CS調査とは?『販売業』のCS調査は設問設計に注意が必要!
「CS(顧客満足度)調査活用の極意」、今回は、アパレル・カーディーラー・保険などスタッフが店頭で接客だけでなく販売も行う「対面販売業種」で‟CS調査のアンケート項目を決める時の注意点”について解説します。なぜなら、一般的な「接客満足度調査」と「販売力調査」とでは必要な調査票が異なるからです。せっかくCS調査を導入したのに、サービス品質だけが高まり、販売力強化にはつながらなかった・・・といったことにならないためにも必読です!
『販売業』のCS調査項目を決める時に‟やってはいけないこと”
CS調査の導入が決まったら、次は調査項目を考えることになります(下図3番)。
販売業の方々が、この時やってはいけないことは「セールスステップ」の視点だけで調査項目を考えることです。「セールスステップ」とは、お客様に対してスタッフが行うべき行動をステップにわけて整理したものです。
例えばアパレルなら次のようなイメージです。
さて、CS調査の項目を考えるというと、この「セールスステップ」の中から、特に品質チェックしたいものを洗い出すというのが一般的なイメージかもしれません。ですが、販売業ではこのやり方だと不十分です!
なぜなら、「売れる販売員」と「売れない販売員」の違いは、
❝顧客心理に沿ってセールスステップを進めているかどうか❞
にあるからです。
例えば、話しかけられたくなさそうなお客様に対して、
-
売れない販売員の対応
「そちらの商品、素敵ですよね!」(お客様の警戒心が解けていないのにアプローチしてしまう) - 売れる販売員の対応
「似たような商品はこちらにもありますよ」(店内をご案内)
といったケースです。
「売れる販売員」は顧客心理がまだ購買に至らないと判断した時は、セールスステップを無理に進めず、別の対応を取ります。
販売業では「顧客心理ステップ」も加味してCS調査項目を決めることが大事
さて、このお客様が購買に至るまでの心理の変化を「顧客心理ステップ」と呼びます。業種によって違いますが主に以下のステップがあります。
※「優秀販売員へのインタビュー調査」より導出。業種によって異なるため詳しくはお問合せ下さい。
そして、この「顧客心理ステップ」も加味して調査項目を考えることで、顧客心理に寄り添いながらセールスステップを進められていたか”をチェックできる調査設問を見つけることができます。
例えば、
- 【相談了解】担当スタッフは「プロとしての商品知識」を持っていると感じましたか?
- 【購入決定】スタッフによるお勧め商品の説明で、購入意欲が高まりましたか?
などです。販売業のCS調査においては「セールスステップ」のできている/できていないだけをチェックしても販売力は中々高まりません。この「顧客心理ステップ」から考えた調査項目を見つけだすことがとても大事です。
まとめます。下の図は「セールスステップ」と「顧客心理ステップ」の関係を図にしたものです。
各スタッフが同じように顧客対応をしているように見えても、実は3パターンの結果があることが分かります。
- ❶理想的なパターン:顧客心理に添ってセールスステップを進め、購買に至ったケース
- ➋心理無視失敗パターン:顧客心理が高まっていないのに、セールスステップを進め‟押し売り”に感じられてしまったケース
- ➌機会損失パターン:顧客心理が高まっていたのに、セールスステップを進めず購買を逃したケース
そして、前述したような「顧客心理ステップ」の視点も加味した調査項目にすることで、下記のような課題が‟見える化”されます。
□各店舗は❶~➌のどのパターンが多いのか □各店舗の弱点となっているステップ □セールスステップは難なくこなせているが販売実績が高まらないスタッフの弱点ステップ |
販売力強化の課題となっているステップを‟見える化”すれば、そのステップに対する対策を練ることができ、スタッフの販売力は徐々に洗練されていきます。
CS調査の醍醐味は‟お客様視点の評価”を得ることができる点です。「セールスステップ」はある意味、マネージャーや本部でもチェックが可能です。CS調査でしか調べることのできない‟スタッフは顧客心理にどこまで寄り添えていたか”を設問項目に入れないのは、とてももったいない!調査項目は「セールステップ」と「顧客心理ステップ」の2軸で決めていく必要がある、ということを覚えておいて下さい。
まとめ:販売業でCS調査項目を決める時の進め方
本記事のまとめです。
□売れる販売員は「セールスステップ」と「顧客心理ステップ」の2軸を上手に進めている □そのためCS調査の項目設計は、次の順に考えることが大切 ①自社店舗の「セールスステップ」を整理する ②「顧客心理ステップ」の視点から①の過不足点を洗い出す |
CS調査は項目設計が鍵の1つ、自店舗に合っていない調査票はスタッフが活用しづらく、マンネリ化していきます。(株)MS&Consultingでは、現場を熟知した業界専門担当者が設問設計の相談にのっています。お気軽にご相談下さい。
著者:株式会社MS&Consulting ブランディング推進部 児玉彩子