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人材が定着する組織の秘訣とは? 飲食店経営「株式会社HUGE」の従業員エンゲージメント調査活用術

多くの業界が人手不足や採用難に直面する中、スタッフの確保や定着率向上のために、定期的に従業員エンゲージメント調査を実施する企業が増えています。本記事では、「従業員エンゲージメント調査の活用成功事例セミナー」 の内容をレポートします 。取り上げるのは、国内35店舗の飲食店を経営する、株式会社HUGE(ヒュージ)様の事例です。「従業員エンゲージメント調査活用術」とともに「人材が定着する組織の秘訣」をご紹介します(2023年8月開催)。


飲食店での人材定着成功事例セミナー 講師プロフィール

 成長し続ける飲食企業、株式会社HUGE

―業績が好調ですね。
前原氏:コロナ禍等で売上が落ち込んだ年もありますが、昨年、2022年には過去最高の売上となりました。現在、国内では35店舗を運営していて、今年は2店舗出店します。正社員数も年々増えており、多くのスタッフに支えてもらっている会社です【図1】。

 
【図1】創業からの売上・正社員数の変遷

飲食店経営 株式会社HUGE 創業からの変化グラフ(人材定着、売上)


―創業から18年経ちます。転換点はありましたか?
―前原氏:
転換点は、創業から10年ほど経ち、売上が60億円を超えたあたりですね。
弊社は、百年経っても色褪せないような「街の資産になる」「百年品質レストラン」を目指しています。

その実現のために、
社長の新川が営業責任者も同時に務める「ワントップ体制」でやってきました。サービスの神様とも呼ばれる新川みずからが、HUGE流が実現できているか、各店舗を見てきたということです。全店舗に対してです。

しかし、店舗数もマネジメント範囲も広がる中で、権限移譲を進め「組織体制」で臨む必要性が高まってきました。そこで、キッチンとホールを見る取締役をそれぞれ1名ずつ選任し、経営幹部達を中心とした組織で店舗を見る体制への切り替えを試行錯誤していた時期です。

「組織としての店舗運営」を支える従業員エンゲージメント調査

―幹部中心の体制に移行中の2018年に、従業員エンゲージメント調査「tenpoketチームアンケート」をご導入頂きました。どのような目的があったのでしょうか。
 
―前原氏:これまではワントップ体制だったため、圧倒的な感覚を持っている新川の基準でお店を見て修正していけば良かった。しかし、組織で見ていくとなるとそうはいかない。何らかの仕組みが必要でした。

各店舗の状況を、数値で客観的に、かつ、他店と比較して相対的に見ることができる従業員エンゲージメント調査は最適だと考えました。現在は半年に1回ほどのサイクルで定期的に行っています。
 
また、2015年頃からパート・アルバイトの採用が厳しくなってきたことも、調査導入の背景にあります。新規採用に頼った店舗運営では大変なことになるぞと。既存スタッフの定着率や従業員エンゲージメントを、どう高めるかを本気で考えるようになりました。


お話を頂いた、株式会社HUGE  取締役副社長  兼  CFO  前原靖史氏


調査結果から得られた課題と解決事例

―第1回目の従業員エンゲージメント調査の結果は、どのようなものでしたか?

 ―MS&Consulting:店長と料理長の「チームの遂行力」や「チームの風土」に対する評価は、Cランクと低いものでした。店舗のリーダー2人が、チームメンバーに対して非常に厳しい評価をしている状態です。また、新入社員やベテラン社員と比べて、2~3年目の社員の方のスコアが下がっている点も特徴的でした【図2】。

【図2】第1回調査結果からの発見(一部抜粋)


―前原氏:パート・アルバイトスタッフの採用がさらに厳しくなりそうだという時に、年次やポジション別にエンゲージメントの状態がわかるようになったことは大きいメリットでしたね。どうメスを入れて改善していけば良いのか、判断の大きな助けとなりました。



 ―第3回目の調査結果は、軒並み良くなりましたね。どのような取り組みをされましたか?

