MS、クレンリネス、接客に優れた気鋭の店舗がその成果を発表

『季刊MS&コンサルティング 2012年春号』掲載
取材:有賀 誠・文:高島 知子
※記載されている会社概要や役職名などは、インタビュー(掲載)当時のものです。ご了承ください。

3月12日(月)、株式会社キープ・ウィル ダイニングによる社内コンテスト「キープ・ウィル アワード」が開催された。鶏料理やもつ鍋からカフェまで幅広い業態を展開する同社は、全店舗でミステリーショッピングリサーチ(以下、MSR)を導入し、またクレンリネスのチェックや独自の顧客アンケートを通して常に店舗のクオリティ向上に注力。この日は、予選を勝ち抜いた5店舗が、そうした日頃の成果を発表する場となった。


グランプリ獲得を目指し、日頃の取り組みをプレゼン

東京都町田・神奈川県相模原エリアを中心に、それぞれ業態の異なる15の飲食店を展開するキープ・ウィル ダイニング。同社では以前から居酒屋甲子園に積極的に出場するなど、飲食業に携わる者同士が切磋琢磨することでサービスの質を向上させ、またスタッフの意識高揚を図ってきた。「グランプリを獲る」という明確な目標を持つことで本気になり、チームが一つになるこうしたイベントを社内でも展開したいという意向から、テストケースとして半年前に行った「キープ・ウィル 甲子園」を経て、今回の「キープ・ウィル アワード」の開催に至った。


事前審査は、同社が長らく導入しているMSRによるグランプリ(以下、MSグランプリ)、そして来店客に記入してもらうアンケートで「輝いているスタッフ」に挙がった数を競う“S1”、さらに独自のチェックシートを元に店舗の清潔度を抜き打ちで評価しランキングする“C1”の3項目で実施。総合的に好成績を修めた5店舗が決勝に進んだ。


会場には、スタッフはもちろんその家族、取引先や同業者、さらに店舗の常連客まで来場。来場者が「想いが伝わった店舗」に投票し、その得票数でグランプリが決まることもあって、発表を見守る姿勢にも力が入った。


「今日の発表には感情が揺さぶられる瞬間が多くあるはず。熱い時間を共有して、子どものように夢中になれる集団を目指したい。当社の理念である『幸せを実感するお手伝い』を改めて皆で共有し、今日を当社のさらなる躍進の原点とする」と、専務取締役の長谷部信樹氏が開会を宣言。5店舗による熱戦がスタートした。持ち時間15分の中で、日頃の接客の工夫や今回のアワードに際して浮かび上がった課題、それに対しての取り組みなどを、映像やスピーチ、取り組みを再現したプレゼンテーションなど思い思いの方法で紹介した。


熱くなることで道は拓かれる。今後の飛躍への大きな一歩に

博多もつ鍋専門「獅子丸」では当初、MSRが170点台と同社の中では最下位付近に位置し、C1も最下位と低迷。本音でぶつかり合うミーティングを重ねて、「何よりお客様のことを考える“お客様バカ”でいいじゃないか」と一致団結、MSRの点数も向上しクレンリネスは2位へと驚異的な巻き返しを果たした。今では、誕生月に年齢の数だけ名物の手羽先をプレゼントする“虜ンボ”によるリピート率が2割に上るなど好調だという。皆で決めた合言葉“One”をこれからも大事にしたい、と思いを語った。


もっと感動してもらえる店にしたい、と宣言したのは「串バール 勝男」のスタッフ。一時はプレッシャーによって空回りしたという現店長が、チームへの感謝を述べた。

新業態への挑戦として昨年オープンしたカフェ業態「CAFE KATSUO」では、来店客にとって同店での食事が最高の思い出になることを目標とし、“ハートフル”を合言葉にして取り組んだと発表した。

スタッフ総勢26人を抱える大所帯の博多もつ鍋・九州料理の「黒獅子」は、皆の温度差をなくしてサービスを底上げした取り組みを、ほぼフルメンバーで紹介。

そして「骨付きもも肉 ダンチキンダン」は、「一つ一つのありがとうを大切にしよう」と、チームや顧客の喜びを追求する中で突破口を見出した様をプレゼンした。


記念すべき初代「キープ・ウィル アワード」グランプリは、獅子丸が獲得。受賞に際し、店長の徳原賢治氏は「本気で努力すれば結果は後からついてくると皆にずっと話してきたが、この結果を得られて最高」と喜びを語った。MSグランプリは勝男、S1は勝男の足立みなみ氏、C1は焼鳥の炎家が受賞した。

同社代表取締役の保志真人氏は、「今は一生懸命にならなくても生きていける時代。だからこそ自分らしさを見失いがちだが、熱くならなければ生きる意味や仲間のありがたさに気付けない。目の前のことに夢中になることで、お客様を幸せにするという理念を皆で叶えたい」と、会を締め括った。


今回のアワードを本部担当者の下で統括した、手羽先料理 寅次郎の店長を務める横尾達典氏によると、このアワードには就職などで3月に店を離れるスタッフを祝福する意図もあったという。発表の出来以上に、この舞台に立つまでのプロセスに意義があったとの言葉に、参加者の成長を見届けた実感が表れていた。

終了後は、感動に、そして悔しさに涙をにじませるスタッフも多く見られた。この日を一つの原点とし、さらに飛躍していく力強い企業の姿を感じさせる企画であった。

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