「勇気づけ」でスタッフの自信と主体性を引き出す
「褒める」ことが苦手な方は必見です。スタッフの不安な気持ちを癒し、自分への自信、仲間への信頼感を高める「勇気づけ」について、そのポイントを解説します。
「褒める」から「勇気づけ」へ
顧客満足を生み続けるには、スタッフ一人ひとりが自信と勇気、主体性を持っている必要があります。しかし、最初から自信や勇気を持ち合わせているスタッフはいません。
スタッフの自信と勇気を引き出したい。そんな時、これまでは「褒める」というアプローチが主流でした。しかし、「褒める」は使い方を間違えると、“お客様ではなく褒めてくれる相手を見て仕事をするようになる”“褒めてもらえないと動かない、自律性が損なわれる”というデメリットがあります。
そこで注目されているのが、自分への自信、仲間への信頼感を高めながら、自律性・主体性も損なわない「勇気づけ」です。
勇気づけの2ステップ
勇気づけには2つのステップがあります。
最初のステップは、普段からスタッフの表情や何気ない言葉にも興味関心を向けることです。そして、スタッフが心の底ではお客様に感動して頂きたいと真面目に考えていることに気づいてあげることです。これが、「寄り添い」のステップです。
次のステップは、その気持ち(お客様に感動して頂きたいという気持ち)が具体的なアクションにつながったのを見かけた時に、「気がついたよ」と伝えてあげることです。それは、言葉でも無言のアイコンタクトや微笑みでも構いません。周囲から思いがけないサインが送られることで、スタッフは一層強く自分の判断に基づいたお客様への感動提供への勇気と自信を深めることができます。これが、「認知のサイン」のステップです。
お客様の好反応がやる気の最大の源になることは言うまでもありませんが、こうして仲間から認知のサインが届き、自分は理解されていると感じることで、「やってよかった。よし、またやろう」というやる気がさらに強化されます。
また、勇気づけの「寄り添い」と「認知のサイン」の2つのステップは、横の関係の同僚や後輩からでも嫌味なく行うことができます。この点が主体者が上司だけの褒めるとは大きく異なる点です。
「勇気づけ」と「褒める」の違い
下の表は「褒め」と「勇気づけ」について影響を与える側と受ける側にわけてその傾向の違いを示しています。
「勇気づけ」の欄に書かれている内容からは安心できるのびのびとした雰囲気が感じられるのに対して、「褒め」の欄からはどこか緊張を強いられる窮屈さが感じられます。
勇気づけを職場の風土にする
先輩や上司の評価を気にしながらどこか不安げに振舞っていた若手スタッフが、やがて自信にあふれ、主体的にお客様に感動提供が行えるように脱皮していく陰では、たいていこの勇気づけを得ているものです。
興味深いのはお客様から支持されている優良店では勇気づけが職場の風土として根づいている場合が多いことです。そのような職場では上司や先輩からの「褒める」行為にとどまらず、そこから一歩先に進んで周囲の多くの仲間からの「勇気づけ」が当たり前のように行われているのです。
文責:株式会社MS&Consulting
店舗の実行力を高めるコミュニケーションツール「tenpoketトーク」