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コロナ禍でも売上昨対102%!「実行力のあるチーム」が生まれた背景 ~働きたい店舗アワード受賞インタビュー~

「2021年度  働きたい店舗アワード」にノミネートされた5,994店舗の中で唯一の3スター獲得となった株式会社一心亭 函館広野店。圧倒的な従業員満足度を土台にコロナ禍でも売上昨年対比102.29%を達成、ロイヤルティの高い店舗を作られている伊藤支配人に「高い実行力のチームづくり」や「スタッフが店舗運営に主体的な理由」についてお伺いしました。

※働きたい店舗アワード:従業員満足度調査「tenpoketチームアンケート」を実施している企業・店舗の中から、特にスコアが高い企業・店舗を表彰する制度(2021年度働きたい店舗アワードの結果はこちら⇒)


ー売上が昨年対比102%と成果が出ています。どのような取り組みをされたのですか?

昨年3月頃から宴会予約がなくなるなど新型コロナウイルスの影響を受け始め、戦略を早急に変える必要に迫られました。幸いランチの売上はそれほど下がっていなかったので「ランチ比率の向上」「ランチのお客様をディナーにつなぐ」といった作戦を立て、取り組むことにしました。最初に行ったのは店舗ミーティングです。下記のような視点でランチ満足度を高める取り組みを話し合いました。

□ランチの客層は?
□その客層に満足いただくために何ができる?
□一心亭ランチの強みは?
□ランチでの不満で多い点は何?不満解消のために何ができる?


そして、一心亭の強みである「お肉の美味しさや鮮度」などは維持したまま、不満につながっている「提供スピード」を改善することに決まり、「感染症対策の徹底」と共に取り組みました。結果、昨年はランチ売上が135%アップし、クーポンを配布するなどランチのお客様をディナーにもつなげたことでディナー売上も125%アップ、ランチとディナーの伸びで宴会売上の落ち込みを補うことで、トータルでは売上昨対102%となりました。

[画像]取材_一心亭伊藤支配人
お話しを伺った株式会社一心亭 函館広野店 伊藤誉史支配人

ー「決めること」と「実行すること」の間には壁があります。迅速で、高い実行力を持つチームを生み出せたのは何故ですか?

「スタッフ主導で物事を決める流れ」を作ってあったことが影響しているように思います。きっかけは従業員満足度調査(tenpoketチームアンケート)です。前回調査では「自己決定感」と「提案力」のスコアが少し低くなっていました。そこで「社員が決めてスタッフに伝える進め方」から、「スタッフ″全員″の意見を取り入れて決める進め方」に修正しました。まず変えたのは、定期的に届く顧客満足度調査(ミステリーショッピングリサーチ)から取り組みを決める流れです。

①気づきシート

顧客満足度調査が届いた後、「気づきシート」を社内コミュニケーションツール(tenpoketトーク)を使って提出してもらいます。ここでスタッフ全員の意見を聞きます。

《気づきシート》
[画像]顧客満足度調査からの気づきシート_スタッフの意見をオンラインで集める
tenpoketトークより弊社編集。

②主要メンバーミーティング

社員とメインスタッフ約10名でミーティングを実施して、店舗運営を改善するための実行策を決めています。スタッフ主導で進めているので自分が発言することは、ほぼありません。司会進行もスタッフに任せています。

また、緊急度の高い課題がなければ、「気づきシート」からあがってきた課題を優先しています。スタッフ全員が自分事として取り組めるようにしたいからです。決まったことは「業務改善PDCAシート(下図)」に落とし込んで、結果まできちんと振り返るようにしてもらっています。

《業務改善PDCAシート》

[画像]顧客満足度改善シート(PDCAシート)
※頂いた資料を基に弊社編集。


この一連の取り組みで、自分の意見を発信すると店舗改善につながることをスタッフが理解できたのではないかと思います。今では「気づきシート」以外でも課題の提案をしてくれるようになりました。


ー「気づきシート」から、スタッフの皆さんが店舗運営について主体的に考えていることが伝わってきます。どのような働きかけをしたのですか?

提出してくれたことに感謝を示すこと、投稿に対して反応することを大事にしています。投稿に反応する時は「スピーディーに返信する(なるべく翌日まで)」「ポジティブな表現を中心にする」といったことにも気をつけていますが、特に「共感を示すこと」を大事にしています。

例えば、新人スタッフから「笑顔を頑張りたい」といった気づきが提出されたとします。その時「まずこうしてほしい」という気持ちはぐっと抑えて、本人がやりたいということに対して共感を示すことが大切だと思っています。自分の目線を押しつけるとスタッフによっては負担に感じてしまうからです。スタッフの目線に共感しながら、適切なアドバイスを伝えて視野を広げていってあげることが大事だと思います。

《気づきシート返信事例》
[画像]気づきシートへの返信_スタッフとのオンラインコミュニケーション優秀事例
※アドバイス以上に「共感」「感謝」のメッセージを大事にしている(tenpoketトークより弊社編集)


ー投稿への返信は大変ではありませんか?

日頃から「このスタッフは〇〇をやってくれた」などメモを取る習慣があるので、そんなに考え込まずに返信できています。「感謝カードをスタッフに渡す」ということに取り組んでいたのですが、その延長でメモが習慣になりました。意識的にスタッフの良いところを探して書き留めるようにすることで、的確で具体的なアドバイスだけでなく、ポジティブな内容が中心の返信をできるようになりました。

《感謝カード事例》
[画像]感謝カード


―土台には高い従業員満足度があると感じます。どのようなことを意識されていますか?

一心亭が掲げる「現場主義」というモットーを大事にしています。スタッフやお客様の動向を現場に出て自分自身の目で確認するという意味です。続けると少しずつ各スタッフの目線が理解できるようになってきます。その上でコミュニケーションを取ることでスタッフに寄り添ったマネジメントが可能になっていると思います。スタッフからは「やると決めたらやりきるところがすごい」と言われたこともあります。これからもスタッフとお客様にとって大切な場所となるようなお店を作っていきたいと思います。



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※取材:2021年8月10日
※記事:株式会社MS&Consulting 並木彩華
※掲載されている情報は2021年8月現在のものです。

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