―前原氏:新型コロナが落ち着いてきた頃に行った調査ですね。終わったから言えることですが、コロナ禍はうちの会社が変化するきっかけになりましたね。

今でも思い出せます。2020年4月2日に1ヵ月休業することを決めました。政府の方針が出る前です。 よくわからないウイルスが蔓延している中で働くことに、スタッフが不安を感じていたからです。

ただ、みんながレストランを必要とする時が絶対にまた来る、スタッフにはそう言い続けていました。特に社長から定期的に送っていたビデオメッセージは効果的だったはずです。すると、店長や料理長たち自らが「ワインの勉強」や「レシピの勉強」をやろうよなど、 ずっと忙しくてやりきれていなかった自分達を磨くためのコミュニケーションが、休業を機会に社内SNSの中で生まれていきました。

コロナ禍で働けなくて、働ける喜びに対して準備してきたスタッフです。結果、モチベーションの高いスタッフが下支えする組織に変わり、それがスコアに出たのだと思います。 

調査活用のポイントと人材が定着する組織の秘訣

―従業員エンゲージメント調査の結果は、どのような流れで活用していますか?

―前原氏:スコアが良かった、悪かったと一喜一憂するだけでは、従業員エンゲージメント調査がただの打ち上げ花火で終わってしまう。どうしたら、PDCAサイクルが定着するかを大切にしています。

1.「何をしますか?」を問い続ける

現在は、半年間のアクションプランを立ててもらう運用方法に落ち着いています【図3】。

各店舗が目指す姿と従業員エンゲージメントスコアを比べてもらい、ギャップがあるのはどこか?そのギャップを埋めるアクションは何をするのか?MS&Consultingさんのサポートももらいながら、店長・料理長に半年プランを立ててもらっています。

【図3】アクションプラン事例
飲食点 人材定着を高めるための 従業員エンゲージメント調査 結果活用シート

 2.人事評価に組み込む

また、調査スコアを人事評価のひとつの材料にしています。客観的な事実、データで評価されるということは、結構効き目がある。 調査結果に対する姿勢が変わってきましたね。

―MS&Consulting: スコアが低い店舗にはリーダー(複数店舗を見るマネージャー) が積極的に 臨店し、改善策も共に考えられています。周囲の寄り添う姿勢があることも大きいと感じます。また、スコアが高い店舗にはリーダーによる臨店を減らし自分達で考えさせるなど、どのステージの店舗にもチャレンジの場を準備されている点も、素晴らしいと感じています。

―前原氏: 最初は調査の結果を見るのに抵抗があったと思います。特にスコアが低い店舗はそうだったでしょう。嫌だったと思いますよ。しかし、「B評価、嫌だな」で終わらせず、「A評価になるために何をしますか?」と問い続けたことで、従業員エンゲージメント調査の価値が浸透し始めています。


 まとめ

飲食店経営を成功させ、成長し続けている株式会社HUGE様では、「ワントップ体制から組織体制への転換」「採用が厳しくなっている中で既存スタッフの定着率を高める」といった目的で従業員エンゲージメント調査を導入されました。

活用のポイントは次の3点です。

  1. 調査結果から各店舗は半年間のアクションプランを立案・実行
  2. 人事評価への組み込み
  3. リーダー(複数店舗を見るマネージャー)は、
    ​​​​​​​店舗毎の調査スコアにあったサポートを実施

調査を効果的に活用し、スコア向上やその他の様々な面にも良い結果をもたらした優れた事例です。

「tenpoketチームアンケート」は、店舗ビジネスならではの特性を踏まえた従業員エンゲージメント調査です。
定着率の改善、店長育成、店舗の現状把握、店舗間のばらつき改善などに役立たせることが可能です。詳細は、こちらをご覧ください(⇒サービス紹介ページはこちら)



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