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成功する1on1ミーティングのための準備や進め方を解説!

1on1ミーティングは、上司と部下のコミュニケーションを強化し、部下の成長とパフォーマンス向上を実現する強力な手段です。このコラムでは、1on1ミーティングの基本から、関係性に応じた進行方法、そして効果を最大化するための事前準備まで、1on1ミーティングを成功に導くための知識をご紹介します。

目次[非表示]

  1. 1.1on1ミーティングとは?
  2. 2.1on1ミーティングの望ましい頻度
  3. 3.部下との関係別、1on1ミーティングの3つの段階
  4. 4.1on1ミーティングの流れ
  5. 5.1on1ミーティングの前にやるべき3つのこと
  6. 6.1on1ミーティングの効果
  7. 7.まとめ

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1on1ミーティングとは?

1on1ミーティングとは、上司と部下が1対1で対話をするミーティングのことを指します。上司と部下のミーティングにもいくつか種類がありますが、その中でも部下の潜在的な力を引き出し、パフォーマンスや働きがいを最大限に引き出すことを目的に行うミーティングが1on1ミーティングです。

ですから、1on1ミーティングで取り扱うテーマは「部下の成長の支援」や「部下が抱えている問題の解決」などになります。1on1ミーティングの時間はあくまで部下のための時間であり、業務管理のための時間ではないことに留意して取り組むことが大切です。

1on1ミーティングの望ましい頻度

1on1ミーティングを行うべき頻度はチームの状況や部下との関係によって異なりますが、理想を言えば、月に1回以上は開催したいところです。間が空きすぎると1on1ミーティングの効果が発揮されない可能性が高いためです。

下の表は、パーソルホールディングス株式会社が行った「目標の達成度」と「1on1ミーティングの頻度」の関係を調査した結果です。1on1ミーティングの頻度について、調査対象者全体では「半年に1回程度」が最も多く30%を占めていますが、目標に対する達成度が「とても良い」職場では「週に1回程度」か「月に1回程度」行っているケースが多くなっています。
 このように、1on1ミーティングの頻度が多いほど目標に対する達成度も高くなっていることがわかります。


目標に対する達成度別1on1の頻度図:成功する1on1ミーティングの適切な開催頻度_調査データ

※出所:「組織マネジメントの実態調査レポート(2021年 11 月)」パーソルホールディングス株式会社より弊社作成


●まとめ

1on1ミーティングの効果を高めるために、「頻度」については以下の点を意識するとよいでしょう。

・定期的に開催する
・月に1回以上の頻度(前回のミーティングからのつながりが維持できる頻度)で行う


部下が多い場合は、1on1ミーティングの「頻度」ではなく「開催時間」を工夫します。例えば、月に1回は1時間じっくり話を聞く時間を確保し、その他の週は15分程度に短縮するといった取り組み方です。

部下との関係別、1on1ミーティングの3つの段階

さて、1on1ミーティングの最終目的は、先述の通り、部下の潜在能力を引き出し、パフォーマンスを最大化することです。その達成は、上司と部下が本音を話せる関係かどうかで変わってきます。以下に、1on1ミーティングの3つのフェーズ(段階)をご紹介します。本音を話せる関係でない場合は、フェーズ1から取り組むとよいでしょう。

図:成功する1on1ミーティングの3つの段階毎のテーマ設定

●フェーズ1:相互理解、信頼関係の構築

まずは本音を話せる関係を築くための土台を作ります。具体的には、上司と部下が互いに理解を深めるためのテーマを中心に1on1ミーティングを行います。例えば、「仕事のやりがい」や「強み・弱みの整理」といったテーマです。できれば、部下だけでなく、同じテーマで上司も自己開示すると、部下は安心して本音を話しやすくなりますし、お互いの理解も深まります。

●フェーズ2:経験学習を通して部下の成長を支援する

このフェーズでは、担当している業務についてテーマに取り上げますが、業務の進捗管理ではなく、経験学習のサポートに重点を置きます。

経験学習とは文字通り、経験から学ぶ学習方法です。実際に経験したことを振り返り、なぜ失敗したのか、あるいは成功したのかを分析し、次に活かします。日々の仕事から学ぶ力を育てることに成功すれば、成長速度は格段に変わります。とはいえ、毎日忙しく働いている部下は、手をとめて考える時間がないかもしれません。1on1ミーティングを経験学習の「経験→内省→教訓を引き出す→実践」というサイクルのうち「内省」に当たる部分にあてることで、成長をサポートします。


