外食単価、いくら値上がりすると負担を感じる?
2022年10月は幅広い商品の値上げが一斉にありました。食品の値上げだけでも約6,600品目に達し2022年の月別で最多になるなど(帝国データバンク調べ)、消費者の生活に与えた影響は大きかったと推測されます。そんな"今"消費者の値上げに対する意識はどのように変化したのでしょうか?リサーチ結果を報告します。(調査期間:2022年10月1日~5日、調査手法:ネットリサーチ、回答数:1,050名)
家計への負担感(先月からの変化)
【値上げによる家計の負担を感じていますか?】の問いに対して82.8%と約8割の人が「感じている(6点以上)」と回答しました。また「強く感じている(9点以上)」と回答した人も43.2%となり、先月に引き続き、家計への負担を感じていると回答した割合が微増しました【図1】。
【図1】値上げによる家計への負担を感じていますか?
家計への負担感(性別・年代別)
性別では、値上げによる家計の負担を「感じている(6点以上)」と回答した人は、男性は79.6%であったのに対し、女性85.9%となりました。女性の方が「値上げによる家計への負担感がある」と回答した人が6.3ポイント多い結果となりました【図2】。年代別では顕著な特徴は見られませんでした【図3】。
【図2】性別/家計への負担感
【図3】年代別/家計への負担感
「外食の値上げ」に対する消費者意識
毎月定例で行っている本調査ですが、今月は"外食における値上げ"について調査しました。
まず【外食をする際に値上げの実感はありますか?】と聞いたところ、75.5%の人が「実感している(6点以上)」、36.6%の人が「強く実感している(9点以上)」と回答しました【図4】。
【図4】外食をする際に値上げの実感はありますか?
続いて、【1回あたりの外食金額(ディナー利用時)がいくら上がると値上げの負担を感じるか】について調査しました。
すると、1回あたり1,000円未満でディナーをよく利用している人は3%未満の値上げでも負担を感じるとの回答割合が39.1%とになったのに対し、1回あたり1,000~1,500円でディナーをよく利用している人場合は3%未満の値上げで負担を感じる割合は13.2%に低下するなど、日頃の外食単価(ディナー)が高い人の方が、値上げに対しての許容度も高いという結果になりました【図5】。
【図5】ディナー単価がいくら上がると値上げの負担を感じますか?
※設問:ディナー1回あたりに使う金額がいくら上がると値上げの負担を感じますか?(最もよく利用する単価別に集計)
同様に、【値上げを感じた場合に外食頻度を変えますか】の質問についても、日頃の外食単価(ディナー)が高い人ほど、来店頻度は変えないという回答比率が高い結果となりました【図6】。
【図6】値上げと来店頻度の関係
※設問:値上げを感じた際、飲食店への来店頻度を変えますか?(最もよく利用する単価別に集計)
また【同伴者別の値上げがあった際の来店頻度】についても調査しました。
結果、来店頻度は変えないと回答した割合が最も多かったのは「仕事関係(同僚・先輩・上司・取り引き先)」との外食(50.0%の人が値上げがあっても来店頻度は変えないと回答)となりました。逆に、「一人」での来店頻度については、値上げがあったら減らす39.7%、変えない31.4%と二極化、人によって判断がわれる結果となりました【図7】。
【図7】値上げを感じた際、来店頻度を変えますか?(ディナーの同伴者別)
本調査からは、
- 日頃の外食単価が高い人の方が値上許容度が大きい
- 日頃の外食単価が高い人の方が値上げがあっても来店頻度を維持しようとする傾向がある
- 値上げを感じた際でも、来店頻度が変わりにくいのは仕事関係での食事シーン
といったことがわかりました。
飲食店で空腹を満たすための食事をするだけではなく、少し高いお金を払ってでも楽しみたいというシーンでは値上げがあっても来店頻度が下がりにくいということが推察されます。
弊社サービス『ミステリーショッピングリサーチ(覆面調査)』では、値上げ前後の顧客満足度の変化の調査など値上げ実施に際してのサポートも可能です。お気軽にお問合せください(お問合せはこちらから⇒)。
執筆:株式会社MS&Consulting ブランディング推進部 並木彩華、監修:同社 データ活用推進室 室長 チーフデータサイエンティスト 錦織浩志