生産者、販売者、レストランが一体となり、 和牛の真の美味しさを伝える
株式会社弘
代表者:西田 哲也 代表取締役社長
所在地:京都府京都市中京区壬生朱雀町2-12
設立年月:1997年11月
公式ホームページ:http://www.yakiniku-hiro.com/
事業内容:焼肉店の運営、しぐれ煮・タレ・キムチなどの加工品販売、新規外食事業と焼肉店出店支援の研究・開発、人事と教育の研究
展開するブランド:「京の焼肉処 弘」
社員数:正規48名、パート・アルバイトなど302名
『季刊MS&コンサルティング 2014年冬 特別号』掲載
※記載されている会社概要や役職名などは、インタビュー(掲載)当時のものです。ご了承ください。
一頭買いによる良質で安価な商品供給
株式会社弘が創業した当時、焼肉といえばタンやカルビが主流で、稀少部位が受け入れられない時代であった。実家が精肉店を営む代表取締役社長の西田哲也氏は肉のプロとして、部位にこだわらず一番おいしいものを提案し、和牛の本当のおいしさを味わってもらいたいと考えていた。精肉店は実兄が継ぎ、西田社長は精肉業の強みを活かせる焼肉店「弘」をオープンした。
同社では、兄と共同で牛の一頭買いをしている。それぞれ精肉店向け、焼肉店向けに肉を振り分け、更に、焼肉店向けの肉の中でも価格の高い部位を高単価業態、安い部位を低単価業態へと細かく分けて展開し、全ての部位をお客さまに提供している。
このように細かく肉の振り分けをすることで、肉を適正価格でお客さまに提供する。結果、生産者へも適正な利益が還元でき、生産者の生活の安定にも貢献。そのことによって生まれた信頼関係が、安定した良質な肉の仕入れにつながっている。
『自分の可能性を信じる』為に、大きな努力と小さな成功を積み重ね、自分自身の可能性を信じることの出来る人間へと成長させていく(写真はダントツメニュー試食会総括の様子)。
「守る」と「磨きこみ」
どんなに良質の肉を仕入れても、お客さまにおいしい状態で食べてもらうことができなければ意味がないと西田氏はいう。同社では、全調理人が肉1枚のグラム数や塩の分量まで違わず、全メニューをレシピ通りに作れるような教育を実施している。我流を排除し、安定した品質のメニューが提供できる状態をつくっている。
スタッフの知識やスキルアップのため、セミナーやスキルアップ研修を紹介し、会社経費での受講や出勤扱いでの受講まで幅広い支援を行なう(写真はフォーラム発表風景)。
一方で定期的に「ダントツ計画」を実施。料理長たちが既存メニューから料理を一つ選び、各店舗、全員で試行錯誤し、より良い調理法や提供方法を追求する。そして、試食会を実施後、一番おいしかった店の改良案を新しいレシピとして全店舗で採用し、メニューの完成度を高めている。「守る」「磨きこみ」を大切にし、高水準の定番メニューを提供することを誇りとしている。
最終的に手を加えるスタッフのモチベーションも重要である。同社では各店舗でアルバイトミーティングが行なわれ、アルバイト中心にまとめられた意見が社長、本部長に報告される。決めた内容よりも、決めてチャレンジすることによるスタッフのモチベーション向上を優先するため、上がってきた意見に対して基本的に「ノー」ということはない。
また、各店舗からその日に活躍したスタッフが全社掲示板に書き込まれ、それに対して社長は毎日返信をする。これは社長が現場を離れた10年ほど前から行なわれている。花に水をあげるようにスタッフへ愛情を注ぎ、全員で一丸となってお客さまに肉を一番美味しい状態で提供できるよう、西田氏は毎日欠かさずスタッフとの対話を続けている。
スタッフは出勤から退勤まで、それぞれの役割にあわせて多くの決められた作業をこなす。常に目的を意識しながら過ごすことで、自身への信頼や成長に繋がっている。