catch-img

MSR全店平均10点アップ。 秘訣は情報の共有によるコミュニケーション頻度の高まり

株式会社 メリーチョコレートカムパニー

洋菓子・スイーツの製造・直販を行う「株式会社メリーチョコレートカムパニー」。主要な販売チャネルである百貨店にて、全国140店舗を展開する同社では、5年前からCS強化の為の部署を立ち上げ顧客満足度の向上に取り組んでいるという。数ある洋菓子メーカーの中から選ばれる店舗づくりについて、販売促進部 東日本CS担当課長 成田氏、西日本CS担当課長 白井氏、西日本CS担当主査 拝生氏にお話を伺った。

――顧客満足度の向上に取り組まれている理由を教えてください。

当社のコアターゲットは実店舗での購入をメインとする50~60代の女性です。また、主要チャネルである百貨店では、お客様の想いをくんだ対話力、知識の豊富さや、高級感などが求められていると考えています。食品小売はよく「商品ありき」と言われますが、当社の場合は「今日は〇〇さんいる?いないならまた来るね」「困ったときはあの人に相談しよう」と特定の販売員を目掛けて買いに来てくださるお客様が多くいらっしゃいます。販売員のファンになってくださるのはとてもありがたいことですが、いつ行っても、誰が接客しても、「また行きたい」と思っていただける売り場をつくり、スタッフ一人ひとりの接客レベルの向上と販売力の標準化をすることが最も重要であると考え、全店舗共通課題として取り組んでいます。

お話をお伺いした、成田氏、白井氏、拝生氏(左から)


――具体的な取り組みについて教えてください。

まず現状を把握するために、顧客満足度調査「ミステリーショッピングリサーチ」(以下、MSR)を使って、各店舗の強み・弱みを分析しました。すると、せっかくお客様がお店の前を通り掛かっているのに、スタッフがカウンターの中でお客様に背中を向け作業に夢中になって気付かないなど、「お出迎え」が弱い店舗が多いことがわかりました。物販の場合、10秒下を向いているとその間にお客様はお店を通り過ぎてしまいますので、せっかくの接客チャンスを失いかねません。そこで、10秒に一度は顔をあげるという「10秒ルール」に取り組みました。MS&Consultingさんの研修は、「10秒で人はこれだけ歩くんですよ」などと具体例を交えながらわかりやすく指導してくださるのが良いですね。すぐに取り組めそうなところから段階を踏んで課題に向き合ってくださるので、研修を受ける店長も納得感があるようです。

店舗スタッフには、この研修内容を連絡ノートで共有したり、店長が同じシフトの際にOJTを行っています。調査結果は自店舗のものだけでなく、他店舗の結果も共有することで競争意識が芽生え、全店舗の意識向上につながっています。また、アルバイトも含めた全スタッフの接客力を限られた時間の中で標準化するために「店舗チェックリスト」をつくり、各店舗でMSRの設問に沿って定期的にチェックできるようにしています。チェック頻度は各店舗に任せていますが、2ヵ月に1回は本部に提出することを義務付け、意識の定着化を図っています。本部施策は現場に浸透しづらいのではないかと思っていましたが、このチェックをすることで「意識付けになる」と現場からも好評で、始めてもう3年になります。このような活動をきっかけに、スタッフ同士、また店長とのコミュニケーションがとりやすくなり、スタッフから意見が出てくるまでになったことは成果の一つであると感じています。

そのほか、CSエリアリーダーによる巡回を年3回行っています。全国6支店(東京、札幌、仙台、名古屋、大阪、福岡)を13ブロックに分け、13名の店長に1年任期で巡回をお願いしています。同じ店長という立場の方が巡回するので現場の悩みを相談しやすいようで、この施策を通して、本部と現場の信頼関係がより強固なものになりました。

スタッフのモチベーションを上げる仕組みとしては、店舗単位でのインセンティブを付けています。選考基準は年によって異なりますが、今期は「年2回行っているMSRが、どちらも高得点だった店舗」と「過去8回のMSRの平均点が最も高かった店舗」にしました。評価を店舗単位とすることで、よりチームワークを向上させることが狙いです。

こうした取り組みにより、4年前のMSR導入期と比べて全店舗平均が10ポイントUPしました。また、数字以上の成果だと感じているのが、スタッフの取り組み姿勢の変化です。これまでの日報には、商品に対する要望が多かったのですが、最近では接客に対するコメントが増え、「お客さまがどんなことを喜んでくださったか」や「売り場がより良くなるように、研修頑張ります」といった内容が増えてきました。日報の記入率は、5年前と比べて40%アップとなり、CS向上の意識が波紋のように広がっていることを実感しています。

店舗チェックリスト


――今後の展望を教えてください。

お客様が求めているものをこちらから引き出せるように「ニーズ確認」の強化をしたいと考えています。当社の「想いを贈る」というコーポレートメッセージには、誰かに贈るために購入したお客様の想い、お客様に楽しくお買い物をしていただきたいという販売員の想い、作り手・職人の想い…さまざまな想いが込められています。こうしたさまざまな想いをくみ、お客様へ接することができるスタッフであってほしいです。CSはすぐに結果が出るものではありませんが、10年を区切りと考えると、ちょうどいま折り返し地点に入りました。これからもMSRや研修を通して、ワンランクアップした接客を目指します。



※取材:砺波 敬之  文:宮本 紗和 ​​​​​​​
※記載されている会社概要や役職名などは、インタビュー(掲載)当時のものです。

この記事を読んだ人は、こんな記事も読んでいます。

無料メルマガ会員に登録すると、メールマガジンで
「最新記事」や「無料セミナー・イベント」
情報が届きます!

pagetop