従業員エンゲージメント調査とは?目的や流れ、6つの活用方法まで徹底解説!
人手不足や人的資本経営への関心の高まりから、従業員エンゲージメントへの注目が集まっています。自社の従業員エンゲージメントの状態を知る方法が「従業員エンゲージメント調査」です。今回は、エンゲージメント向上のスタート地点となる「従業員エンゲージメント調査」について、その目的から調査の流れ、活用方法をご紹介します。
従業員エンゲージメント調査とは?調査の目的もご紹介
従業員エンゲージメント調査とは
従業員エンゲージメント調査とは、従業員エンゲージメント、すなわち、従業員が会社の方向性にどの程度共感しているのか、また、その達成に向けてどの程度の熱意と主体性を持って仕事に取り組んでいるのかを計測したいときに実施する組織診断、サーベイです。目には見えない自社の組織力を可視化します。「従業員エンゲージメントの定義」については、こちら「従業員エンゲージメントとは?今さら聞けない定義や向上方法をご紹介」の記事で詳しく解説しているので、参考にしてみてください。
従業員エンゲージメント調査の目的
さて、従業員エンゲージメント調査導入で失敗しないためには、目的をしっかりと定めてから、設問設計や運用計画を詰めることが大事です。目的は実施する企業によって様々ですが、次の3つがよくある目的です。
1.スタッフの定着率向上
人材獲得競争が年々シビアになってきています。「いかに採用するか」と同時に「いかに今いる社員に辞めないでもらうか=帰属意識の向上」のために調査を実施する企業が増えています。
2.組織力の強化
近年、経営環境はかつてないほどのスピードで変化しており、最前線の情報を持つ現場スタッフが自ら主体的に考えて判断し、行動する経営様式への転換が求められています。そのため、現場スタッフ一人ひとりの主体性や貢献意欲を高めるためのヒントツールとして、従業員エンゲージメント調査を導入する企業が増えています。
3.従業員が抱える課題の見える化
企業規模が大きいほど、個々の従業員の声を掴みづらくなります。自社の従業員の価値観や抱える課題を把握するために調査を実施するケースも増えています。
従業員エンゲージメント調査の設問
従業員エンゲージメント調査の設問には、大きくわけて次の2つの種類が必要です。
(1)従業員エンゲージメントの度合いを測定する設問
自社の従業員エンゲージメントは高いのか低いのか、その度合いを測る設問がまず必要です。弊社の従業員エンゲージメント調査「tenpoketチームアンケート」の場合、「帰属意識」「推奨意識」「働きがい」の3問からなっています。この設問は毎回の調査で変更せず、変化をウォッチします。
(2)従業員エンゲージメントを高めるポイントを見つけるための設問
無数にある従業員エンゲージメント向上施策のうち、自社にぴったりのものは何か?効果的な優先順位を見つけるための設問群が次に必要です。具体的には(1)の結果指標がなぜそのスコアになったのか、関係性を分析できるように(2)の設問群を設計します。
「tenpoketチームアンケート」では、結果指標の背景にある状態を浮き彫りにできるよう、店舗ビジネスでのエンゲージメント向上に欠かせない「リーダーシップ力」「チームの風土・遂行力」「スタッフの主体性・満足度」のカテゴリにわけて設問群を設けています。
従業員エンゲージメント調査の実施の流れ
従業員エンゲージメント調査はおおむね、次の流れで運用します。
- 調査目的の整理
- アンケート設問の設計
- 調査をなぜ行うのか、その目的を従業員に発信
- 回答の回収
- 結果の分析
- 課題と施策の整理
- 組織長へのフィードバック
- 改善策の実施
- 改善策の効果検証
長年にわたって従業員エンゲージメント調査を実施してきた経験則から言うと、外してほしくないのは「8.改善策の実施」です。
調査に回答したけれど結果がどう活用されたのか全く広報がない中で、翌年もアンケートの回答依頼がきたらとしたらどうでしょうか。アンケートに対するモチベーションが年々下がることは確実です。
