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優秀SVに「業績が下降した店舗の立て直し」の極意を学ぶ

取材・文▼湯瀬 圭祐

※記載されている会社概要や肩書き、数値や固有名詞などは取材当時のものです。


グループ全体で120店舗の飲食事業を展開する株式会社ゴリップ 西日本第二営業部 勝牛関西エリア エリアマネージャー 畠山 陽太氏に、業績が下降した店舗の立て直し方についてお話を伺った。

店舗を上向きのコンディションに持っていく上での、シナリオを教えてください。

業績が低迷している店舗のコンディションを引き上げ、持続的な売上・利益や、顧客満足を獲得できる店舗に変化させるためには、いろいろな立て直しが必要かと思いますが、基本思想はやはりどこまでいっても、その店舗に所属する「人」だと思います。

所属するスタッフ一人ひとりが同じ方向を向いている状態が実現できれば、その後にいろいろな策を講じても、問題解決のスピードが飛躍的に上がります。そのための環境整備が肝かと捉えています。


具体的にどのような環境整備を進めますか?

私が店舗の立て直しをする上で意識している手順は、大きく分けて以下の3つです。


①店長積極関与 → ビジョン策定と語り部化

②業績報告書を活用した計数知識の習熟と自考力強化

③独自臨店スタイル → アルバイトスタッフに直接関わり検証


店舗のコンディションを作る主役は店長です。まずは、店長にとにかく積極的に関わって、全員が同じ方向を向くためのビジョンの策定と、スタッフにビジョンを語ることを議論しながら迫っていきます。その際に、コンディションが悪い店長は矢印が外に向いており、店舗のコンディションをメンバーのせいにしたり、環境のせいにしたり、会社のせいにしたりします。

その部分はしっかりと受け止めつつも、「自分はどうなのか?どうなりたいのか?」「ビジョンがあるか?語れるか?」ということを繰り返し聞いていきます。繰り返し議論することで、店長に環境整備の重要性を気付いてもらいます。

その上で、具体的なビジョン策定に入っていきますが、策定のフレームとして、半年単位のビジョンと、そこから逆算をした1カ月単位の目標設定を行います。ここがクリアである店長は、スタッフにそのビジョンを自ら語ってくれるので、良いチームを作ることができるのですが、やはりうまく描けない店長がとても多いのが現状です。

時間はかかりますが、繰り返し関わることで、ビジョンを明確に仕上げ、自信を持ってスタッフに語ってもらえるように関わることがポイントかと思います。その際に店長からは「頑張ります!」という回答をもらうことも多いのですが、店長には想いだけでごまかさずに、具体性を求めることを意識しています。


「②業績報告書を活用した計数知識の習熟と自考力強化」について詳しく教えて下さい。

店長のマインドアップがなされた後、次に着手すべきポイントは、店舗業績に関する知識習得です。なぜ知識かと言いますと、店長が店舗経営において具体的成果を安定的に創出するためには、業績数値に対して、「正しい事実認識」「原因の深堀り」「改善案」をセットで思考することが重要だと捉えているからです。

それぞれのフェーズでの思考の質はもちろんですが、そもそもの知識を持っていないと正しい改善案も出てきません。また、本来なら20分くらいでできる数値分析に4時間も5時間も時間をかけてしまい、現場でもずっとパソコンとにらめっこという状態ですと、アルバイトさんからの信頼も失いますし、生産性もかなり低い状態になってしまいます。

ですので、店長が数字を見て、正しく売上や利益を因数分解できるような知識習得というテーマで店長教育を加速していきます。具体的には、月に1回「業績報告書」というフォーマットを使って、過去の振り返りに加えて、未来の数字についても計画を記入してもらい、これに対するフィードバックを通して、知識習得を加速していきます。そちらの流れを整理しますと…


(a)業績報告書についてすべて教える (理由を添えてしっかりインプット)

