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【7月:サービスステーション業界】新型コロナウイルス対策調査の傾向分析レポート

緊急事態宣言が全国で解除されて以降、徐々に新規陽性者数が増えてきた中で、経済と感染症対策の両立を模索してきた7月。そんな7月に弊社が実施したサービスステーション(以下、SS)の店舗へのミステリーショッピングリサーチ(覆面調査)の結果を分析すると”今の消費者”が期待している新型コロナウイルス対策の水準が分かってきました。消費者にとって、どのような対策が「できていて当たり前」と感じ、どのような対策が「より一層安心できる」のでしょうか。

対象期間  … 2020年7月1日~7月31日

対象調査数 … 1312店舗


1.「感染症の不安」を感じてしまっているお客様は全体の2割弱程度

調査には、まず「感染症の心配なく、店舗を安心して利用できると感じましたか。」という設問があり、4つの選択肢(非常に安心だった、問題なし、やや安心感に欠けた、非常に不安を感じた)から1つを選んでいただきます。

7月1日から31日の間で調査が行われた1312店舗において「やや安心感に欠けた」と答えた人が全体の16.8%、「非常に不安を感じた」と答えた人が全体の2.7%で、合わせて計2割弱(19.5%)の人が来店した店舗で不安感があった、という結果になりました。これはセルフ小売業と比べて約2倍の数値となっており、SS業界については不安を感じることが比較的多い傾向がありました。



図1 7月のSS業界の店舗調査における感染症対策の安心感 回答分布


2.感染症対策の安心感が再来店意思に与える影響は、SS業態においても大きい 

2割弱の人がお買い物をする中で不安感があったと答える一方、「非常に安心だった」と答えた方が3割強(34.0%)そして「問題無し」と答えた人が5割弱(46.5%)と、店舗による差が大きいことが分かります。そして、データをより詳しく見ると、この「感染症対策の安心感」は「このお店にまた来たいと思ったか」という再来店意思とも連動していることが分かりました。

図2 感染症対策の安心感別の「必ずまた来たい」獲得率

*不安・・・非常に不安を感じた or やや安心感に欠けた

  • 非常に安心と感じる店舗では、64.7%もの人が「必ずまた来たい」と回答しており、これは問題なしと感じる店舗よりも「必ずまた来たい」と答える人の割合が25.2pt高かった。

図3 感染症対策の安心感別の「たぶん(絶対)来ない」選択率

*不安・・・非常に不安を感じた or やや安心感に欠けた


  • 不安に感じる店舗では、23.2%の人が「たぶん(絶対)来ない」と回答しており、これは問題なしと感じる店舗よりも「たぶん(絶対)来ない」と答える人の割合が15.0pt高かった。


つまり

店舗利用時にお客様が感じる感染症対策への安心感の程度は、離反要因にもリピート要因にもなりえる。

ということが分かります。


3.「お客様への積極的な働きかけ」や「会計時の間接的な対応」は、できていない率が高い傾向

では、具体的な感染症対策の中で「できていない店舗が多いもの」は一体どうなっているのでしょうか。それをまとめたものが下記の図4になります。

図4 感染症対策設問における「できていない」割合

一口に感染症対策設問と言っても、店舗での実施状況には大きなばらつきがありました。特に「やり取りの中で消毒利用の案内」や「スタッフからの店舗の感染症対策に関する説明」については80%以上の店舗で「できていない」という結果になっていました。


4.スタッフや店舗から「積極的に伝えること」が安心感をつくる

それでは感染症対策に対して「非常に安心」という高評価を受けている店舗では、一体どのような項目が特に徹底がされているのでしょうか。逆に不安を感じさせてしまっている店舗では、どのような項目が特におろそかになってしまっているのでしょうか。

それらを表1と表2にまとめました。

表1 「非常に安心」と「問題なし」の実施率GAP上位5項目

表2 「不安」と「問題なし」の実施率GAP上位5項目


この結果を見ると、

  • 「スタッフが商品や備品の消毒をしている」「感染予防に関する各種注意喚起の案内やPOP」といった項目は「できているとより安心を感じられる」効果のある行動だと考えられる。(表1)
  • 一方「スタッフの適切なマスク着用」といった項目は「できていることが期待水準」となっており、ここができていないと「安心感が欠ける、不安」という気持ちになってしまう。(表2)

