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エンゲージメント向上研修で、部下の働きがいを高める!設計のポイントやプログラム事例

働きがいのある職場づくりは社員のモチベーションとパフォーマンスを高めるために欠かせません。しかし、そのためには管理職の適切な知識とスキルが必要です。本記事では、「部下の働きがいを高めるための管理職向けエンゲージメント向上研修」について、プログラム設計のポイントから、具体的なプログラム事例、実施の流れまで詳しく解説します。

目次[非表示]

  1. 1.部下の働きがいを高める! 管理職向けエンゲージメント向上研修
  2. 2.エンゲージメント向上研修|失敗しないための3つのポイント
  3. 3.エンゲージメント向上研修|プログラム事例
  4. 4.エンゲージメント向上研修|実施の流れ
  5. 5. まとめ

部下の働きがいを高める! 管理職向けエンゲージメント向上研修

そもそもエンゲージメントとは?

エンゲージメント(engagement)は、婚約・約束・誓約などと訳されるように「強いつながりをもった関係性」を示す言葉です。人事の分野では「従業員の会社や仕事に対する熱意や貢献意欲」といった意味合いで使われます。

熱意を持って働く従業員は、高いパフォーマンスを発揮するだけでなく、チームの雰囲気を高め、職場全体の定着率向上にも貢献します。こうした理由から、従業員のエンゲージメント向上は、企業経営において非常に重要な課題となっています。

上司のリーダーシップの影響力

では、自社で働く従業員のエンゲージメントを高めたいと思った時、何から始めればよいのでしょうか。下記は弊社が運営する、従業員エンゲージメント調査「tenpoketチームアンケート」に寄せられた回答を分析した結果です。設問を5カテゴリにわけ、それぞれのカテゴリがどのようにエンゲージメントに影響を及ぼしているのかを分析しました(因子間の関係性を分析する共分散構造分析を利用)。

結果、「上司のリーダーシップ」が、スタッフの満足度や主体性、チームの遂行力といった他のカテゴリにも影響を及ぼし、エンゲージメントを高めるポイントとなっていることがわかりました。

図1従業員エンゲージメント向上に影響の大きい要素(非分散構造分析の結果図)_管理職が部下のエンゲージメント向上に及ぼす影響


実際、全社のエンゲージメントの向上において「管理職」が果たす役割は極めて重要です。管理職は日々の業務を通じて部下と直接関わる機会が多く、その影響力が大きいからです。ざっと掲げるだけでも、下記のような力量を管理職が持っているかどうかで、部下のエンゲージメントは左右されます。

  • 企業が目指す理念やパーパスの共有
  • 成長機会の提供
  • 部下の貢献を正当に評価する
  • 困っている部下への適切なフィードバック
  • 好ましい職場文化の構築
  • 良質な日々のコミュニケーション

管理職が、部下のエンゲージメントを高められるように研修機会の提供や環境を整えることが求められます。

エンゲージメント向上研修|失敗しないための3つのポイント

管理職に部下のエンゲージメントを引き上げるスキルを身につけてもらうためには、専門的な研修プログラムが有効ですが、その効果を最大化するためには3つのポイントがあります。

ポイント1:行動につながるプログラム設計

部下のエンゲージメントを高めるためには、上司の行動が具体的に変化することが必要です。「学んだことをどのように実践するのかプランニングする時間を研修内に設ける」「研修参加者同士でグループを作り、相互に情報交換しながら、学んだことの実践に努めてもらう」など、学習内容を行動につなげてもらうためのプログラム設計が大切です。

ポイント2:管理職自身のエンゲージメントも高まるプログラム設計

エンゲージメント向上のための研修プログラムを開発する際、陥りがちな落とし穴があります。それは、部下のエンゲージメント向上にのみ着眼し、その上司である管理職のエンゲージメント向上を視野に入れていない研修プログラムになりがちなことです。例えば、「1on1ミーティングの運営ポイント」「部下評価のポイント」といった研修は、すべて部下のエンゲージメント向上のみに焦点が当たっています。

エンゲージメントには「伝染性」があります。管理職が高い意欲や熱意を持って仕事に臨んでいれば、その姿勢は自然と部下に影響を与えます。したがって、管理職自身のエンゲージメントを高めることは、組織全体のエンゲージメントを高めることにつながります。逆も同様です。管理職自身の仕事に対する意欲や熱意が低い状態では、どれだけ研修で知識を身につけても、部下に及ぼす影響は限定的です。


