働きたい店舗アワード受賞! 収益に貢献する、 『アルバイトが企画運営するお店』のつくり方
「働きたい店舗アワード2021」において、ノミネート5,994店舗中 第1位の従業員満足度(ES)スコアを獲得した、株式会社イデックスリテール福岡、セルフ空港東サービスステーション。店舗オープンから1年半という短期間で高いES、また、油外収益増を実現した取り組みについて、松田知大店長、ならびに、販売一課 永松洋史課長に伺いました。
主役はアルバイト! お客様に一番近いからこそ立てられる「企画」がある
ーESスコアが突出して高いです。店舗運営にあたってどのようなことを大事にしていますか?
松田店長:アルバイトスタッフが気がついたことを、企画・提案できる環境づくりを大事にしています。接客の最前線に立つのはアルバイトスタッフです。つまり、アルバイトスタッフが「お店を良くする方法を一番知っている」ということ。その知見を活かすことが優れたお店をつくる近道だと考えているからです。
具体的には、アルバイトスタッフに「今月の重要テーマを実現するための企画」を毎月提案してもらっています。例えば、昨年の12月は、洗車プリペイドカードの販売方法を、スタッフ13名を3チームに分けて各チームに企画をプレゼンしてもらい1つを選ぶという流れで決めました。主体的に取り組んでもらえ、100枚程度の販売目標に対して700%の結果が出ました。
➊全体ミーティングを開催
今月の「目標数字」と「重要テーマ」を共有。
➋企画作成を任せる アルバイトに「重要テーマ」の具現策を作ってもらい、店長が確認・修正後に運用。
➌全員が参加できるように工夫する
「3人1組のチーム制で考えてもらい全員が意見を言えるようにする」「勤務日数の少ないスタッフのためにグループチャットでも情報を共有」など全員が参加できるように工夫。 ➍丸投げにはしない 「目標が達成できなそうな時の打開策の準備」「苦戦しているスタッフのサポート」など、店長はフォローにまわる。 |
アルバイトスタッフがみずから企画を考え、実行できる環境づくりは、
- お客様の声を店舗運営に反映できる
- イベントなどの取り組み成果が大きくなる
・・・など、「顧客満足度(CS)」や「収益」の向上につながるだけでなく、
- スタッフの成長を促す
- スタッフの働きがいが高まる
・・・といった「従業員満足度(ES)」の向上にもつながっていると思います。
お話を伺った、株式会社イデックスリテール福岡 松田知大 店長
「ぶれない将来像」がスタッフのやる気に火をつける
ー「アルバイトスタッフ主体の企画運営」に全員が本気で取り組んでくれています。なぜでしょうか?
松田店長:今は「洗車プリペイドカードの販売」「イデックスでんきの販売」といったCSと業績の両面につながるテーマで企画を考えてもらうことも多いですが、最初は「接客力の向上」から企画を任せました。
当店の周辺には競合店が多く、オープン前から接客レベルで勝負しようと考えていたこともあって「接客力の向上」を最初のテーマにしました。結果的に、自分達が考えた企画でお客様が喜んでくださる姿を目の当たりにすることができ、自分達が企画を担うことに前向きなってくれたと思っています。
【実際の接客事例】
お客様のそばにスタッフが常駐するようにして、お困りごとに先に気づけるようにしている。例えば、お母様が給油中にお子様がトイレに行く場合、車の通行が多い店内を一人で歩かないといけない。そういった時は、スタッフが付き添うといった対応を取っている。
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自分達が考えたことで、お客様が喜んでくれる、理想の店舗に近づく。このやりがいがスタッフの主体性を育てた。
現在も「ずば抜けた接客力で地域一番店になる」という目標をたびたび伝えて、何のための企画運用なのか目的がぶれないように気をつけています。
ー従業員満足度調査「チームアンケート」を、チームづくりにどのように役立てていますか?
松田店長:アルバイトスタッフに企画運営を任せることを軸に据えたマネジメントが間違っていないか、答え合わせのつもりで定期的に届く診断結果を見ています。今回は良い結果につながり、自分の方向性に自信を持つ裏づけになりました。
【圧倒的なESスコアを実現!】
※従業員満足度調査「tenpoketチームアンケート(2020年調査)」の結果より一部抜粋。
1年間の電気契約件数が急増!秘訣はアルバイトスタッフの「お客様想いの提案力」
ーアルバイト主体の環境づくりがもたらしている成果にはどのようなものがありますか?
松田店長:当店はセルフサービス店ですので、給油と洗車しか商品がありません。その中でロイヤルカスタマーを増やしていくために「イデックスでんき」という、一般家庭むけの電力販売を強化しています。販売を始めて1年足らずで、毎月の手数料収入がお店を支えてくれるまでにご契約者数を積み上げることができました。
成功した理由は2つあると思います。
➊「じっくり提案できる機会」を作り出す
ハウスカードのご入会されたお客様がカードを始めてご利用される時に詳しい使い方を説明するようにしました。そうすることで、「イデックスでんき」のメリットも座ってじっくりご提案することが可能になりました。
➋ あくまで「お客様のための提案」
ただ成果を出せたのは、そのチャンスを活かしてスタッフがお客様に踏み込んだヒアリングができているからです。「ずば抜けた接客力で地域一番店」を目指して、スタッフは日頃からお客様のことを本当によく見てくれています。よく見ていれば、来店時間やチャイルドシートの有無などの情報から、お客様の家庭環境が想像できます。すると「お子様小さいんですか?」「コロナでご自宅にいる時間が長くなって電気代が増えているという方にはおススメなんです」といった、お客様にあった会話をすることができます。
ただ電気をご紹介するのではなく、お客様のことをお伺いして、メリットがある方にはご紹介する、逆にメリットが出ないお客様には出ませんとはっきりお伝えする。誠心誠意で提案ができるスタッフが揃っている結果が、契約数に現れているのだと思います。
【ショップコンセプト&年間工程表】
※弊社研修で作成した年間工程表、緻密な準備で成果を導いている(頂いた資料を弊社編集・一部抜粋)
永松課長:この数字は他店の20〜30倍の成果です。アルバイトスタッフがここまで油外収益の成果を出しているというのは本当に驚異的です。お客様に喜んで頂いてその対価としてお給料をもらっているという感覚が、このお店で働く楽しさ、価値につながっていると思います。「ずば抜けた接客力で地域一番店」を目指し、これからも引き続き、CS、ES、ともに高みを目指すことができる店舗づくりを継続したいと思います。
取材:株式会社MS&Consulting 木村直人
取材日:2021年9月30日
※記載の数値や固有名詞などは取材当時のものです