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お客さまの声を商品開発に活かす

株式会社フジデリカ・クオリティ

http://www.fujidelica.co.jp/


取材:砺波敬之 文:宮本紗和
※記載されている会社概要や役職名などは、インタビュー(掲載)当時のものです。ご了承ください。

中国・四国エリアに95店を展開するスーパーマーケット「フジ」。同店の惣菜製造加工及び販売を行う株式会社フジデリカ・クオリティでは、商品開発や現場の改善に2つの調査を活用している。1つは、一般客を装って店内の様子や店員の応対などを確認して調査・評価し、その場その瞬間にお客さまが受けた印象をレポートにした「ミステリーショッピングリサーチ」(以下、MSR)。もう1つは、インターネット上でライフスタイル調査や意識調査を行い、世代や世帯構成別に取得したデータを数値化して分析する「ネットリサーチ」。来店時の瞬間の印象を計るMSRと潜在的な記憶の印象を計るネットリサーチ、2つの調査の相乗効果について、専務取締役 営業担当 高橋伸二郎氏、CS推進・品質保証室 室長 阿達 信一氏にお話を伺った。

――CSに取り組む理由をお聞かせください。

高橋氏:惣菜製造加工及び販売を行う当社では、2014年から2016年までの中期経営計画にて、「総売上の3%を占める看板商品をつくる」という目標を掲げ、商品開発に注力してきました。会社設立時からの方向性である甘めで濃いめという伝統的な味付けを守りつつ、この3カ年は競合店との差別化戦略として、「尖った商品づくり」にもこだわり、自社工場にてさまざまな商品をつくっています。そうしたオリジナル商品を開発するためには、お客さまがどんなことに関心を持たれているのか、私たちはどんな演出で、どんな商品を供給すれば満足していただけるのか、お客さまの忌憚のない意見を知る必要があると感じ、御社のサービスを活用しています。

阿達氏:当社の商品の中に、「オリジナル鶏ももから揚げ」という甘めの伝統的な味付けのから揚げがあり、他に柚子やレモンなどで味付けし、季節で変化させるから揚げがあります。ベーシックな味付けを守りながら新たな味にも挑戦し、から揚げは年間5億円の売上を誇る大ヒット商品となり、看板商品の一つに育っております。また、揚げ物・焼き物の主力であるばら売りは、パック詰めの手間や、値付けシールを貼る必要がなく、オペレーションが楽なカテゴリーですが、ばら売りについて、「必要な分だけ購入できるので便利」と高評価をいただく一方で、包装材を使用しないため「外気に触れているのが衛生的に気になる」といったお声をいただくこともありました。

お話をお伺いした、専務取締役 営業担当 高橋伸二郎氏(左)とCS推進・品質保証室 室長 阿達 信一氏(右)。



そこで、できる限り多くのお客さまに喜んでいただける商品を提供したいという思いから、惣菜を購入する方々の消費行動を知るために20~60歳代の全国約200名に対し「ネットリサーチ」を実施しました。この中で、ばら売りに関する設問項目を入れたところ、85%の方がばら売りを支持してくださっていることがわかり、販売方法に不安を感じていたスタッフたちへの良い説得材料となっています。一方で、衛生面への関心の高まりにも対処するために、ばら売り用のトングは、全店1回使い切りに変更して統一しました。

高橋氏:そのほか、ネットリサーチの結果から「野菜がたくさん入った商品」に関心があることがわかり、「1/2日分の野菜が取れるサラダ」や、「野菜と食べる豚汁」などの商品開発の参考となりました。これらの売上も順調に推移しています。

このように、ネットリサーチは商品企画の効果検証や判断材料として欠かせないものになっています。

ばら売り用のトングは、全店1回使い切りにすることで、衛生面にも取り組んでいる。


――御社のMSRには、現場の改善を目的とした設問もありますが、現場スタッフもこの結果はご覧になっていますか。

阿達氏:はい。以前はチーフやエリア長のみを対象としていましたが、昨年から一部の店舗スタッフにも研修に参加してもらい、その際にMSRの結果を渡すようにしています。MSRのレポートは、「はい」「いいえ」のチェックだけではなく、お客さまが店内に入ったときの印象から、商品を手に取り、購入に至るまでの心の動きを、コメントとして定性的に把握することができるので、店舗スタッフも「さまざまな意見をもらえるので、惣菜を作るときのモチベーションになります」と、ポジティブに捉えてくれています。

本来なら、研修は全スタッフに参加してもらいたいのですが、CS向上の意識を形骸化させないためにも、現段階では意識が高く、店舗に影響力のあるベテランのパートさんを中心に参加してもらっています。実際、レポートから試食の効果の高さを実感し、「試食に使う爪楊枝を簡単に発注できるようにしてもらえませんか?」などと、これまでなかったような意見や要望がスタッフから上がってくるようになりました。お客さまに購入していただくために何をすればよいか、という意識が少しずつ芽生えてきていることを実感しています。今後はさらに、CS向上の意識を持ったパートさんを増やし、その裾野を広げていきたいと考えています。

DVDで健康に良いキャノーラ油や国産の食材を使っている事をアピールされていて、魅力を感じました。揚げていたり盛り付けていたりする光景が綺麗で、商品の美味しさが伝わりました(MSRのコメントより抜粋)。


――取り組みの成果を教えてください。

高橋氏:「看板商品は、見切ってもいいからたくさん作って、販売数で前年を割らないようにしてください」と言っています。この販売戦略によって、販売数が前年を割るような店舗はなくなりました。短期的に見ると利益は下がりますが、リピーターを作るために、まずは購入していただき、食べていただくことが大切だと考えています。お客さまが競合店から戻ってきたときに売り場が欠品していると、お客さまは二度と戻ってくださらないため、「競合店が類似商品を出してきても、製造量を落とさないでください」とお伝えしています。胃袋でファンを掴む、ということですね。

ネットリサーチやMSRの結果があるからこそ、スタッフは自信を持って販売することができ、お客さまも付いてきてくださるという好循環が生まれていますので、今後も御社のサービスを使っていきたいと考えています。

スタッフさんがこまめに陳列をされていたので、色々な種類のお惣菜やお弁当が品切れする事なく豊富に並べられていました。どの商品も魅力的で美味しそうに見えました(MSRのコメントより抜粋)。​​​​​​​


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