管理職向けのエンゲージメント向上研修を行う時は、「部下のエンゲージメント向上」と「管理職自身のエンゲージメント向上」の2つの視点を持ってプログラムを設計すると効果的です。

ポイント3:強みを開発できるプログラム設計

管理が得意なマネージャーもいれば、人心掌握が得意なマネージャーもいます。管理職が自分自身の強みや特性を理解し、それを活かせるマネジメントスタイルを強化することが能力を開花させる早道です。

このためには、自己分析やフィードバックを通じて、自分の強みと課題を明確にするプロセスを研修内に組み込むことがポイントです。また、自分らしさを活かしたスキルの向上は、管理職のエンゲージメントを高めることにもつながります。

管理職向けの研修を設計する時は、「計数管理研修」など全員一律で教えるプログラムと、「エンゲージメント向上研修」のように個々の強みや特性を認め伸ばすように設計すると良い研修とがあることを理解してプログラム開発を進めることがポイントです。

管理職向け従業員エンゲージメント向上研修_プログラム設計3つのポイント_まとめ図

研修テーマによっては3つのポイントすべては盛り込めない場合もありますが、「いずれかのポイントを使えないか」と考えながら研修プログラムを設計してみてください。

エンゲージメント向上研修|プログラム事例

従業員エンゲージメント調査「tenpoketチームアンケート」を運用している弊社が、実際にクライアントに提供している管理職向けエンゲージメント向上研修の中からプログラム事例を2つご紹介します。

部下の成長を促す「評価面談」

評価面談は、上司が部下のパフォーマンスを評価し、今後の成長や目標について話し合う重要な場です。効果的な評価面談を行うことできれば、部下の働きがいを引き出し、組織全体の成果を向上させることができます。

【プログラム設計のポイント】

有意義な評価面談にするためには、管理職が、評価に関する知識にくわえてコミュニケーションスキルを学ぶことが大切です。そして、コミュニケーションスキルの習得には、練習と実践が欠かせません。評価面談は「いつやるか」が決まっているものです。評価面談時期の数カ月前に研修を開催し、「数カ月後に実際に行う面談のシナリオ設計」や「評価面談ロープレ」を研修プログラム内で行い、学習内容をスムーズに実践できるようにします。

【プログラム例】

・部下の成長を促すコミュニケーション方法について学ぶ
・実際に行う評価面談を設計する
・評価面談のロープレを行い、練習する

図2_管理職向け従業員エンゲージメント向上研修_プログラム事例1 

新任管理職向け研修

リーダーシップやマネジメントにはさまざまなスタイルがあります。管理職は自分の強みや特性を理解し、それを活かせるマネジメントスタイルを見つけることが能力を開花させる早道です。

【プログラム設計のポイント】

管理職になったばかりで自分のスタイルを確立できていない新任管理職に対して、自分の強みを発揮したリーダーシップスタイルをイメージできるように導きます。また、自分の強みを見つけてもらうことで、管理職自身のモチベーションや管理職という仕事への意欲向上を目指します。


【プログラム例】

・自分の強みを知る
・自分のタイプにあったリーダーシップスタイルを知る
・研修後に取る行動を計画する

図3_管理職向け従業員エンゲージメント向上研修_プログラム事例2

エンゲージメント向上研修|実施の流れ

エンゲージメント向上研修を企画する時は、どのような流れで進めればよいのでしょうか。次に、実施の流れと留意しておきたい点について解説します。

管理職向けエンゲージメント向上研修を行う流れ


1.現状を把握する

すでに管理職の何を伸ばせばよいのか育成テーマが明確になっている場合は別ですが、まだ手探りの場合は「社員インタビュー」や「従業員エンゲージメント調査」などを用いて現状を把握し、どのような研修テーマがエンゲージメント向上につながるのか仮説を立てます。

例えば、弊社がご支援するA社では、従業員エンゲージメント調査の結果、「部下に対するコミュニケーションについての知識が不足している」という課題が浮き彫りになりました。そこで、管理職を対象としたコミュニケーション研修を実施したところ、上司との人間関係が原因の退職者を前年比50%も減少させることに成功しました。急がば回れです。まずは現状を把握し、課題を正しくつかむことで、その解決に最適な内容を研修に組み込むことができます。


【A社取り組み事例】離職率が大幅改善! エンゲージメント調査の結果にもとづく ”課題を絞り込んだ取り組み”とは


2.目標を設定する

エンゲージメント向上研修に限らず、研修あるあるが「結局効果があったの?」という終わり方です。そのようなことにならないように、研修で何を達成したいのか目標は明確にしておく必要があります。

