紹介従業員エンゲージメントの高い企業の共通点とは?事例を交えてご紹介
近年、企業の競争力の源が「人材」へと急速に変化しており、人材の力を最大限に引き出すための「従業員エンゲージメント向上」にも注目が集まっています。本記事では、「従業員エンゲージメント向上に成功した4つの店舗運営企業の事例」と「その共通点」をご紹介します。
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従業員エンゲージメントが注目される理由
従業員エンゲージメントとは、従業員の「組織が目指す姿」や「自分自身の仕事」に対する熱意・貢献意欲のことです。
「従業員満足度」が従業員の組織に対する満足度を測る指標であるのに対し、「従業員エンゲージメント」は組織への信頼度や仕事に対する熱意や没頭度など、従業員と組織の関係性を広範囲に計測できることや、人的資本経営への取り組みが必要となってきていることから、近年、HR関連の調査指標として使われることが増えています。
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さて、この従業員エンゲージメントに注目が集まっている背景には、次の3つの理由があります。
1.「人手不足対策」としての注目
従業員エンゲージメントを高めると、従業員の組織に対する帰属意識が向上するため、定着率向上が期待できます。
少子高齢化や人口減少に直面している日本では、人手不足を感じている企業の割合が、正社員で51.4%、非正社員で30.7%になるなど、年々深刻化しています(帝国データバンク「人手不足に対する企業の動向調査(2023年4月))。
ところが、採用市場における企業間競争は年々厳しくなるばかりです。そんな背景から、「採用強化」とあわせて「従業員エンゲージメント向上による離職率改善」の2本柱で人手不足対策に取り組む企業が増えています。
2.「ブランド差別化戦略」としての注目
市場内での競争が激化する中でも、お客様に選ばれるために、優れた顧客体験(CX)を提供することがより重要になってきています。最前線で顧客に接するのは現場の従業員です。熱意を持って仕事に取り組み、自発的に顧客接点の改善に努めてくれる従業員の存在はブランド差別化の鍵となります。
優れた顧客体験(CX)を持続的に提供できる組織づくりという面でも、従業員エンゲージメントに注目が集まっています。
3 .「人的資本経営」としての注目
ビジネスの競争力の源泉が、工場や設備などの有形資産から、特許や商標権、従業員の持つ技術・能力などの無形資産にシフトしつつあることから、投資家の「無形資産」への関心が高まっています。
このような潮流を背景に、日本でも2023年3月期より有価証券報告書等による人的資本に関する開示が義務化され、対応を強化する必要性が生じています。そして、従業員エンゲージメントは人的資本経営における重要指標になり得ることから注目を集めています。
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従業員エンゲージメント向上に成功した企業の事例
では、どうしたら従業員エンゲージメントを高めることができるのでしょうか?次に、「従業員エンゲージメントの向上に成功した企業の取り組み事例」を4つご紹介します。
◆社員教育の内容を改定、離職率が大幅改善(飲食企業A社の事例)
5年で店舗数を2倍に拡大したこの飲食企業では、アルバイトを含めた年間採用人数が1,800~2,000人の規模に拡大していました。結果、新人トレーニングの工数やコストが増大。「スタッフ定着率の向上」に取り組むことで、必要採用人数の膨張を防ぐ重要性が増していました。
同社はまず、自社の現在地を把握するため、店舗ビジネス向け従業員エンゲージメント調査を導入しました。そして、診断の結果わかったのは、上司の「部下に対するコミュニケーション知識の不足」です。
スタッフ定着率に影響の大きい課題を発見した同社は、
・年間20回の研修実施(幹部/エリアマネージャー/店長対象) ・スタッフと本部のホットライン設置 |
といった取り組みを行い、上司との人間関係が原因と思われる退職者を前年比50%減少させることに成功、全体の離職率も低下しました。優先して解決すべき「離職理由」を特定してから取り組んだことで、成果につながった優良事例です。
>>株式会社トランジットジェネラルオフィス様の事例(詳しい内容はこちらから)
◆早期離職を改善するための本部施策(銀行業B社の事例)
銀行業を営むこの企業は、日本経営品質賞に取り組む中で従業員エンゲージメント調査「tenpoketチームアンケート」を実施しました。結果、入社5年未満の行員のスコアの低さを発見し、下記の取り組みを行いました。
・ブロックサポーター制度
若手行員のサポート役をブロック毎に4名任命し、情報交換会や食事会を行ってもらう制度。若手行員が気軽に相談できるようになったことで、離職の傾向を早期に発見、手を打てるようになった。 ・学習デー
各支店で役職者が若手行員に対する勉強会を月1回開催する制度。役職者と若手行員の距離感を縮めることや役職者の教育スキル向上に成功。
