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新型コロナウイルスに関する消費者意識調査【2020年8月下旬】

連日、新型コロナウイルス(以下COVID-19)の新規陽性者数が報道されており、芸能人の陽性者についての報道も依然として目立ちます。一方、全国で梅雨が明けたとたんに酷暑が日本列島に猛威を振るっており、熱中症とCOVID-19の両方に気を付けなければならない「特別な夏」となりました。

一般消費者の調査パネル51万人を持つ株式会社MS&Consultingは、サービス事業者の皆様にとって「お客様の持つ“今”の感覚」をネットリサーチにより継続的に把握し、その動向を社会へ発信していくことは有意義であると考え、無料レポートとして継続的に公開していくことにしました。

感染症対策と経済活動の両立を目指すサービス事業者の皆様に役立つ情報をタイムリーに発信していきたいと考えております。

期間  … 2020年8月20日~23日

回答数 … 845名

※性別(男女)、年代(20代、30代、40代、50代以上)、エリア(1都3県、それ以外)がほぼ均等になるように調査を行いました。


1.COVID-19に対する危機感の上昇傾向は止まるものの、依然として高い水準

「コロナウイルスに対する危機感をどの程度感じていますか?10段階でお答えください」という設問について、これまでの調査との比較を行いました(図1)。前回の調査後には引き続き日々の新規陽性者数は全国で1000名を超える日が続くものの、常に最多を更新する状況ではなくなり、増加の傾向は徐々に収まってきている状態となりました。

これまでの調査と比較した結果、上昇傾向だった「COVID-19に対する危機感」は今回一転して減少しました。このまま減少傾向が続くかどうかは分かりませんが、5月25日に緊急事態宣言が解除されて3ヶ月が経過してもなお不安を感じる層が全体の8割弱である状況は続いており、依然として高い水準で推移しています。

図1 COVID-19に対する危機感の分布

「コロナウイルスに対する危機感をどの程度感じていますか?10段階でお答えください。」に対する回答

1回目:2020年4月14日 (n=375) 2回目:2020年5月15日~16日 (n=1109)

3回目:2020年6月17日~23日 (n=823) 4回目:2020年7月10日~14日 (n=841)

5回目:2020年7月30日~8月3日 (n=833)

いずれもインターネットによるアンケートリサーチ


また、1都3県とそれ以外で比較すると、今回については1都3県とそれ以外で危機感に大きな差はみられませんでした(図2)。


1都3県

1都3県以外

図2 1都3県とそれ以外におけるCOVID-19に対する危機感の比較

「コロナウイルスに対する危機感をどの程度感じていますか?10段階でお答えください。」に対する回答


3回目:2020年6月17日~23日実施、n=405(1都3県)、418(それ以外)

4回目:2020年7月10日~14日実施、n=416(1都3県)、425(それ以外)

5回目:2020年7月30日~8月3日実施、n=415(1都3県)、418(それ以外)

第6回:2020年8月20日~8月23日実施、n=418(1都3県)、427(それ以外)


2.年代別では20代30代の危機感は減少、性別では女性の危機感は減少するも男性よりも引き続き強い傾向

今回の結果を年代別、性別で比較しました。その結果、前回大きく高まっていた若年層の危機感は減少しており、年代別での「少しでも危機感を感じている層(6点以上)」の比率は、あまり差が無くなってきました。


20代

30代

40代

50代


図3 年代別のCOVID-19に対する危機感の比較

「コロナウイルスに対する危機感をどの程度感じていますか?10段階でお答えください。」に対する回答


3回目:2020年6月17日~23日実施、n=200(20代)204(30代)206(40代)213(50代)

4回目:2020年7月10日~14日実施、n=205(20代)203(30代)210(40代)223(50代)

5回目:2020年7月30日~8月3日実施、n=200(20代)204(30代)210(40代)220(50代)

6回目:2020年8月20日~8月23日実施、n=208(20代)206(30代)212(40代)219(50代)



性別でみると男性よりも女性の方が引き続き強い危機感を持っており、その傾向は緊急事態宣言解除以降より顕著になってきています。このことから、女性客が多い、もしくは女性客の獲得を狙っているブランドや業態においては、来店されるお客様に対してより感染症対策に対して安心感を持ってもらうことが重要になっているものと考えられます。

男性

​​​​​​​

女性

図4 性別のCOVID-19に対する危機感の比較

「コロナウイルスに対する危機感をどの程度感じていますか?10段階でお答えください。」に対する回答


3回目:2020年6月17日~23日実施、n=417(男性)406(女性)

4回目:2020年7月10日~14日実施、n=413(男性)428(女性)

5回目:2020年7月30日~8月3日実施、n=413(男性)420(女性)

6回目:2020年8月20日~8月23日実施、n=417(男性)428(女性)



3.「居酒屋を利用することに対する抵抗感」や「マスク着用でも不安に感じる接客時間」に大きな変化は生じていない。


一般消費者の心理をもう少し詳しくみてみると、少しずつ回復している経済活動レベルとは異なる、緊急事態宣言解除後と大きく変わっていない一般消費者意識がみえてきました。

「他のグループと1m以上間隔が空いている場合、”居酒屋”で飲食することに抵抗を感じますか?」という設問に対する回答も、この4回で大きな変化はみられていません(図5)。また「自分もスタッフさんもお互いにマスクをしている場合、対面で接客を受ける時間として不安を感じるもの全て選択してください。」という設問で最も短い時間の割合の比較をしても、若干不安を感じる時間が短くなっているものの大きな変化とはなりませんでした(図6)。

つまり、経済活動が再開されるなかでも消費者心理としてCOVID-19に対する危機感や実店舗を利用する不安感については軽減されていませんでした。即ち感染症の不安を抱えているお客様も実店舗を訪れるようになっていると考えられることから、店舗の感染症対策への感度も高まっていることが推察されます。


図5 居酒屋で飲食することに対する抵抗感

(他のグループと1mの距離が離れている場合)

3回目:2020年6月17日~23日 (n=823) 4回目:2020年7月10日~14日 (n=841)

5回目:2020年7月30日~8月3日 (n=833) 6回目:2020年8月20日~8月23日  (n=845)



図6 お互いにマスクを着用した上でも不安を感じる接客時間

3回目:2020年6月17日~23日 (n=823) 4回目:2020年7月10日~14日 (n=841)

5回目:2020年7月30日~8月3日 (n=833) 6回目:2020年8月20日~8月23日  (n=845)


このことからも、居酒屋など飲食店における新型コロナウイルス感染症対策の必要性はさらに増していると考えられます。


文責:株式会社MS&Consulting チーフデータサイエンティスト 錦織浩志

MS&Consulting 錦織浩志
MS&Consulting 錦織浩志
東京大学 大学院を修了後、MS&Consultingへ入社。データアナリストとしてビックデータの分析を担当。その知見を活かし、国立研究開発法人 産業技術総合研究所との共同研究の成果として、数々の共著論文を発表。研究テーマ例に「従業員エンゲージメントと顧客満足の関連性分析」「パート・アルバイトの従業員エンゲージメントの特徴」「サービス・ベンチマーキングによるサービス・プロフィット・チェーンの高度化に関する研究(サービス学会BestPaperAward受賞)」など。

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