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ベテランチームのマネジメント



鹿沼グループ

http://www.kanuma-g.com/
代表者:福島 範治
栃木県鹿沼市藤江町1548-61


『季刊MS&コンサルティング 2017年冬号』掲載
※記載されている会社概要や役職名などは、講演(掲載)当時のものです。ご了承ください。
※掲載記事内の図表等は、すべて発表資料を基にMS&Consultingが加工しております。

第4回店長塾全国大会 レポート

◆取り組み
「トップダウン方式」から
「オーナーシップマネジメント」への方向転換

◆成果
・売り上げ105.5%、利益額105.9%、客単価103%(全て昨年対比)
・パート6名中1名社員化、ほか5名の時給UP
・従業員満足度調査「HERB診断」で優良店平均を超える。

リーダー就任当初の状況

私の任されたチームは、メンバーの半数以上がベテランの方々で、責任感がとても強く、主体的・積極的に動いてくれる反面、考え方ややり方がバラバラで、結果として生産性が低い状態でした。就任当初は「チームの生産性を上げたい」、「スタッフの時給を上げたい」という思いから、私が決めたやり方をトップダウンで指示しておりました。しかし、ベテランスタッフの経験・知識やプライドに相反するものとなり、猛反発を受けました。
そこで、店長塾での学びを通して、トップダウン方式からベテランチームの強みを活かせる「オーナーシップマネジメント」に方向転換しようと考えました。

STEP1:信頼関係を築くために

ある日上司から「リーダー(私)がやりたいことと、部下がやろうとしていることにギャップがあるのではないか」と言われたことをきっかけに、スタッフと個別面談を行いました。すると、いろいろな不満が出てきました。一つひとつは些細なことで、だからこそ「スタッフたちは、その場で直接相手に疑問や意見をぶつけることすらできない信頼関係だったのだ」とわかりました。そこで、こうした不満を解消するためのミーティングをすることにしました。

スタッフにミーティングのメリットを感じてもらうため、ミーティングを開始するにあたっては、「ミーティングをやり続けること」、「議題に挙がった問題は必ず解決すること」の2つを決意しました。また、最初のうちはスタッフからの発言はないだろうと思っていましたので、スタッフからの意見が出てくることを心待ちにしながらも、私が司会を行い、議題を挙げ、改善提案までを行い、それに対してスタッフたちは渋々返事をするという、リーダー主導のスタイルで、とにかくやり続けました。そして3回目のミーティングで、初めて一人のスタッフが意見を出してくれました。待ちに待った嬉しい瞬間です。「このチャンスを逃してはいけない」と、全力で問題解決に取り組みました。その後もこうしたミーティングを繰り返し、意見を抜けもれなく改善することで、スタッフの間に、ミーティングへの信頼感、私への信頼感、スタッフ同士の信頼感が醸成されていきました。

STEP2:判断基準の統一

そこで次のステップとして、いろいろなことを考える上での判断基準を統一しようという話をしました。ここで判断基準としたのは、「私たちを取り巻くすべての人々の笑顔を生み出す」という弊社ミッションと、「また来たいと思ってもらえるゴルフ場を目指して」という弊社ビジョンです。

判断基準がない頃は、議案に対する解決策がスタッフ目線だけになりがちでした。しかし、判断基準をミッション、ビジョンに照らし合わせていくよう問いかけ、現実の営業に落とし込むサポートをすることで、「スタッフにも、お客さまにも、より良い方法は何か?」という考え方に変化していきました。判断基準が統一されたことで、スタッフ自身がその基準で判断し、全員が同じ価値観で働くことができるようになりました。

STEP3:オーナーシップマネジメント

こうして、ようやくオーナーシップマネジメントのステップへ入りました。オーナーシップマネジメントとは、「与えられた職務やミッションに対する自発性、経営に対する当事者意識、参画意識をスタッフ一人ひとりが持ち、最大限発揮している状態」を目指すマネジメントスタイルです。この状態を実現するために、まずは「皆がイメージできる目標」として、「ゴルフ場予約サイト『GORA』の評価4.5点以上」、そしてそれを実現するために「新たなサービスを10個以上提案する」ことを掲げました。

また、こうしたチームでの取り組みと並行して、一人ひとりのやる気を醸成するための個人目標も設定しました。面談をする中で「家庭のためにも収入を安定させたい」「子どもが一人立ちしたので、できるだけ長く働きたい」という強い意欲を持った方がいることがわかりましたので、このスタッフには「正社員になる」という個人目標を提案し、この目標に向けていろいろな成果を出していこう、と働きかけました。

取り組みの結果、いくつもの新たなサービスが生まれました。その一つが、食前にお客さま全てのテーブルを回って提供する、サラダサービスです。これは、スタッフにとっては大変手間のかかることでしたが、お客さまの目の前でドレッシングを和え、新鮮なサラダを提供することで、お客さまとの会話が生まれ、PB商品「にんじんドレッシング」の販売にもつながりました。

成果

このような一連の取り組みを続けてきた結果、当初はばらばらであったオペレーションが統一され、その結果としてチームの生産性が向上、売り上げは昨対比105%を達成しました。また、パート6名のうち1人を正社員に登用し、ほかの5名も時給をアップさせることができました。さらに、MS&Consultingさんの従業員満足度調査「HERB診断」でも優良店平均を大きく上回り、ベテランチームの力を最大限に引き出すマネジメントに成功しました。

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