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入社5年未満の行員に対する取り組みでは一定の成果が出たため、今後は、入社10年前後の行員とパートスタッフのエンゲージメント向上に取り組む予定です。従業員エンゲージメント向上に手探りで取り組むのではなく、診断から課題(どの入社年次が最優先なのか) を特定してから取り組むことで、施策が的を射たものになり成果につながった優良事例です。
>>肥後銀行様の事例(詳しい内容はこちらから)
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◆各店舗のマネジメントレベルを引き上げ(アパレル企業C社の事例)
あるアパレル企業で、弊社の従業員エンゲージメント調査「tenpoketチームアンケート」のスコアと業績の関係について分析をしたところ、「従業員エンゲージメントのスコアが高い店舗」ほど「予算達成率・売上前年比ともに高い」ことがわかりました。
そこで同社は、各店舗のマネジメント指標にエンゲージメントスコアを取り入れ、あわせて、「まず従業員エンゲージメント、次に顧客満足度に取り組んでほしい」という方針を明確に示し、各店が取り組む施策の優先順位を判断できるようにしました。
<スコア別取り組み指針>
エンゲージメントスコアが低い店舗(B・C・Dランク)➡チーム力アップ
エンゲージメントスコアが高い店舗(S・Aランク)➡接客スキルアップ
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また従業員エンゲージメントスコアが低い店舗(C・Dランク)には、早急に エリアサポーターが支援に入り、立て直しを支えました。
こうした取り組みの結果、スタッフ全員を巻き込める仕組みとなり、全社的に活動が定着していきました。店舗のコンディションを「業績」だけでなく、「業績」+「エンゲージメント」「CS」の3つの視点から判断できるようにしたことで、店舗のマネジメントレベルを一段引き上げた優良事例です。
>>株式会社ストライプインターナショナル様の事例(詳しい内容はこちらから)
◆店長教育に従業員エンゲージメント調査を活用(化粧品専門店D社の事例)
製造業が強い愛知県に立地するこの会社の周りには、給与や福利厚生の条件がとても良い企業が多数あります。そんな中にある中小企業の同社は「大きい会社」ではなく、人事や教育といった分野を強化して「幸せな会社」を目指すことを経営方針としています。
具体的に取り組んだのは、店長教育に店舗ビジネス向け従業員エンゲージメント調査を活用することです。店舗毎の従業員エンゲージメントの状態を公表、自店舗の強み・弱みを押さえてもらい、次の調査までに改善に取り組んでもらうPDCAサイクルを確立しました。
店長指導の際、上司の感覚的な判断だけでなく、客観的な数字に基づいて話をすることで、より的確な指導が行えること、指導を受ける側の納得度が増すことを活かし、店長教育を進化させた優良事例です。
>>株式会社くわこや様の事例(詳しい内容はこちらから)
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従業員エンゲージメントが高い企業の共通項は?
さて、従業員エンゲージメント向上の取り組みを成功させるために押さえておくべきこととは何でしょうか?先述の3つの成功事例の共通項を洗い出してみましょう。
1.従業員エンゲージメントへの影響が大きい「上司力」の改善
従業員エンゲージメント向上を成功させた先述の企業では、下記のような上司を巻き込んだ施策を、何かしら取り入れていました。
・役職者向けコミュニケーション研修の運用
・役職者に勉強会を開催してもらい、若手との関係性改善
・マネージャーの管理指標に従業員エンゲージメントスコアを追加
・店長育成ツールとして従業員エンゲージメント調査を利用
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部下の育成・サポートや業務管理を担う上司が、部下の従業員エンゲージメントに及ぼす影響は大きなものです。従業員エンゲージメント改善の取り組みに、上司にあたる社員を何らかの形で巻き込む工夫を考えることが大事と言えそうです。
2.「全社改善」か「部署毎改善」かの見極め
従業員エンゲージメント改善施策は大きくわけて2つあります。1つ目は、評価制度改定や役職者研修の開催など「本部主導の全社的な施策」です。2つ目は「部署毎の改善施策」です。現在の従業員エンゲージメントが低い理由によって、「全社改善」か「部署毎改善」なのか、それとも「両者の改善」なのかが決まってきます。その点を適切に見極めていたのが、前述の事例の特徴でした。
3.診断ツールを使って、ポイントを特定してから取り組んでいる
従業員エンゲージメント調査などの診断ツールを用いて、自社が取り組むべきポイントを特定してから、具体的な施策を決定していた点にも共通項が見出せました。客観的な判断を可能にする診断ツールや診断指標などを用いて、自社の従業員エンゲージメント向上ポイントを特定してから、具体策に取り組むことが重要と言えそうです。.
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まとめ
本記事では、エンゲージメント向上に成功した企業事例とその共通点をご紹介しました。今後、さらにエンゲージメント向上による離職防止や人材価値の活用の重要性は増してくると考えられます。
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