働き方改革の落とし穴!?従業員満足度につながらない可能性とは?
「働き方改革」という言葉の浸透
2016年9月、内閣官房に「働き方改革実現推進室」が設置されてから1年と7か月が経ちました。
政府の発表には、働き方改革とは 「個々の事情に応じた多様な働き方をできる社会を実現することで、働く方一人ひとりがより良い将来の展望を持てるようにすること」を意義としているとされており、従業員の働きやすさを追求し、労働生産性の向上を図るための取り組みです。具体的には、「長時間労働の是正」や、「フレキシブルな勤務体制の導入、リモートワークの推進など柔軟な働き方がしやすい環境整備」「同一労働同一賃金など非正規雇用の処遇改善」などが含まれます。
さて、では実際に働き方改革に取り組む企業は増えているのでしょうか?
デロイトトーマツコンサルティングが発表した調査結果「働き方改革の実態調査2017~Future of Workを見据えて~」によると、「働き方改革を実施済/実施中」と回答した企業の割合は、2015年には34%だったものが、2年後の2017年には73%と2倍以上に増加しています【図1】。多くの企業が「働き方改革」に取り組んでいることがわかります。
【図1】働き方改革に取り組む企業が増えている
Q.働き方改革の取り組み状況について、最もあてはまる項目を選択してください。
※出所:デロイト トーマツ コンサルティング社「働き方改革の実態調査2017~Future of Workを見据えて~」調査結果より弊社作成
「働き方改革」の目的とは?
さて、働き方改革に取り組む目的とは何でしょうか?
政府が方針を発表した背景には、日本が直面している少子高齢化にともなう生産年齢人口の減少や働くスタイルの多様化があります。
日本の人口は減少の一途を辿っており、2050年には1億人を下回るといわれています。従業員が柔軟な働き方を選べるようにすること、また、意欲・能力を最大限に発揮できる環境をつくることで、「労働生産性の向上」や「女性や高齢者などの労働参加率の向上」を実現し、日本が直面する人口減少や労働力不足問題を解決する。このことが政府発表としての、働き方改革の目的と言えます。
一方で、実際に働き方改革に取り組む企業は、どのような目的を持って改革を推進しているのでしょうか?
先ほどのデロイトトーマツコンサルティング社の調査結果をご紹介します。同調査に回答した238社が働き方改革に取り組む目的トップ3は下記の通りです(複数回答可)。
1位:生産性の向上 87%
2位:従業員の心身の健康の向上 76%
3位:従業員満足度の向上 74%
企業の実際に即した働き方改革では、「長時間労働の是正」だけに留まらず、「労働生産性の向上」や「従業員の働きがいや満足度向上」をも目指す取り組みとすることが重要であることがわかります。
「働き方改革」は、従業員満足度を高められるのか?
一方で、同調査にはこのような結果も紹介されていました。働き方改革の「効果を感じている企業」は全体の49%と約半数ある一方で、「従業員の満足も得られたと回答した企業」は全体の28%にとどまっているという結果です。
【図1】働き方改革の効果
Q.働き方の効果について、最もあてはまる項目を選択してください(N=237)
※出所:デロイト トーマツ コンサルティング社「働き方改革の実態調査2017~Future of Workを見据えて~」調査結果より弊社作成
つまり、取り組んだ企業の多くが「働き方改革が従業員の満足にはつながっていない」と感じているのです。これは一体なぜでしょうか。
私たちの従業員満足度調査「tenpoket(テンポケット)チームアンケート」のデータを分析すると、サービス業で働くスタッフの従業員満足度に影響を与える要素には下記の4つがあることがわかります。
①上司:どんな上司と一緒に働くか
②仲間:どんな仲間と同じチームで働くか
③仕事:どのように自分の仕事を捉えているか
④会社:会社に対してどう感じているのか
「長時間労働の是正」に取り組むと④会社への評価が向上しますが、当然ですが、従業員満足度は決してそれだけで決まるものではありません。特にサービス業の現場を支える店長やアルバイトスタッフの方々にとっては、①~③の影響が大きいものです。
労働時間を適正化して心身ともに健康な状態で働くことは土台として不可欠ですが、そこに加えて「上司のリーダーシップ」「仲間とのチームワーク」「仕事自体の楽しさ」を高めていくこと、もし①~③の現状が分からないのであれば現状の数値化、可視化することも「働き方改革」で成果を出すために必要な両輪と言えます。
参考資料:デロイト トーマツ コンサルティング社「働き方改革の実態調査2017~Future of Workを見据えて~」調査結果
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