アンケート実施後、その結果をどう分析し、どう受け止めたのか、どのような施策を実施していく予定なのかなど、組織として何らかのフィードバックを 従業員に対して行うことが大事です。
従業員エンゲージメント調査、6つの活用法
さて弊社によくご相談いただくのが、従業員エンゲージメント調査を行っているが、調査をして、結果を見て終わり。改善につなげられていないというお悩みです。次に従業員エンゲージメント向上を実現するための6つの調査活用法をご紹介します。
1.組織診断としての活用
もっともオーソドックスな活用法は、自社の従業員エンゲージメントを高めるポイントを発見するための「組織診断」としての活用です。調査を実施したのちに回答を分析して課題と打ち手を整理するのが基本的な流れです。
実際の活用例を下記記事でご紹介しています。ご参考ください。
【組織診断としての活用例①】銀行
調査の結果、入行して5年未満の若手行員たちのスコアに課題を見つけ施策を実行。
【組織診断としての活用例② 】小売
調査の結果、本部から店舗への通達が一方通行である点に、現場の不満が溜まっていたことが判明。コミュニケーションツールの使い方を改善、従業員エンゲージメントの向上を実現。
2.取り組み施策の「効果検証」としての活用
すでに実施している従業員エンゲージメント向上策の効果を検証するために調査を実施します。通常の設問にプラスして、施策に対する評価を聞く設問を加えることで、詳細に検証することが可能です。
3.部門計画策定の「ヒントツール」としての活用
直属の上司や同僚との関係性がエンゲージメントに及ぼす影響は大きいものです。そこで、 従業員エンゲージメント調査の結果を「全社単位」だけでなく「部門単位」でも算出します。
部門長は、自部門の強み・弱みを把握することが可能になり、
・部門従業員エンゲージメント向上のヒント
・部門離職率を低減させるヒント
・部門リーダーとしての成長ポイント
などを理解することができます。このように、従業員エンゲージメント調査は、部門計画策定の強力なヒントツールとして活用することが可能です。
4.従業員の「相談窓口」としての活用
番外編となりますが、誰にも相談できず、孤立してしまうスタッフを作らないために、従業員の「相談窓口」として活用している企業もあります。
先述した「1.組織診断としての活用」などのために調査を実施する際に、あわせて相談窓口用のコメント欄を設け"ついで"に回答できるように促します。
【相談窓口としての活用例】
5.エリアマネジメントツールとしての活用
5つ目の活用法は、店舗ビジネスを展開している企業向けです。エリアマネージャーやSVが担当店舗の状況を判断するための材料のひとつとして活用するのです。店舗の実力を多面的に把握でき、正しい打ち手を見つけることが可能になります。
【エリアマネジメントツールとしての活用例】
6.「店長育成ツール」としての活用
店舗ビジネスにおいては、店長のリーダーシップの成熟度合いが従業員エンゲージメントに大きな影響を及ぼします。
そこで、企業単位の分析だけでなく、店舗単位での分析も行い、店長一人ひとりにレポーティングすることがとても大事です。
店長は全社平均や他店との比較から、自分の強み・弱みを正確に把握することができ、自身の成長の方向性を見定めることができるからです。
このように店舗ビジネス企業においては、従業員エンゲージメント調査を店長育成のツールとして活用することが、エンゲージメント向上の面においては非常に有効です。
まとめ
従業員エンゲージメント調査の目的や調査の流れ、活用方法をご紹介しました。最適な活用方法は企業によって異なります。そのため、活用方法についても十分、検討する必要があります。
弊社では、今回ご紹介した従業員エンゲージメント調査「tenpoketチームアンケート」のご提供と共に、エンゲージメントを改善するサポートも行っております。最適な活用方法についてもご提案させていただきます。お気軽にお問い合わせください。