「笑顔の創造」を目指す為に「なぜ?」を追求し、在り方を考える

有限会社国分寺産業​​​​​​​

代表者:田村 稲子 代表取締役

所在地:栃木県下野市川中子1449

設立年月:2005年

会社ウェブサイト:http://www.k-sangyo.co.jp/

店舗ウェブサイト:http://www.honkiya-genten.com/

事業内容:飲食事業、清掃事業

展開するブランド:本気家源天、酒場ルゲンテン

社員数:正規28名、パート・アルバイトなど42名


『季刊MS&コンサルティング 2015年冬 特別号「サービスの強化書」』掲載
※記載されている会社概要や役職名などは、インタビュー(掲載)当時のものです。ご了承ください。


有限会社国分寺産業はゴミの回収や一般廃棄物、一般廃水処理を中心とした清掃事業を営む会社だが、居酒屋甲子園に感銘を受けた社員からの「我々も居酒屋をやってみたい」という声を契機に、2010年から飲食事業に着手。現在、栃木県内に5店舗を構え、地元の食材をふんだんに使用した料理を提供している。

「お客さまに笑顔で楽しんでいただくためには、いい挨拶から」という考えのもと、スタッフが一丸となって声だしに取り組んでおり、挨拶が浸透している。


いい挨拶、いい仲間、いい社会

「やってみたい」という気持ちだけで、全くの畑違いからの参入であったため、当初は、社員の働きがいなど考える余裕もない状態が続いていた。

そんなある日、男性社員の結婚の噂が持ち上がった。取締役の田村友輝氏が「結婚すると責任も増えるから、きちんとした会社に転職したいと言われるだろうな…」と考えていた矢先、当の社員から結婚の報告を受けたが、その先に続いたのは退職の相談ではなく、「これからも一緒に頑張りたい」という言葉だった。このことをきっかけに「自分のことや世間体しか考えていなかった」ことを猛省したという同氏。顧客とスタッフが幸せになるための“いい会社”とは何か。そして、いい会社にするために「金も人脈もない自分たちにできることは何か」を考え、挨拶だけはしっかり行うことを決意した。この「挨拶の徹底」は、現在まで同社で大事にされている考えで、社是『いい挨拶、いい仲間、いい社会』は全社に浸透し受け継がれている。

普段は友人のように仲が良いが、仕事のことはきちんと問題点を指摘できる環境がある。定期的に行うミーティングでは「なぜできなかったか」を全員で考え、納得がいくまで議論する。


考えさせる教育の大切さ

また同社では「社員に目的を持たせ、それについて常に考えさせる」ことを徹底している。これは入社の段階から徹底しており、その結果、離職率が低いことが自慢の一つである。この取り組みの背景には、田村氏の過去の苦い経験がある。以前は、仕組みや商品力、効率を重視した教育をしていたという同氏。しかし、社員はなかなか理解してくれず、組織はただ疲弊してしまっていた。思い悩む中で「やり方を教えるだけでは『なぜ、それが必要か』ということを理解できない」という考えに至った同氏は、当時あったマニュアルをすべて捨てた。そして「お客さまからどう思われたいか」を皆で考え、「なぜそれが必要か」を話し合う時間を設けた。その結果、社員が主体性を持つようになり、「笑顔の創造」という同社の理念に対して真摯に向き合うようになった。そして、理念が浸透することで、社員間の人間関係も良くなり、働きがいの向上につながったという。こうした雰囲気の良さが顧客にもしっかりと伝わっており、顧客の7割がリピーターという店舗もあるほどだ。

今後の事業展開についても「社員の意見を一番に考える」という同氏。「大切なのは信頼できる仲間と仕事ができるということで、そのためにはまず人を育てることが大事」と結んだ。

会社のあるべき姿や考えをまとめた冊子「第Ⅱ期経営計画方針書」はただ与えられるだけでなく、作成にあたって社員がしっかりと意見を出して完成させたものである。


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