新型コロナウイルスに関する消費者意識調査【2022年3月】
オミクロン株による新規陽性者数が、減少傾向ではあるものの依然として高止まりしている現在、 消費者の「新型コロナウイルスに対する危機感」や「消費行動」はどう変化したのでしょうか?2022年2月28日から3月2日にかけてネットリサーチを用いて調査しました(回答数:1081名)。
- 消費者の「新型コロナへの危機感」が低下。前月より感染者数が多いのに、危機感が低下したのは‟初めて”
- すべての「性別」「年代」「エリア」で危機感が低下
- 「各種サービスを利用することに対する抵抗感」も一部で減少傾向。消費行動が少しずつ活発化することが期待される
※一般消費者による顧客満足度調査「ミステリーショッピングリサーチ」のモニター会員へのネットリサーチ(回答数:1081名) 詳細>>
1.「新型コロナへの危機感」が低下
「新型コロナウイルスに対する危機感をどの程度感じていますか?」の質問に対し、「非常に不安 ~ どちらかというと不安」と回答した"不安側"の割合は、前回調査時(22年1月20日~23日)から低下しました【図1】。
【図1】新型コロナに対する危機感
前回調査時は1日あたりの新規陽性者数が2万人から6万人ほどへと「急増していた時期」で、比べると今回の調査時は1日あたりの新規陽性者数が9万人から7万人ほどへと「減少していた時期」だったことが影響していると思われます。
ただ、減少傾向とは言え、まだ1日あたりの新規陽性者数は依然として高い水準です。この調査をはじめて2年が経ちますが、「前月より感染者数が多いのに危機感が低下した」のは初めてです【図2】。
【図2】「新型コロナに対する危機感平均値」と「新規陽性者数7日間移動平均」
ワクチンの追加接種がスタートするなどポジティブな報道も多いこと、また、数万単位の感染者数が連日続いていることで感覚が麻痺し、多くの消費者の危機感が感染者数とは連動しづらくなっていることが推察できます。サービス業の現場ではポスターなどでお客様へ「コロナ対応のお願い」を告知しているかと思いますが、危機感の低下をふまえ、改めて周知徹底を促すことが必要かもしれません。
2.すべての「性別」「年代」「エリア」で危機感が低下
すべての「性別」「年代」「エリア」で危機感が低下しました。「男性より女性の方が危機感が高い」「若年層より高齢層の方が危機感が高い」という傾向は、これまでと同様でした【図3・4・5】。
【図3】性別の危機感
設問:新型コロナウイルスに対する危機感をどの程度感じていますか?10段階でお答えください
【図4】年代別の危機感
設問:新型コロナウイルスに対する危機感をどの程度感じていますか?10段階でお答えください
【図5】エリア別の危機感
設問:新型コロナウイルスに対する危機感をどの程度感じていますか?10段階でお答えください
3.「各種サービスを利用することに対する抵抗感」も一部で減少傾向
各種サービスを利用することへの抵抗感について聞くと、「ビュッフェ形式での食事」「小売店で他人が手に取る商品の購入」以外は抵抗感が減少しました【図6】。新型コロナウイルスに対する危機感の低下と連動して、一部のサービス利用への抵抗感は減少傾向です。町の賑わいが少しずつ戻ることが期待されます。
【図6】各種サービスに対する“抵抗を感じる”側の比率
※“抵抗を感じる”側の比率…「非常に抵抗を感じる」から「どちらかといえば抵抗を感じる」までを足し合わせた比率
また、「現在、外食に出る理由」についても聞いたところ、まん延防止措置が続いているにも関わらず「ストレス発散のため」「非日常を楽しむため」という理由での外食ニーズが上昇しました【図7】。
「友人・知人とコミュニケーションを取るため」という外食ニーズはわずかな上昇だったこととあわせて考えると、‟長く続くコロナ禍に飽き飽きしてきた、感染につながる行動(家族以外との接触)はなるべく避けながらも、自宅以外での生活も楽しみたい”という消費者の気持ちが推察されます。コロナ禍で多くのことが変わりましたが、店舗型のサービス業が提供してきたワクワク感や非日常感といった価値については、お客様に変わらずに必要とされているということを感じます。
【図7】外食に出る理由
※設問:現在、外食に出る理由として当てはまるものを全て選択してください。
MS&Consulting社では消費者意識調査を定期的に行い、感染症対策と経済活動を両立させるヒントとなる基礎データを発信していきます。この大変な時期の一助となれば幸いです。
◆監修:株式会社MS&Consulting チーフデータサイエンティスト 錦織浩志