図:成功する1on1ミーティングと経験学習


●フェーズ3:自律的なキャリアの支援

キャリアに対する希望を整理し、将来のビジョンを持つことは、仕事への積極的な姿勢や働きがいを生み出します。フェーズ3では、部下のキャリアに関する考えを理解し、社内でのキャリアパスを描けるようサポートします。


1on1ミーティングは回数を重ねることで少しずつ内容が深まっていきます。フェーズにわけて段階的に部下の潜在的な力を引き出していきましょう。


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1on1ミーティングの流れ

1on1ミーティングは通常30分~60分ほどかけて行いますが、進め方は自由です。ここでは一般的な1on1の流れをご紹介します。

【チェックイン】話しやすい雰囲気をつくる

まず、部下が話しやすい雰囲気をつくることが大切です。1on1ミーティングの実施回数や部下が雑談に慣れているかでテーマは異なります。以下に一般的なチェックインのテーマを紹介します。

初めて開催する場合

1on1ミーティングは何のために行うのか、その目的を共有します。

定期的に開催している場合

前回の1on1ミーティングの内容やその後の取り組みを簡単に振り返ります。

雑談に慣れている部下の場合

部下がリラックスできる雑談から始めます。部下との関係性にあわせて、プライベートに関する雑談にするか、仕事関連の雑談にするかを決めると良いでしょう。


◆雑談例◆

・週末はどんなことをして過ごしたの?

・〇〇に行くって言ってたけれど、どうだった?

・この前チャレンジしたプレゼンテーション良かったね。どうだった?

・最近、仕事の進み具合はどう?

部下が緊張しやすい場合

毎回、同じ質問で始めるのがおすすめです。部下も回答を準備しておけるため会話がスムーズに始まります。


◆質問例◆
この1週間の業務は100点満点で何点だった?その点数だった理由は?

・この1週間にあった「良かったこと」「嬉しかったこと」をひとつ教えて。
・「質問リスト」を共有しておき、その中から部下に1つ選んで話してもらうのもおすすめです。

上司が運営に自信がない場合



【メインセッション】今回のテーマについて部下から話してもらう

いよいよ本題に入ります。今回のテーマとして選んだ話題について、部下に話してもらいます。この段階では、上司は部下の話を途中で遮らないように特に注意し、部下の考えや感情を丸ごと受け止めることが大事です。その上で、アドバイスをすべき局面なのか、それとも部下自身に考えさせた方が成長につながる局面なのかなど、どのように対応するのが最も良いかを判断します。

相互理解を深めるためのテーマ例
◆モチベーションの源泉を知るためのテーマ◆
・どうしてこの会社を選んだのか
・どんな時にモチベーションが高まるか
・どんなことにやる気が削がれるか
◆自己認識を深めるためのテーマ◆
・自分の強み、弱み
・どんな時にコンディションが安定するか
・チームの中でどんな役割を果たしたいか
◆上司に聞きたいこと◆
・会社のビジョンや優先事項
・上司の想いや経験
部下の成長を支えるためのテーマ例
◆目標や担当プロジェクトについて◆
・進捗状況、上手くいっているポイント、課題、課題解決のために考えていること、サポートが必要な点など
◆経験学習◆
・成功/失敗したこと、その要因、経験を通して発見した自分自身の新たな強み・改善点、次にどう活かすかなど
◆働きやすさについて◆
・どんな環境や働き方、上司のサポートがあれば、より力を発揮できそうかなど
キャリアを支援するためのテーマ例
◆キャリアの希望の整理◆
・仕事を通してどんな自分になっていれば成功と感じるか
・チャレンジしたい中長期の目標
・身につけたい知識やスキル
◆現在と未来をつなげる◆
・現在担当している業務がキャリアにどうつながるのか整理
・社内のキャリア制度への質問

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【チェックアウト】締めくくり

仕事に関する具体的な内容の1on1ミーティングだった場合は、部下が話してくれた内容を簡潔にまとめ、お互いの理解に違いがないか確認した上で、上司がすべきこと、部下がすべきことを整理します。最後は、部下から今日のミーティングの感想を話してもらうと、ポジティブな雰囲気で1on1ミーティングを終わらせることができます。

部下が気持ちを吐き出す時間となった場合は、あくまで解決するのは部下であり、上司はサポート役です。「話してくれてありがとう、気持ちを教えてくれて良かった」「いつでも聞くから、遠慮せずに相談してほしい」など、上司側の感謝やサポートの気持ちを伝えます。


【次回への準備】記録と準備

毎回の1on1ミーティングをつなげ内容を深めていくために、上司はミーティングの内容をメモに残し、部下と共有します。また、ミーティング後に良かった点や改善点を整理し、次回の進行に反映します。

