「おもてなし規格認証」の取得をとおしてグループ企業全体がひとつに
株式会社デイリー社
http://www.dailysha.com/
<おもてなし規格認証2022 紺認証取得事例レポート>
ゴルフ場やホテルの運営をはじめ、ワイン製造、製薬など、幅広いビジネスを展開するデイリー社グループ。これまでも「事業所単位」での認証取得を進めてきましたが、2022年度は「グループ企業全体」での認証取得へ挑戦されました。その目的や背景についてお伺いしました。
認証取得をとおしてグループをひとつに
―グループ企業全体で紺認証取得を目指したのは何故ですか?
南山氏:質の良いサービス、質の良い製品は、質の良い従業員から生まれると考えているからです。当社のゴルフ場はメンバーの同伴がなければ来られない「メンバーシップ運営コース」を目指していますが、8コースあるゴルフ場のうち2コースは既にメンバーコースとして運営しております。
直接お客様と接するゴルフ場やホテルの従業員はもちろんのこと、製造・販売事業に携わる従業員も自社製品に愛着をもち、お客様に喜びをもって製品を継続購入いただかなくてはなりません。そのためには従業員の高いホスピタリティ精神が基盤となります。私達の事業経営にとって「従業員のホスピタリティ精神を高めること」は重要課題と考えておりました。
そんな折に、経済産業省のホームページで「おもてなし規格認証制度」の存在を知り、より上を目指していこうと2018年よりおもてなし規格認証の取り組みをはじめました。しかし、グループ全体で見ると感覚の違いやレベルの違いが依然としてありました。そこで、2022年度はグループ企業がひとつとなって紺認証の取得を目指すことに決めました。
「ホスピタリティへの深い理解」が、良い方向に進むきっかけに
―紺認証取得には、どのようなメリットがありましたか?
南山氏:紺認証取得のためには「ホスピタリティ・コーディネータ養成講座」の受講が必要でした。実はこの講座が弊社にとても良い影響を与えてくれました。この講座は「ホスピタリティの基本理論」「ホスピタリティ・マネジメント」など、ホスピタリティに関する知識を体系的に学ぶことができるものです。従業員にとっては、普段から大切だと言われていることを、自分たちの業務に置き換えて具体的に考えてみる機会にもなり「なるほど こういう意味だったんだ」と深く理解できたと思います。
私自身はこの講座を講師として開催することができる「ホスピタリティ・コーディネータ」の資格を取得して、より多くの従業員が参加できるように回数を分け社内で講座を開いてきました。認証には20名ほどの資格取得者でよかったのですが、講座に参加した従業員が「これは参加すべきだよ」と口コミで広めてくれて、受講者は100名を超える勢いです。グループ全体で共通認識を持ってもらえたのはとても良かったと思います。この講座をきっかけに、認証取得に対する各事業所の取り組み姿勢が顕著に変わったと思います。
豊島氏:講座の内容はとても勉強になりました。当ゴルフクラブの社員は全員に受講してもらいました。結果的に、社員は前向きに認証取得に取り組んでくれ、また、講習で学んだ「相手が何を求めているのか」を考え行動できたことで売上にもつながり、良い方向に進んでいる実感があります。来年度入社する社員にも、この講習を受講してもらう予定です。
南山氏:講習後のレポートでは「家族との関わり方を変えていこうと思った」「新たなことに挑戦し始めた」といったプライベートについて言及する内容も多く見られました。当社が大切にしているホスピタリティ精神は仕事だけでなく人生も豊かにするものであると考えています。このことを何とか伝えていきたいと常々考えていました。従業員一人ひとりの人生観にも好影響となる取り組みとなって感謝しています。
審査で次に取り組むべきテーマが明確に
―現地審査の内容はどのように経営改善に活かされていますか?
南山氏:グループでの認証取得を目指したので全社にエントリーシートを提出してもらいました。その結果、各社の状況や経営課題、ばらつきを掴めたのは大きな収穫でした。グループ内にあるばらつきを改善し、全体の差異を埋めていくことは、これからの大きな課題だと感じています。そのためのテーマが明確になりました。
葛原氏:ニチニチ製薬は乳酸菌などの研究、商品開発に取り組む製造業です。工場見学ぐらいしかお客様との直接の接点はありません。エントリーシートの作成では改めて自分達が作ったものがお客様の元まで届く流れを想像して資料をまとめることになり、多くの気づきがありました。「取り組んでいることをもっとお客様に伝えるべきではないか」「もっとお客様と一緒にものを作るべきではないか」といった発想に至ったのは、良い機会となりました。
南山氏:審査では一般の方による顧客満足度調査「ミステリーショッピングリサーチ」もありました。結果を見て、喜んだところも、落ち込んだところもありましたが、自分達では気づかなかったお客様から見た課題に気づいてもらえたと思います。競合相手はたくさんあるわけですから、より価値を高めていく努力は欠かせません。「ミステリーショッピングリサーチ」は今後も続けていこうと計画しています。
―今後の抱負や取り組みについての展望を教えてください。
池田氏:グループに関わる全ての人に喜んで頂ける会社を目指したいです。お客様や従業員はもちろん、従業員の家族にも納得してもらえる会社にしたいですね。
南山氏:本当にそうですね。一人ひとりがやりがいを見つけられる環境を追求して、人生における成長ができる場所でありたいですね。それが会社にも良い影響として返ってくるのだと考えています。
左より、取締役部長 南山氏、吉川ロイヤルゴルフクラブ支配人 豊島氏、ニチニチ製薬株式会社 菌末製造部課長 葛原氏、情報システム部・レストラン事業部・ゴルフ場統括本部次長 池田氏
※取材日:2022年10月27日
※取材:株式会社MS&Consulting 常務執行役員 渋谷行秀
※記載の数値や固有名詞などは取材当時のものです。
経済産業省が創設した「おもてなし規格認証制度」の審査には、
弊社の顧客満足度調査「ミステリーショッピングリサーチ」が利用されています