サービス力を見える化する方法【サービスマネージャーの教育法(2/4)】
「1日で1組のお客様が入るかどうか」だったフレンチレストランを、店長として月商1400万円の繁盛店へと立て直した経験を持つ、遠山氏。飲食店を展開する株式会社プレジャーカンパニーのサービスマネージャーとして、店舗スタッフの教育に携わられている同氏に、サービス教育のポイントについてお話を伺った。
サービス教育は効果の測定が難しいと思いますが、どのようにされていますか?
「パートナー(アルバイトスタッフ)の時給平均」を教育効果を測る指標の一つとしています。例えば、パートナーの平均時給が1000円なら「1000円のスキルの店」ということ。その平均が上がるということは、すなわち店舗のサービスレベルが上がるということだと捉えています。
また、全メンバーの平均時給とは別に、主力メンバーの平均時給も確認するようにしています。全メンバーの平均だと1100円のお店だったとしても、平均値を引き上げている1200円のメンバーはほとんどシフトに入っておらず、1050円のメンバーが主力だというのであれば、お客様に提供できている価値は1050円のレベルだということになりますので。
そして、店長と「メンバー数、全平均時給、主力平均時給」の表(下図)を見ながら、「この1000円の子を、3カ月で1050円に引き上げよう」「4月に1250円の子が抜けるから、それまでに1050円の2人を時給1100円のレベルに上げておこう」などと、具体的なサービススキル向上の計画に役立てています。
【店舗別時給集計表】
※提供資料を基に当社で編集
御社の規模でサービス教育に専任者をおくのは、思い切った配置だと思います。
弊社では、サービスこそが、他店との差別化を進めていく上で重要な要素であり、業績に直結する部分だと考えています。今はどんなジャンルでも店舗が乱立していて、シビアな時代です。「料理がおいしい」のは当たり前で、料理だけでお客様を惹きつけられるのは、よっぽど突出したメニューがなければ、多くても来店3回目まででしょう。
一方で、「サービスの磨き方」というのはなかなか真似できるものではありませんから、そこを理論的に磨くことで他店との差別化を図ることができると考えています。というのも、ほとんどの店舗ではサービス教育を感覚や属人性頼みで行っているからです。そのため、優秀な人がいても、そのスキルを店舗全体や会社全体に広げていくことができません。
ですから、たとえ今の弊社のサービスをまねされても、「サービスの磨き方」を他社が知らなければ、サービスで差別化し続けられます。それが専任している意味です。だから私は、サービスの教育を理論的に捉え、理論的に伝えていくことで誰でも高いクオリティーに共有・進化できるよう取り組んでいます。
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