新型コロナウイルスに関する消費者意識調査【2021年9月】
新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に関する消費者意識調査を、2021年9月20日から9月22日にかけて行いました(回答数1070名)。緊急事態宣言の期間が再度延長されるも全国で新規陽性者数は減少傾向に転じ、ワクチン接種も急速に進んでいる今、消費者の危機感や意識はどう変わったのか報告します。
- 危機感は急下降するも、新規陽性者数が急増する前(7月末)の水準に比べると依然として高い
- 性別・年代・エリアによらず危機感は低下、特に20代男女・30代男性でその傾向は顕著だった
- 業種を問わずサービス利用に対する抵抗感はまだ高い状態となっている
1.危機感は急下降するも、新規陽性者数が急増する前(7月末)の水準に比べるとまだ高い
調査が行われた9月末時点では新規陽性者数はピークを過ぎ減少傾向でした。結果、消費者の危機感も前回から急下降しました。新規陽性者数が急増する前の7月末時点の水準近くまで下がってはいるものの、ワクチン接種が進んでいるからといって危機感が和らいだとはまだ言えない状態です。
【図1】新型コロナに対する危機感分布
「コロナウイルスに対する危機感をどの程度感じていますか?10段階でお答えください。」に対する回答
【図2】「新規陽性者数7日間移動平均」と「新型コロナに対する危機感平均値」
「コロナウイルスに対する危機感をどの程度感じていますか?10段階でお答えください。」に対する回答
2.性別・年代・エリアによらず危機感は低下、特に20代男女・30代男性でその傾向は顕著だった
今回は性別・年代によらず危機感が低下しました。特に20代男女・30代男性でその傾向が顕著に表れています。
【図3】男女別・危機感
「コロナウイルスに対する危機感をどの程度感じていますか?10段階でお答えください。」に対する回答
【図4】年代別・危機感
「コロナウイルスに対する危機感をどの程度感じていますか?10段階でお答えください。」に対する回答
エリア別にみても全てのエリアで危機感が低下していますが、特に関西圏(大阪、兵庫、京都)で危機感が低下しています。関西圏と比べると、東京や神奈川、千葉、埼玉の関東圏は下降幅が小さく、まだ危機感は下がりきっていない状態であると言えます。
【図5】エリア別・危機感
「コロナウイルスに対する危機感をどの程度感じていますか?10段階でお答えください。」に対する回答
3.業種を問わずサービス利用に対する抵抗感はまだ高い状態となっている
「居酒屋利用に対する抵抗感」は男女とも減少しました。特に男性の抵抗感が前回から大きく低下しています。ただし、直近1年間の中でも断トツで高かった前回調査時の次に高い状態となっており、抵抗感は下がりきっていない状態です。女性についても4月・5月の水準を若干下回っているものの依然として高い水準です。居酒屋利用への抵抗感はまだしばらく続くことが予想されます。
【図6】男女別・居酒屋利用に対する抵抗感
「他のグループと1m以上間隔が空いている場合、居酒屋で飲食することに抵抗を感じますか?」に対する回答で「どちらかと言えば抵抗を感じる~非常に抵抗を感じる」が選択された比率
また、その他のサービス利用に対しても抵抗感は依然としてまだ高い状態となっています。ワクチン接種が進み、我慢してきた消費活動を徐々に再開させたい欲求が高まっていく中で、消費者は「外食したいし、買い物もしたい。けれど感染症対策も気になる」という葛藤を抱えていくものと想定されます。どの業種においても、今一度感染症対策の徹底度を引き続き確認していく必要があると考えられます。
【図7】各種サービス利用形態に対する“抵抗を感じる”側の比率
“抵抗を感じる”側の比率…「非常に抵抗を感じる」から「どちらかと言えば抵抗を感じる」までを足し合わせた比率
MS&Consulting社では消費者意識調査を定期的に行い、感染症対策と経済活動を両立させるヒントとなる基礎データをタイムリーに発信していきます。この大変な時期の一助となれば幸いです。
◆データはいずれもネットリサーチ当社調べ(2021年9月20日~9月22日、回答数1070名)
◆執筆:株式会社MS&Consulting チーフデータサイエンティスト 錦織浩志