つまり、

まず感染症対策を徹底し、不安を取り除いた上で、

スタッフや店舗から積極的に伝え、安心してもらうことが重要

だということが分かります。


5.調査コメントから分かること

店舗での感染症対策に「非常に不安を感じた or やや安心感に欠けた」と回答した調査員が「店舗を利用していて、感染症に関して不安に感じたものがあればご記載ください。」という設問に書いていたコメントをいくつかご紹介します。

サービスエリアのガソリンスタンドなので不特定多数のいろいろな地域から来られる方が利用する場所だと思うのにマスクもされておらず、ほぼ何も感染症対策をされていませんでした。もう少し気にされた方がいいと思いました。

感染症対策面では、かなり不安を感じました。残念ながらトイレには消毒液や石鹸もありませんでした。スタッフさんはマスクが使用されておらず、お釣りも手渡しでした。

釣り銭の受け渡しが、トレーに乗せての受け渡しではなく直接手渡しだった点です。注文を受けたスタッフさんが、マスクをあごの下にずらしており、飛沫が飛ばないか心配でした。

給油用の使い捨てビニール手袋がなく、サービスルームにも消毒薬の設置がなかったのでトイレで手洗いする必要があったことと、サービスルームがあまり広くないにもかかわらず複数名のスタッフさんが待機されていて、入り口の換気もされていなかったので対策が不十分だと感じました。

スタッフさんがメール会員の説明をしに出てきてくださったのは有り難かったですが、マスクを胸ポケットに入れていて説明してくださった時に付けていなかったことが少し気になりました。

接客中、スタッフさんがマスクをあごにおろして話をされていたのでとても気になりました。

気温が暑かったせいもあると思うのですが、どのスタッフさんもマスクを着用しておられませんでした。またトイレにハンドソープ、そしてお客様の手が触れる場所に消毒液などの除菌グッズがあるとより安心して使用できると感じました。


特に多かったのが「マスクはしているが、あごにずらしている」というコメントです。暑い日が続き、動く中で暑苦しくなってしまうこともあるかもしれませんが、適切なマスク着用は引き続き心がけていきたい項目です。

また、フルサービスにおいては釣り銭の受け渡しも含めてスタッフと接する機会があるため配慮が必要になること、サービスルーム内やトイレの清掃状況についても普段以上にお客様からの期待値が高まっていること、が特徴的でした。

筆者も普段から車に乗るため、よくSSを利用します。しかし上記のコメントにあるようにマスクの着用については店舗やスタッフによるばらつきが大きいと感じます。特に私がよく利用するSSでは洗車中やピットでの作業中のスタッフがマスクをあごにずらしている姿をよく見ました。

先日そのSSで新型コロナウイルスの陽性者が発生してしまい、そのSSは2週間の臨時休業となりました。いくら気を付けていても感染してしまうのは仕方ない部分もありますが、普段から感染対策がきちんと遂行できていないSSだと「あのSSのスタッフさん、マスクをきちんと着用していなかったな」という印象がどうしてもついてしまいます。お客様との信頼関係という意味でも、きちんとした感染症対策は重要です。


6.まとめ

今回の調査で感染症対策の実施度には店舗によってかなりばらつきがあることが分かりました。また、その実施度はお客様の「安心感」につながり「また来たい」「もう来たくない」という再来店意向へつながっていることも分かります。しかし、お客様の不安を払しょくするには、コロナ対策を徹底するだけではなく、それらの対策が「お客様に伝わっているのか」を確認していくことが重要です。


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現状把握・改善するなら「新型コロナウイルス対策調査」をぜひご検討ください。


チーフデータサイエンティスト 錦織浩志
チーフデータサイエンティスト 錦織浩志
東京大学大学院工学系研究科を修了後、2012年に株式会社MS&Consultingへ入社。産業技術総合研究所との共同研究にプロジェクト開始当初からプロジェクトリーダーとして参画。社内初のデータサイエンティストとして大量の顧客満足度や従業員満足度の調査データ分析を担当。

自社の感染症対策にお客様は安全・安心を感じているのか?「新型コロナウイルス対策調査」で確認いただけます。

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