【第2回外食クオリティサービス大賞レポート】 真面目に従業員を大切にし、 地域に根ざした経営で実現した愛される企業経営
株式会社丘里
URL:http://www.okasato.co.jp/
本社所在地:茨城県古河市関戸1625-69
設立:1971年9月1日/資本金:1000万円
店舗数:4店舗
※記載されている会社概要や役職名などは、講演(掲載)当時のものです。ご了承ください。
「定着率89.5%」
茨城県の古河市を中心に6店舗を展開する丘里。和食・居酒屋・回転寿司を主力業態として、市内の人口が14万人に対して、全店舗への年間来客数が約29万5000人という地域密着型の経営に成功している。
丘里の成果で最も印象的でなのは高い定着率であろう。人材不足で苦しむ企業が多い中、定着率89.5%と圧倒的である。また丘里は、従業員満足に裏打ちされた施策で繁忙期の人材確保もクリアする。3年以上働いたスタッフはOB会に入ってもらい、OBは生涯にわたって10%割引で食事ができる。代わりに、繁忙期には2ヶ月に1回の頻度でお店を手伝ってもらうという。人材確保にもCS向上にも効果的な仕組みだ。
従業員満足度が向上「1万軒ドアコール作戦
業界でも珍しいのが「1万軒ドアコール作戦」という販促活動。定期的にアルバイトスタッフを含めたメンバーでドアコール隊を結成し、1万軒に全スタッフで営業をかけるというもの。はっぴを着て2日間でやりきるというから大変な労力だが、ポスティングなどと比べて戻りがあった場合のスタッフの喜びが一層大きくなり、従業員満足度向上にも効果をあげているという。やらされ感が強くなりがちなアルバイトを巻き込んだ販促活動も、スタッフのやりがいとして機能させてしまう。お客様もスタッフが一生懸命営業をする姿に声援を送る方が多いという。
このように、地元から愛され、スタッフから愛される企業経営をいかに実現したか、そのきっかけと仕組みが紹介された。
現代表の中村が家業を継いで2店舗目を出店した時、ついていけないと当時6人いた社員が次々と辞めた事件があった。運営すら危うかったその時、アルバイトスタッフが一生懸命お店を支えてくれたのだという。その姿に心を打たれ、人を育てること・人が辞めないことの重要性を痛感し、経営の主軸を一気に従業員満足度の追求へと方向転換を遂げる。その取り組みの徹底度は驚異的である。
階層別に行われる「社長塾」、入社時には「私はこういう人間ですシート」、社長が全スタッフと面談する「社長面談」が年2回。朝礼では「スタッフの3分間スピーチ」や「クレドの実践発表」、CSを高める仕組みとしての「女将制度」など、単なる形式ではない仕組みを機能させている。
プレゼンテーションを通して丘里の強さは揺ぎ無い仕組みに裏打ちされたものであることが感じられた。これだけの仕組み1つ1つは思いつくことだけでも素晴らしいが、徹底されることこそが一層価値のあることであろう。
真面目に従業員を大切にし、地域に根ざした経営をすることで、これだけの強固な組織と圧倒的成果、潤沢な人材確保を実現している様は、外食業界の一つの希望と言って良い。