(b)店長に作成を依頼し、都度こちらから「わからないことがないか」を聞く

(聞くのが苦手な世代の店長が増えてきており、わからないことがあったら聞いてね!というスタイルだと、うまくいかないことが多い)

(c)作成の「時間」を決めて、品質+生産性の二軸を意識させる

(d)店舗の「経営」を任せられる店長に成長する


このような流れで進めることで、店長の自考力強化を加速していきます。


「③独自臨店スタイル」の臨店手法について詳しく教えて下さい。

上記の①②まで進めば、あとは定期的な臨店チェックによって軌道修正とブラッシュアップを繰り返しながら、良いお店に持っていくことができると考えております。私は担当店舗に関しては、月に1回、2時間くらいの臨店で現場に入りながら、いろいろな事実を観察しています。


その際に意識していることは、以下の3つになります。

(ⅰ)前回できていなかったことを重点的に見る(同じ過ちを繰り返させない)

(ⅱ)店長とはあえて一緒に確認をしない

→アルバイトスタッフに直接質問することによって、ビジョンの浸透やルールの周知、やり方などを確認する

(ⅲ)アルバイトスタッフと同じ質問を店長にし、ずれや認識の違いを明確にし、軌道修正

→ずれていなければ、チームアップができている証拠


特に(ⅱ)(ⅲ)はかなり意識をしているのですが、臨店した際に、自信がない店長や計画が進捗していない店長ほど、私と一緒にチェックして、いろいろと釈明をしようとします。

そして、やはり店長も当然自分を高く評価をしてほしいので、自分が見てほしい情報だけを報告してくるケースが非常に多いです。ここに流されてしまいますと、改善は進みません。そのため、私は臨店した際には、店長に一緒にチェックについてこないように最初に指示します。

また、自分の目で確認をするということと、アルバイトスタッフに直接質問をすることによって、検証をしていきます。「このオペレーションって、どうやってる?」ですとか、「このルールって店長からどのように聞いてる?」というような流れで質問をし、その後に店長に同じ質問をします。そこで同じ答えが返ってくればOKですし、ずれている場合はその事実をしっかりと伝え、その場で対策を協議します。

この作業を繰り返すことによって、店舗としての問題解決はどんどん進んでいきますし、アルバイトスタッフの認識と店長の認識を繰り返しすり合わせることで、店長自身が他のアルバイトからどのように思われているかの「客観性」を養うことができ、人間力が強化できると考えております。


畠山SV流「立て直し」の極意とは?

キーワードは、「店長の人間力」と、「自己評価よりも他者評価」です。継続的に業績的成果を出し、お客様に喜ばれるお店を作るためには、この2つの要素がとても重要であると考えています。とても時間がかかるように感じられるかもしれませんが、優先順位を決めて関わっていけば、どんどん成長の生産性も上げることができると思いますので、引き続き関わりを加速したいです。


まとめ                                 

▼基本思想 : 人とチームアップが一番重要! ※店長がスタッフに向き合って、チーム作りをする


▼具体的手順 :

①店長積極関与 → ビジョン策定と語り部化                

②業績報告書を活用した計数知識の習熟と自考力強化    

③独自臨店スタイル → アルバイトスタッフに直接関わり検証


▼臨店のポイント :                                       

(ⅰ)前回できていないことを重点的に見る(同じ過ちを繰り返させない)        

(ⅱ)店長とはあえて一緒に確認をしない                    

→アルバイトスタッフに直接質問をすることによって、ビジョンの浸透やルールの周知、やり方などを確認する

(ⅲ)アルバイトスタッフと同じ質問を店長に実施し、ずれや認識の違いを明確にし、軌道修正

→ずれていなければ、チームアップができている証拠



<株式会社ゴリップでは、「臨店チェック」にスーパーバイザーの業務を効率化するアプリ『SVナビ』が利用されています>

『SVナビ』は、「過去データから課題の優先順位をつけることができ」「臨店時のチェックポイントも簡単にPCやスマホから入力が可能」です。『SVナビ』の概要を知りたい方はこちら。




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