お客様は「セルフレジ導入」をどう評価している? スーパーマーケット編
セルフ式のレジの導入がここ数年増加しています。一方、普段使い慣れていない方にとってはその操作に戸惑ったり時間がかかったりする側面もあります。スーパーマーケットのセルフレジ導入について一般消費者はどう感じているのかを、ネットリサーチを用いて調査してみました。(調査日:2020年12月20日~23日、回答数828名)
- セルフレジに対して一般消費者は概ね好印象を持っている
- セミセルフレジよりセルフレジの方が好印象の比率が高く、抵抗がある層は少ない
- キャッシュレス対応やクーポン対応がやりにくいと「足が遠のく」可能性がある
1.レジのセルフ化に対して一般消費者は概ね好印象である
まず、普段利用するスーパーマーケットのレジがどのような形式かを以下の4パターンで調査しました。
- 通常のレジ(商品スキャン・会計はスタッフ、袋詰めは自分で行う)
- セルフレジ(商品スキャン・会計・袋詰めを全て自分で行う)
- セミセルフレジ(商品スキャンはスタッフ、会計・袋詰めを自分で行う)
- フルサービスのレジ(商品スキャン・会計・袋詰めまで全てスタッフが行う)
その結果、以下の図のように「通常のレジ」を使っている人が最も多くて76.4%、次いでセルフレジ、セミセルフレジの順となっていました。
図1 「普段使うスーパーマーケットのレジ形式」に対する回答分布
※設問:あなたが普段スーパーマーケットを使うとき、レジはどのような形式ですか?当てはまるものを全てお選びください。
次に「セルフレジ」と「セミセルフレジ」のレジがあるスーパーマーケットについて「どのような印象を持ちますか?」と尋ねたところ、いずれの場合も「好印象がある」または「好印象でそのお店に興味が増す」と答えた人の方が、「若干抵抗がある」または「若干抵抗があり足が遠のく」と答えた人よりも多くなっていました。このことから「レジのセルフ化に対して一般消費者は概ね好印象である」と言えます。
図2 「セルフレジがあるスーパーマーケット」に対する回答分布
※設問:「セルフレジ(商品スキャン・会計・袋詰めを全て自分で行う)」があるスーパーマーケットに対して、どのような印象を持つか最も近いものを1つお答えください。
図3 「セミセルフレジがあるスーパーマーケット」に対する回答分布
※「セミセルフレジ(商品スキャンはスタッフ、会計と袋詰めを自分で行う)」があるスーパーマーケットに対して、どのような印象を持つか最も近いものを1つお答えください。
2.セミセルフレジよりセルフレジの方が好印象の比率が高く、抵抗がある層は少ない
「若干抵抗がある」または「若干抵抗があり足が遠のく」の回答があった比率を年代別、性別で比較しました(図4、図5)。その結果、セミセルフレジは男性よりも女性で、セルフレジは40代以上よりも20代、30代で抵抗感が少ないという傾向がありました。
図4 性別の"抵抗感がある"比率の比較
図5 年代別の"抵抗感がある"比率の比較
図6 年代別の"好印象がある"比率の比較
3.セルフレジ・セミセルフレジで気になることは?
「セルフレジやセミセルフレジ、フルサービスのレジについて、普段感じていることがあれば自由にご記入ください。」とフリーコメントをとると、以下のような声が多く聞こえました。
レジの形式は選べた方が良い(購入する品数によって変えたい、操作に慣れていない人は通常レジに行って欲しい、など)
セルフレジ、セミセルフレジに関して、慣れていればスムーズですが、慣れていない方にとってはやはり戸惑いもあると思います。慣れていない方が並ばれた場合、かえって混雑してしまい時間がかかることもありました。また、支払い方法の多様化(現金、カード以外の支払い:PayPayや楽天ペイなど)で、混雑が生じている例もあります。タッチパネルの簡素化や携帯端末のバーコード、QRコードをスキャンしただけで支払い方法が簡単に識別され、支払いが済むなど、物に触れずスムーズに支払いができるようになれば、もっと便利になると思います。(30代女性)
セルフレジに抵抗はありませんが、高齢者の方が手間取っているのを見ると、全てセルフにしてしまうのもどうなのかな、と思います。(40代女性)
セミセルフレジは、店員さんとの接触を防ぐという意味でもとても良い方法だと思います。買い物点数にかかわりなく、スキャンは店員さんがしてくれるので、レジが極端な渋滞になることもないので、私は良い方式だと思っています。セルフレジは、買い上げ点数が多い、また年配の方等操作に慣れていない場合、極端に時間がかかることがあり、それならフルサービスに並んでいた方が早かったな、ということもよくあるので、消費者側の使い分けも肝心かと思います。(40代男性)
キャッシュレス対応やクーポン対応など、操作がやりにくいと「そのスーパーから足が遠のく」
地元はだいたいセミセルフレジが主流。ほとんどの店のセミセルフレジはレジの方がポイントを入れたりポイントを使う分引いてくれたりするので、客は金額を払うだけになっている。しかし、地元にある○○という店のセミセルフレジはやり方が面倒なので(工程とか支払い時にポイントを使う作業やポイント付ける作業を全て自分でやる)やりたくないとの話を聞く。自分も行かなくなった。(40代女性)
セルフレジで独自のルールがある店舗(通常のバーコードは客でもスキャンできるが、割引が適用されるバーコードは店員を呼ばないとできない)は、魅力的であっても行きたくない。過去に痛い目を見た。(30代男性)
4.感染症対策と生産性向上の両面でニーズは高まっていく
「感染症対策」という文脈の中でも注目を浴びるようになってきたセルフレジですが、元々は「レジスタッフの業務負荷軽減」「人件費削減」といった目的で導入されてきたシステムでした。そういった「生産性の向上」という役割の重要性は、このコロナ禍においてさらに高まっています。加えてRFIDタグなどの技術革新により、アパレルなどでは商品のバーコードスキャンも不要になっているサービスが出始めています。今後「感染症対策」と「生産性向上」の両面で注目が高まっていくことは間違いないと考えられます。
MS&Consultingでは今後も消費者意識調査を行い、感染症対策と経済活動の両立させるためのヒントとなる基礎データをタイムリーに発信していきたいと考えております。