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部下を「褒める」ことの落とし穴


スタッフの望ましい行動を承認し、その行動を継続できるようにするためには「褒める」ことが有効な育成法と考えられています。しかし、サービス業の現場では、「褒める」という育成法にはいくつかの問題があることがわかってきました。その理由をご紹介します。


「褒める」のデメリット

皆さんは「褒める」という行為の場面としてどんな光景を真っ先に思い浮かべるでしょうか。



  • 家庭でお母さんが子供を「褒める」
  • 学校で先生が生徒を「褒める」
  • 部活動で先輩が後輩を「褒める」



こうして並べてみると気がつかれると思いますが、上から下へのコミュニケーションの中で用いられることが多いのが「褒める」という行為です。このことは「褒める」という行為が優位な立場を前提として行われていることを示しています。

場合によってはこの優位性は強権的な権威に繋がる恐れさえあります。こんな風に申し上げると何を大げさなことをとお感じになる方がいらっしゃると思いますが、部下が褒める立場の上司の顔色を窺う構図は案外職場の身近な場面で見受けられる光景です。このような場合に従業員スタッフの関心はお客様ではなく上司に向かってしまいます。おまけに上司が変わって新しい上司の褒める観点が違っていると、せっかく身に着けたはずの良いとされた行動習慣がすぐになくなってしまいかねません。

本来職場で求められる良い行動習慣はお客様からの視点に立って想定されることが基本です。上司の交替によって大きく左右されるものではないはずです。もし職場での行動の良し悪しの基準が上司個人の判断に大きく委ねられているのなら、それは上司による行き過ぎた職場の私物化の可能性があります。


上司の号令画像


「勇気づけ」という考え方

私たちは誰でも褒められれば嬉しいものです。しかし、はき違えてはいけないことはサービス業の現場で目指しているのは褒められることではなく、お客様に喜んで頂き、感動して頂くことです。従業員スタッフのサービス行動の動機として望ましいのは、上司から褒められることを望む他律的な行動欲求ではなく、お客様へのサービス提供者としての理想の自分への成長や自己実現への自発的で自律的な欲求です。そんな動機を胸に抱いた仲間たちで構成される職場を作り出すことが現場を預かる管理者の理想ではないでしょうか。


イッツマイジョブ画像


職場が目指すゴールは従業員スタッフ全員の努力と協力に基づいたチームワークで達成するものです。だとしたら、上下関係に関わらず職場の仲間同士で互いに承認し奨励しリスペクトしあえることが大切です。

従業員スタッフが提供するサービス行動でお客様の喜びや感動を生み続けていくためには、従業員スタッフは自律的に創意工夫をする力、瞬時に判断し行動できる主体性を持ち合わせていなくてはなりません。

これには自信と勇気が求められます。しかし、最初からそんな自信と勇気を持ち合わせている人はそうそういるものではありません。そんな時に職場の仲間達が後押ししてくれたらどんなに嬉しいでしょうか。不安な気持ちは癒され、自分への自信が深まり、仲間への信頼が深まります。


文責:株式会社MS&Consulting 




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