【第3回外食クオリティサービス大賞レポート】 30年間生き続ける経営理念 その一貫性と継続性のヒント



ヒッコリー株式会社

URL:http://www.hickory.co.jp/
本社所在地:東京都町田市玉川学園2-7-4 正和ビル3階
設立:1978年9月/資本金:4,000万円
店舗数:5店舗(オールドヒッコリー、ヒッコリーファーム)
経営理念:『ヒッコリー』は北米産のクルミに似た木ですが、古くは、農具の柄やスキーの板など日常的な道具として人々の生活の支えとなってきました。私達はそのヒッコリーの木のように、人々の生活に欠かせない”食”を通じ 皆様のお役に立ちたいと思います。


※記載されている会社概要や役職名などは、インタビュー(掲載)当時のものです。ご了承ください。

親子2世代に渡りファミリーに愛され続けるイタリアンレストラン、ヒッコリー株式会社。創業当初から店舗を「ステージ」、スタッフを「キャスト(※ヒッコリーではアルバイトさんを、「キャスト」と呼んでいる)」と呼び、「賞賛される人生」を掲げて一貫した理念経営を行ってきた。理念実現のための、世界レベルのピザショーやピザ教室の取り組みを、毎月欠かさないPDCAサイクル(※PDCAサイクルとはPlan(計画)→Do(実行)→Check(評価)→Action(改善)を繰り返し、継続的な業務改善をすること)が支える。
ヒッコリー株式会社はミステリーショッピングリサーチに基づく外食クオリティサービス大賞の1次審査を唯一3回連続で通過した企業である。栄枯盛衰が激しい外食産業において、どのようにして、顧客からの高い支持を維持し続けているのだろうか。

理念・価値観

現在の社員は全員がアルバイト出身であり、定着率・組織風土の良さを伺わせる。理念浸透の背景には、経営陣が「人を大切にする企業」を実践していることが重要なポイントだ。また、無理のある出店、利益だけを考え、これまでの軸から外れるような業態開発をせず、経営理念が開業以来変わらず守り続けられていることも、価値観浸透の欠かせないの要因であることは間違いない。

経営計画

月一回の全体会議にて目標の設定と評価を行い、店舗毎の2週間ミーティングを通じて売上目標数値と作業計画を社員とキャストが一緒になって立てる。そして、毎月の改善計画を立て、実行する。そんな店舗単位での身近で基本的なマネジメントを忠実に行っている。その中で、着実に内部留保を蓄積し、条件に合った物件が見つかれば出店するという堅実経営を貫く。

業態コンセプト

30年前に一号店を出した当時より、「大手チェーンが入り込めない」ところをターゲットにし、住宅が密集する郊外立地での出店展開を行ってきた。キッズルームを設置するなど、特に小さい子供がいる家庭に合わせたコンセプトである。主力メニューは石窯の薪ピザ。ピザの生地や技術にはこだわりをもって教育しており、イタリアのピザ大会に毎年参加し、ピザの品質向上やイタリアの技術導入を進めているところは特筆すべき点である。他企業の追随を許さないレベルにまでクオリティが高められているのである。

オペレーション・サービス

毎週ピザショーを行い、近隣の子供たち向けのピザ教室を開催する等、顧客を楽しませるための工夫を行っている。ピザショーについては、イタリアのピザ選手権で入賞するレベルまで訓練することによって、キャストのチームワーク向上と商品の品質担保を実現している。 また、境川店ではケーキの製造、平塚店ではソースの製造など、一部店舗は機能特化したセントラルキッチンの役割を担っており、専任スタッフがこだわりの商品を全店に供給する。しかも、セントラルキッチンにすることでカットできるコストを食材に転化し、あえて原価率が高いメニューを提供することで、プラスアルファのお値打ち感をお客様に感じて頂き、リピート利用につなげている。このような顧客本位の現場に基づいた戦略が、業態の強みとなっている。


マネジメントの仕組み

5つの成果の視点(業績・顧客感動満足・従業員感動満足・人財育成・仕組み化)に基づくPDCAサイクルを毎月実行しており、全店共通の仕組みとして機能している。また、毎月、実施しているミステリーショッピングリサーチの結果とコメントを各店で分析し、検討課題、取り組みの写真、表彰者を「オープンサポートファイル」と呼ばれる資料にまとめ、全店で共有している。また、全店舗のインストラクターがキッチン・ホール別に1ヶ月に1回以上集まり、取り組みを共有。それを自店にて展開する仕組みが機能している。


評価は3ヶ月毎に行うことになっており、毎日の密なコミュニケーションにより納得度を保っている。また、マニュアル類を整えつつも、創業以来行われてきたOJT(※OJT(On-the-Job Trainingの略)は職場での実務を通じて行う従業員の教育や訓練のこと)が教育の中心なっており、職人的な社風が息付いている。

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