ポイントは「学習目標」と「行動目標」にわけてゴールを設定することです。学習目標は「どのような知識を習得してほしいか」、行動目標は「研修後にどのような行動を起こしてほしいか」を設定します。また、数値化できる「定量目標」も設定できると、研修の効果測定と改善が進めやすくなります。

例えば、管理職向けに1on1研修を行う場合は、次のようなゴール設定が考えられます。

定量目標
・上司原因の離職率20ポイント低下
・エンゲージメント調査の項目
「上司への信頼」5ポイント改善

学習目標

・「聴くスキル」「質問スキル」の習得
 →次回研修時テストの平均80点

行動目標

・1on1を月2回実施
 →次回研修時にアンケート実施


このように「学習目標」と「行動目標」「定量目標」をわけて考えることで、今回の研修は「学習目標」だけだから講義中心にして最後にテストを行おう、今回の研修は「行動目標」が大事だから実践的なケーススタディやロールプレイを多く取り入れようといったように、研修プログラムの設計方針がはっきりしてきます。


3.最適な研修方法を選ぶ

次に、対面形式、オンライン形式、そのハイブリッド形式など、研修テーマに適した開催方法を選びます。開催方法によってプログラム設計のポイントが異なるため、プログラムの詳細を考える前に決めておくことがおすすめです。また、この段階で、自社で内製するか、外注するかの判断も行います。外注のメリットは、専門知識と豊富な経験を持った講師による研修を提供できること、研修を開発する時間を節約でき、他の重要な業務に集中できることです。自社の状況にあわせて選択しましょう。

図4_研修設計の流れ_研修開催形式を選ぶ_選択肢一覧


4.プログラムを設計する

研修を通して達成したい目標にあわせて「単発回研修」と「複数回研修」、どちらで実施するかを決め、各回のプログラムを設計します。エンゲージメント向上のプログラム設計の場合、先述した3つのポイントを意識してみてください。

〈3つのポイント〉

・管理職自身のエンゲージメントも高まるプログラム設計
・強みを開発できるプログラム設計
・行動につながるプログラム設計


5.研修効果の測定

研修の質を高めていくためには、研修後の評価が欠かせません。研修アンケートや確認テストの結果などから見えてきた課題を次回以降の研修に反映します。また、研修で学んだことを現場で実行し成果を出したメンバーに取材を行い、その内容を発信することは、参加者全体の行動の質と量を引き上げます。


6.経営陣のサポートを得る

研修の成功に経営陣の理解は不可欠です。経営陣が今回の研修の重要性についてメッセージを発信したり、時には自らも研修に参加しその姿を見せたりすることで、参加者の研修に対する前向きな姿勢を得ることができます。研修担当者は「企業戦略における研修の位置づけ」や「研修の進捗の定期報告」などを行い、経営陣が適切なサポートを提供しやすくなるようにします。

研修に使った時間を無駄にしないためにも、これらの手順や留意点を参考にしながら、自社にとって最適な研修開発の流れを整理していきましょう。

 まとめ

管理職向けエンゲージメント向上研修は、部下の働きがいを引き出し、組織全体の生産性を向上させる鍵となります。本記事では研修設計のポイントとして、下記のような点を取り上げ、ご紹介ました。

〈プログラム設計の3つのポイント〉
1.行動につながるプログラム設計
2.管理職自身のエンゲージメントも高まるプログラム設計
3.強みを開発できるプログラム設計


部下だけでなく、研修を受講する管理職自身のエンゲージメントも高まるような研修プログラムの開発に、本記事が役立てば幸いです。また、 MS&Consultingでは、従業員エンゲージメントを土台から高めるための多様なプログラムを提供しています。記事内でご紹介した研修プログラムのご提案も可能です。お気軽にお問い合わせください(詳細はこちら→https://www.msandc.co.jp/ee/service/training

チーフコンサルタント 児玉彩子
チーフコンサルタント 児玉彩子
慶應義塾大学 経済学部を卒業後、経営コンサルティング会社に入社。多岐にわたる業界の組織開発コンサルティングに従事。2008年よりMS&Consulting所属。顧客満足度、ならびに、従業員エンゲージメントを高めるコンサルティングを担当。また、従業員エンゲージメントに関するノウハウ研究、コンテンツ執筆も担当。JHMA認定ホスピタリティ・コーディネーター。
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