【アパレル・化粧品編】オンライン接客に関心が高いのはどんな人? 満足度を決める要因は?
現在多くの企業が「オンライン接客」をスタートさせ、今後の展開に注目が集まっています。では、「アパレル・化粧品のオンライン接客」について一般消費者は実際はどう感じているのでしょうか?ネットリサーチ結果をご紹介します。(調査:2021年2月20日~4月4日、n=2505)
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アパレルのオンライン接客を受けたことがある人は、ほとんどが20代女性・20代/30代男性
「アパレルショップのオンライン接客を実際に受けたことはある」と回答したの割合を年代別・性別で集計しました【図1】。その結果20代女性と20代/30代男性でアパレルのオンライン接客を受けたことがある人の割合が比較的多くなっていました。
しかし、多かった人でも利用率は3~4%程度となっており、まだまだ一般的には浸透していないサービスと言えます。
図1 年代別・性別の「アパレルショップでオンライン接客を受けたことがある」比率(括弧内は回答数)
※設問:あなたは「オンライン接客サービス(ビデオ通話など、相手の顔を見ながら接客が受けられるもの)」を実際に受けたことがありますか?で「アパレルショップ」を選択した比率
「今後受けてみたい、興味がある」と答えた割合は20代女性で高くなっている
「今後受けてみたい、興味がある」と回答した人の割合を年代別・性別で見てみると、20代女性が突出して高くなっていました【図2】。このことから20代女性をメインターゲットとしたアパレルブランドの方が、オンライン接客に向いている可能性があります。
図2 年代別・性別の「アパレルショップでオンライン接客を受けてみたい」比率(括弧内は回答数)
※設問:「今後受けてみたい、興味がある」オンライン接客サービスを全てお選びください。で「アパレルショップ」が選ばれた割合
化粧品のオンライン接客についても同じ数値を分析してみました。その結果「利用したことがある」人の割合はアパレルショップよりも更に少なかったのですが「今後受けてみたい、興味がある」と答えた人はアパレルショップよりも多い結果となりました。特に20代女性はアパレルショップと同様に最も比率は高くなっており、オンライン接客に対する期待感・興味の高さがうかがえます。
図3 年代別・性別の「化粧品でオンライン接客を受けたことがある/受けてみたい」比率(括弧内は回答数)
アパレル・化粧品は他の業種と比べてオンライン接客の利用満足度のばらつきが大きかった
「利用したことのあるオンライン接客の満足度」を聞いたところ、業種別に【図4】のような分布をしていました。
お客様の期待を下回った比率が最も高かったのが「不動産(賃貸、分譲住宅・マンション、注文住宅)」、次いで「アパレル・化粧品」となりました。一方でお客様の期待を上回った比率も「アパレル・化粧品」が全業種の中で最も高くなっていました。
他の業種と比べて満足度のばらつきが大きくなっていると言えます。このことから、販売スタッフ個人の能力に大きく左右されてしまっている可能性が考えられます。
図4 業態別オンライン接客満足度(括弧内は回答数)
※設問:選択した「最もよく利用するオンライン接客サービス」についての満足度はいかがでしたか?
アパレルショップや化粧品だけでなく、様々な業種における「オンライン接客」の満足度とその理由コメントを分析すると「オンライン接客の満足度は対面接客との比較で決まっている可能性が高い」ことが分かりました。
【オンライン接客における満足度の決まり方】
満足 = 対面にはなかった価値を感じた 普通= 対面接客と同じ価値だった 不満 = 対面接客の方が良いと感じた |
お客様が満足と評価した時は「対面よりもオンラインの方が良い!」と感じたことがコメントとして記載されていることが多く、一方で不満を感じた場合は対面接客ほどの体験ができなかったと感じてしまっていることがほとんどでした。
その要因としては
- 音声が聞き取りにくい、通信環境が悪い
- 担当者がオンライン接客に不慣れだった
- 資料が分かりづらい
といった点が挙げられていました。
期待を上回ったときの理由
①自宅にいながら店舗と変わらない接客を受けられる
②‟自分のため”の特別感がある
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期待を下回ってしまった理由
①音声が聞き取りにくい、通信環境が悪い
②担当者がオンライン接客に不慣れだった
③資料が分かりづらい
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通信環境については利用する顧客側の環境が影響している場合も考えられますが、改善できる部分も十分にありました。
また、オンライン接客に特化した販売スタッフのトレーニングや、対面で説明するときのパンフレットではなく、画面共有でプレゼンテーションすること(スマートフォンの場合もある)を前提とした資料を作成することで、接客の不満を取り除くことが求められていくと考えられます。
文責:株式会社MS&Consulting チーフデータサイエンティスト 錦織浩志