消費者は何を見た時に、値上げを実感するのか?
2023年になっても消費者物価指数は上がり続けており、「値上げせざるを得ない企業」と「家計への痛みを感じながらも値上げを受け入れざるを得ない消費者」という構造は継続しています。そんな"今"の消費者の値上げに対する意識はどうなっているのでしょうか?リサーチ結果を報告します。(調査:2023年1月4日~9日、調査手法:ネットリサーチ、回答数:1,086名)
「家計への負担感」の変化
【値上げによる家計の負担を感じていますか?】の問いに対して84.0%の人が「感じている(6点以上)」と回答、消費者の負担感は高止まりしています。
また、「強く感じている(9点以上)」と回答した人は45.9%となり、前月より0.4ポイント上昇、過去最高を更新しました【図1】。
【図1】値上げによる家計への負担を感じていますか?
回答者の属性別では、世帯年収が少なくなるほど負担感が高まる傾向が変わらず続いています【図2】。性別・年代別では大きな特徴は見られませんでした。
【図2】世帯年収別/値上げによる家計への負担感
消費者は何を見た時に、値上げを実感するのか?
【直近1カ月間の消費行動の中で値上げを感じた瞬間はありますか?】と聞いたところ85.6%の人が「ある」と回答しました【図3】。
【図3】値上げを感じた瞬間はありますか?(直近1カ月間)
この「値上げを感じた瞬間がある」と回答した85.6%、930人の方に【その値上げに対する納得度】を聞いたところ、
- 納得感があった:16.1%
- 何も感じなかった:40.0%
- あまり納得感がなかった:43.9%
との回答割合になりました。消費者の家計への負担感は増しているものの、半数以上の方が値上げに対して「納得感があった」「何も感じなかった」と回答しています。
次いで【何を見た時に値上げを感じましたか?】を調べました。最多となったのは「値札などの価格表記を見た時」で85.9%、次いで「レシートを見た時」が24.5%となりました【図4】。企業による値上げのお知らせチラシやSNSなどよりも、商品の価格表記そのもので値上げを判断している消費者が多いと言えそうです。
【図4】何を見た時に値上げを感じましたか?(複数選択可)
※n=927(直近1カ月で値上げを感じた瞬間が”ある”と回答した930名のうち本設問への回答があった人数)
消費者は何を見た時に、値上げを実感するのか?(性別・年代別)
性別・年代別の切り口でも【何を見た時に値上げを感じたか?】を調べてみました。性別で見ると、男性より女性の方が「DM・チラシ・はがき」を見て値上げを感じたと答えた割合がやや多くなりました【図5】。
【図5】性別/何を見た時に値上げを感じましたか?(複数選択可)
年代別では、年代が高くなるほど「レシート」で値上げを感じた人の割合が、年代が低くなるほど「SNS」で値上げを感じた人の割合が多くなっていました【図6】。自社商品やサービスの値上げの告知・お知らせをする際は、自社の顧客層にあわせた媒体の組み合わせを検討する必要があると言えそうです。
【図6】年代別/何を見た時に値上げを感じましたか?(複数選択可)
「値上げ前後で顧客満足度が変わってしまっていないか?」「この値上げ告知方法ではお客様は不満を感じないか?」などの不安を解消するため、弊社では『価格改定の判断』をサポートする各種リサーチサービスをご提供しています。お気軽にお問合せください(詳しい資料はこちらからダウンロードできます⇒)
執筆:株式会社MS&Consulting ブランディング推進部 並木彩華、監修:同社 データ活用推進室 室長 チーフデータサイエンティスト 錦織浩志