コロナ禍でも予算達成。鍵は「お客様とお店の親近感」◆焼肉なべしま・加治木店◆
コロナ禍でも予算を達成しているお店の店長はどんな事に取り組んでいるのか?「焼肉なべしま・加治木店」の立野店長にお話しを伺いました。(インタビュー日:2020年11月5日)
Q.想定外のコロナ危機、売上の状況はいかがでしょうか?
有難いことに予算を大幅に超えることができています。お客様の数(客数)が増えたと思います。
Q.業績達成のためにどんな事に取り組んでいますか?
一番大切にしているのは「お客様と会話する事」です。
例えば、ご来店されたお客様には「いらっしゃいませ」にプラスして「外は寒かったですか?」などと声をかけます。すると、お客様も「今日は寒かったね」など言葉を返してくれます。すると「昼は暑くて仕方がなかったですね」といった様に会話をつなげることができます。
こういった会話ができるとお客様とお店の間に親近感や特別感が生まれます。
入店される時に「笑顔のお客様」と「普通の顔のお客様」がいらっしゃるのですが、「普通の顔で入店されてきたお客様」には笑顔になってもらえるように特に話しかけに行きます。
‟ちょっとした会話”がお客様とお店の間に親近感・特別感を生む
Q.スタッフ全員がお客様との会話をするのですか?
いいえ。できる人ができる時にというスタンスです。スタッフが笑顔で臨めなければ逆効果ですから無理はさせません。以下のように取り組んでいます。
無理なくスタッフとお客様との会話を増やす ・常連をよく知っているスタッフ中心に実施。 ・会話好きの常連様には新人を紹介。お客様と会話する楽しさを覚えてもらう。 ・インカムで「〇〇席のお客様を笑顔にしてきて下さい!」と冗談交じりで指示。聞いたスタッフ全員が笑顔になり一石二鳥。 ・店長は全方位。色々なお客様に話しかける。 |
Q.会話とオペレーションの生産性は両立しますか?
会話が好きな常連様がご来店されたら「ちょっと〇〇様と話してきます」とスタッフに断ってお客様のところに行くこともありますが、ごく稀です。
基本はオペレーションしながらの会話です。それでも、レジで「また来るね」とおっしゃって下さる方がいらっしゃいます。短い会話でもお客様とお店の間に特別感は生まれると感じています。
Q.コミュニケーションが得意なんですね。
実は厨房育ちで根っこは口下手なんです。ただ、お客様に感謝の気持ちを何とか伝えたい、「ご来店ありがとうございます」という気持ちを何とか伝えたいと思い会話に取り組んでいます。
感謝の気持ちが土台にあるからお客様にも伝わる
Q.その他、業績達成のために大事にしている事は?
商品の品質です。スタッフにも「自分達がダメだなと思うものはお客様もダメだと感じるよ。自分達が食べたくなるものを出さないといけない」と伝えています。お客様ががっかりする部分をなくす、その上でのお客様との会話です。
お客様ががっかりする部分をなくした上での会話だから成果が出る
Q.リーダーとして1番大事にしている事は何ですか?
スタッフが楽しそうにしていると、お店に活気が出るし、お客様の評価も高まります。ですから「スタッフが笑顔でいられるような働きやすさ」を大切にしています。
Q.「スタッフが笑顔でいられる働きやすさ」、具体的に取り組んでいる事は?
「スタッフの事を知る努力」「自分より相手が何を考えているかを考える」といった事を意識しています。具体的には次のような点に取り組んでいます。
相手の立場に立ったシフト調整 「子供が急に熱を出しましたと欠勤連絡があった時はソフト対応」「(コロナ禍の今は)収入が家計に影響するスタッフのシフトを維持するための調整」などスタッフ一人ひとりの立場を理解して采配するようにしています。 スタッフの笑顔を常にチェック 将来のためになる事は厳しく言う |
保護者の方が「ありがとうございました」とわざわざ伝えに来てくれたり、「うちの店長はスタッフの都合を嫌な顔をせず話を聞いてくれるよ」と紹介採用があったりと、自分のやり方でもスタッフの心に響いている部分はあると感じています。
‟スタッフが笑顔で働ける店舗づくり”は顧客評価向上にもつながる
編集後記
コロナ禍に立ち向かうにあたりとても勇気づけられる成功事例でした。さて、立野店長のように「接客が得意な店長」が予算達成できるかどうかのポイントは何処にあるのでしょうか?
沢山の店長にインタビューを重ねていますが、下記①だけに取り組んでいる場合は上手くいっていない印象です。店長がいない日との落差、店長と他のスタッフとの落差が目についてしまい、結果、お店にお客様がつかないのです。
①お客様が笑顔になる会話の提供 ②スタッフが笑顔で働ける店舗づくり |
もし、接客が得意なのに業績が不調な店長がいたら①と②の両方に注力してみてとアドバイスしてあげてほしいと思います。
相手の気持ちに敏感な接客が得意な店長が、スタッフの気持ちにも目を向けることができれば、スタッフとの信頼関係が生まれ、店舗全体の接客レベル・雰囲気が引き上げられるからです。
※取材:株式会社MS&Consulting 児玉彩子
※記載の数値や固有名詞などは取材当時のものです。