulting データアナリスト 錦織浩志、執筆:株式会社MS&Consulting 児玉彩子

MS&Consulting 錦織浩志
MS&Consulting 錦織浩志
東京大学 大学院を修了後、MS&Consultingへ入社。データアナリストとしてビックデータの分析を担当。その知見を活かし、国立研究開発法人 産業技術総合研究所との共同研究の成果として、数々の共著論文を発表。研究テーマ例に「従業員エンゲージメントと顧客満足の関連性分析」「パート・アルバイトの従業員エンゲージメントの特徴」「サービス・ベンチマーキングによるサービス・プロフィット・チェーンの高度化に関する研究(サービス学会BestPaperAward受賞)」など。

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