現場の意見を尊重する組織運営
JR九州ドラッグイレブン株式会社
代表者:馬場 義文 代表取締役社長
所在地:福岡県大野城市川久保1-2-1
設立年月:1989年6月16日
事業内容:ドラッグストアおよび、ヘアサロン・調剤薬局の運営
展開するブランド:ドラッグイレブン
社員数:正規785名、パート・アルバイトなど1,254名
『季刊MS&コンサルティング 2014年冬 特別号』掲載
※記載されている会社概要や役職名などは、インタビュー(掲載)当時のものです。ご了承ください。
風土を変えたHERBプログラムの導入
ドラッグストア業界は成長期から、競合激化の成熟期に入っている。なかでも九州地区は、低価格を強みにした大規模チェーンに加え、他業態のディスカウントストアも多数出店し、さらなる競争激化へ。そのような状況下、JR九州ドラッグイレブン株式会社は、顧客へのカウンセリングを強みとし、スタッフの意見を本部・経営陣が吸い上げ、現場の力を最大限に発揮するスタイルの組織運営で、業績を向上させている。
以前は、指示を徹底することだけが評価される状態で、現場には自分たちの意見を発信し、主体的に参加したいという気持ちがくすぶっているにも関わらず、過去の風土や体制がそれを許さなかった。そんな中、出会ったのがHERBプログラム※という手法である。同社では、現場が主体的にお客さま目線で考え、行動する風土づくりを目指し、2008年の8月から取り組んでいる。当初は、経営陣も含めて時期尚早という意見が多かったが、店舗運営部長の強い働きかけもあり、導入に至った。それから5年。今では社員感動満足(EIS)という言葉があたり前に飛び交うようになり、EISが店舗運営の重要な目標の一つとなっている。
※HREBプログラムは、MSRを活用した人材育成による組織活性化プログラム
同社の基本方針は「5S(整理・整頓・清掃・清潔・躾)の徹底」「教育の充実」、そして「コミュニケーションの質量アップ」の3つ(写真は成果発表会の様子)。
経営陣と現場の一体感
導入後最も苦労したのは、「数字を作る」ことと「人を育成する」ことのスピード感のギャップであった。現場にもHERBの考え方に対してプラス、マイナス両方の評価があり、「HERBはあたり前」という意識が浸透するまでがとても大変だった。中でも、マネージャー陣は、指示を確実に実行するという状態から、考え、意見を出し合い、話し合いを進めるというやり方に180度転換する必要があった点で大変だったという。
しかし、この習慣が徐々に定着してからは、より効果的にミーティングを活用し、自主的に店舗運営を試行錯誤するまでになった。こうしたやり方を、苦労しながら何年もかけて定着させたことが、同社の経営陣と現場の一体感をより盤石なものとし、現在の経営と業績向上を支える現場力の根幹になっている。
「社員満足」が「お客さま満足」につながると考え、2008年度より、お客さまの声を取り入れた現場主体の改善活動(HERB)プログラムを進めている(写真は成果発表会の様子)。
トップのメッセージや方針を明確に打ち出すことも重要だが、経営陣が現場を回り、本部が現場の正しいと思う意見を実現するための環境を作ることが最も成果に繋がっている。現場も本部を信頼し、安心してがんばることが出来る。こうした適正なサイクルにより、同社は高い顧客満足を実現できているのである。
社内の4Sチェック活動や社外に委託したミステリーショッピングリサーチによる調査から日々、課題を抽出し、お客さま満足の向上に努めている(写真は成果発表会の様子)。
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