82%の人が「値上げでも利用を続けているお店がある」と回答。その理由とは?
2022年10月は消費者物価が前年同月より3.6%上昇、1982年2月以来40年8カ月ぶりの高い伸びとなりました(全国消費者物価指数/総務省より)。続く物価上昇に、消費者の値上げに対する意識はどのように変化したのでしょうか?リサーチ結果を報告します。(調査期間:2022年11月1日~7日、調査手法:ネットリサーチ、回答数:1,050名)
家計への負担感
【値上げによる家計の負担を感じていますか?】の問いに対して84.3%の人が「感じている(6点以上)」と回答、5カ月連続で微増しています。一方で、「強く感じている(9点以上)」と回答した人は41.4%と先月より微減しました【図1】。
【図1】値上げによる家計への負担を感じていますか?
【値上げによる家計への負担感】を世帯年収別にみると、世帯年収が低くなるほど家計への負担感が強くなっています。特に「強く感じている(9点以上)」と回答した割合が世帯年収500万を境に差が出ています【図2】。
【図2】世帯年収別/値上げによる家計への負担感
性別/年代別の家計への負担感では、これまでの調査と大きな変化はなく「女性のほうが負担感が高い」「年代による家計への負担感の差はない」という傾向は継続していました。
仕方がないと感じる値上げ理由
次に、【仕方がないと感じる値上げ理由】について調査しました。結果、「原材料費の高騰」「輸送費の高騰」「水道光熱費の高騰」「為替の変動」による値上げについては、6割以上の人が仕方ないと回答しました【図3】。この結果は、前回調査した2022年8月と比べて大きな変化はありませんでした。
【図3】○○を理由とした値上げは仕方ないと思いますか?
値上げがあっても、そのお店を継続して利用している理由とは?
今月は"値上げがあっても利用を続けているお店とその理由"について調査しました。
まず【1年前と比較した現在、値上げがあったが利用を続けているお店はありますか?】と聞いたところ、82.0%の人が「値上げがあっても利用を続けているお店がある」と回答しました【図4】。
【図4】1年前と比較して値上げがあっても、利用を続けているお店はありますか?
【値上げがあっても利用を続けているお店がある】と回答した人に、そのお店を利用し続けている理由を聞いたところ、以下のようなコメントが寄せられました。
利用を続けている理由 ・そのお店にしかない商品やサービスがあるから
・お気に入りのお店は値上げがあっても応援したいから ・家族や同伴者など、自分以外の人も気に入っているお店だから
・行きつけの店だから ・自宅や職場から近く立地が良いから ・値上げの説明に納得できたから ・クーポンやポイント還元があるから
・駐車場無料や宅配などの便利なサービスがあるから
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一方で、【利用を続けているお店はない】と回答した18.0%の人に「値上げがあったお店に○○があったら利用を続けていたというものがあれば教えてください。」と聞いたところ、以下のようなコメントがありました。
〇〇があったら利用を続けていた
・そのお店ならではの商品やサービス
・値上げに見合う品質やサービス向上
・子連れへの配慮など利用のしやすさ
・クーポンやポイント還元などの施策
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「値上げがあっても継続利用している理由」と「〇〇があったら利用を続けていた」の両方に共通していた点は下記の通りです。
- そのお店にしかない商品やサービスがある
- 子供など、自分以外の同伴者も気に入っており、快適に過ごせる
- クーポンやポイント還元などがある
値上げを考える際は、自社で上記「お客様が利用し続ける理由」をいくつ用意できているか、チェックしてみてください。
弊社サービス『ミステリーショッピングリサーチ(覆面調査)』では、値上げ前後の顧客満足度の変化の調査など値上げ実施に際してのサポートも可能です。お気軽にお問合せください(お問合せはこちらから⇒)。
執筆:株式会社MS&Consulting ブランディング推進部 並木彩華、監修:同社 データ活用推進室 室長 チーフデータサイエンティスト 錦織浩志