1on1ミーティングの前にやるべき3つのこと

事前準備が整っていれば、1on1ミーティングの運営はスムーズになります。以下の3つを1on1ミーティングの前に行っておきましょう。


1.オリエンテーションの開催

1on1ミーティングを効果的に行うためには、上司だけでなく、参加する部下も、1on1ミーティングがなぜ重要で、どのような場であるべきなのか、その意義と進め方を理解しておく必要があります。この理解が欠けていると、ミーティングが形式的なものになり、期待する効果を得られません。1on1ミーティングを始める際には、上司はまずオリエンテーションを行い、目的や効果、そしてお互いの役割を部下に伝えることが重要です。全社的に導入する場合は、人事部がオリエンテーションを開催する方法も効果的です。

2.上司・部下ともに事前準備を行う

準備はシンプルに2つです。「①話すテーマの選定」「②そのテーマに沿って話す内容を考える」、これだけです。最初のうちは、すべてを部下任せにせず、上司がいくつかテーマを提案し、その中から部下が最も関心のあるテーマを選ぶ方法がよいでしょう。その上でテーマに沿って、部下は話す内容を準備します。上司は関連情報や当日取るべき姿勢を整理しておきます。また、慣れないうちは部下に話したい内容を事前に提出してもらい、それをもとに上司が具体的な対応をイメージしておくと、当日の進行がスムーズになります。

3.スケジュールを決めておく

スケジュールを事前に決めておくことで、上司と部下の双方が事前準備を行うことができ、1on1ミーティングの質を高めることができます。スケジュールを決める際は、「毎週火曜日の10時」や「毎月第1・第3水曜日の10時」など、定期的なスケジュールを決めてしまうのがおすすめです。ミーティングの継続性が保たれることで、上司は部下の進捗や課題をタイムリーに把握でき、必要なサポートを適切なタイミングで提供できるようになります。

図:成功する1on1ミーティングの事前準備

1on1ミーティングの効果

1on1ミーティングには次の効果が期待できます。

●部下のパフォーマンスの向上

1on1ミーティングを通して、経験学習が促されたり、上司との信頼関係が増し必要なサポートを適切なタイミングで得られるようになることで、部下の仕事のパフォーマンスが向上していきます。

●上司のマネジメント力の向上

上司は部下の個性を把握することができ、それに合ったマネジメントスタイルやサポート方法を選べるようになります。また、部下は安心して意見や情報を共有できるようになり、上司は問題を早期に発見し、迅速に対応することができるようになります。この結果、より効率的なチーム運営が実現します。


●従業員エンゲージメントの向上

下記は、日清食品と慶應義塾大学大学院システムデザイン・マネジメント研究科による共同研究資料です。エンゲージメントが高い従業員の働き方と行動パターンを分析した結果、エンゲージメントの高い従業員は、上司との頻繁で気軽な1対1のコミュニケーションを築き、主体的に業務に取り組み、困難な場面では適切なフォローを受けていることがわかりました。中でも、1on1ミーティングを適切な頻度で実施することが、エンゲージメント向上に有効であると実証されています。
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研究結果:部下のエンゲージメント別の上司像について

※出所:日清食品と慶應義塾大学大学院が「1on1ミーティング」の有効性を実証(日清食品グループ)」より引用

1on1ミーティングを通じて上司からの適切な支援を受けることで、部下のエンゲージメントが高まり、離職率の低下や働きがいの向上につながります。ぜひ積極的に取り入れてみてください。


【関連記事】従業員エンゲージメントとは?今さら聞けない定義や向上方法をご紹介

まとめ

1on1ミーティングは、部下との信頼関係を深め、個別のニーズに応じたサポートを提供する重要な機会です。組織のパフォーマンスを高める強力な武器である1on1ミーティングに踏み出すヒントに本記事がなっていれば幸いです。

また、長年にわたり従業員エンゲージメント調査を行っているMS&Consultingでは、1on1ミーティングのスキルを磨くための研修プログラムはもちろん、上司一人ひとりが自分の課題に向きあい成長するための研修プログラムもご提供しています。管理職の役割を一段高めたいとお考えの方は、お気軽にご相談ください。


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チーフコンサルタント 児玉彩子
チーフコンサルタント 児玉彩子
慶應義塾大学 経済学部を卒業後、経営コンサルティング会社に入社。多岐にわたる業界の組織開発コンサルティングに従事。2008年よりMS&Consulting所属。顧客満足度、ならびに、従業員エンゲージメントを高めるコンサルティングを担当。また、従業員エンゲージメントに関するノウハウ研究、コンテンツ執筆も担当。JHMA認定ホスピタリティ・コーディネーター。

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