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電力切り替え満足度調査 ~サイト・コールセンターを実際に利用したモニターの評価より~

電力会社の切り替えや比較検討をする時に有力な情報源の1つとなるのが各電力会社のホームページである。そこで、15社のサイト、また、サイトに掲載されているコールセンターの問合せ対応について顧客満足度調査を実施した。どのようなサイト・問合せ対応であればお客様の切り替え意思は高まるのか、詳細を下記にお伝えする。




「ぜひ切り替えを検討したい」と評価したお客様は30%

電力各社のサイトを利用したお客様の「切り替え意思(設問:今回のサイト利用の一連の体験を通じて切り替えの検討をしたいと思いましたか)」について15サイトの平均分布は下図の通りとなった。自社サイトの顧客満足度スコアの良し悪しを判断する際の参考値にしてほしい。


【切り替え意思の分布】


また、サイトごとの得点率のばらつきは下図の通りである。1位と15位では45ポイントもの差があり、顧客満足度はサイトによって大きくばらつくことがわかった。


【検討意思のサイト別得点率】

※得点率計算方法:選択肢は「3点是非検討をしたい」「2点検討をしたい」「1点たぶん検討はしない」「0点絶対に検討をしない」の4つ。例えば、3人の評価が「3点」「2点」「1点」だった場合(3+2+1)÷3=2で平均は2点。2点は満点の3点に対して67%の達成率のため、得点率は67%と表示。1サイト3~4名の覆面調査を実施。


検討経験の有無で切り替え意思の分布が変わる

50件の回答の内43件(86%)は、これまで電力会社の切り替えを検討したことがないお客様であった。

【検討経験の分布】


「サイト利用の一連の体験を通じて切り替えを検討したいと思いましたか」という設問に「ぜひ検討をしたい(最高得点)」と答えた人は、過去に切り替えを検討したことがある場合は7人中0名(0%)だったのに対し、一度も切り替えを検討したことがない場合は43名中15名(35%)だった。このことから、これまで切り替えを検討したことのないお客様の方が「ちょっと考えてみようかな?」と思うようである。


【検討経験の有無で切り替え意思の分布が変わる】



切り替え意思を高める3つのポイント

では、どうしたら切り替え意思を高めることができるのか?「最高得点(ぜひ検討をしたいの評価)のレポート」と「その他のレポート」を比較分析してわかったポイントを紹介する。


①【サイト】契約・申込方法がわかりやすいか

契約・申込方法をわかりやすく表示できているサイト、また、Q&Aを充実させているサイトの満足度が高い傾向にあった。

利用者コメント例:「手続きが難しいイメージでしたが、契約の流れがチャート式で記載されていてわかりやすかった」「Q&A集があってわからないことがサイト上で解決した」


②【電話対応】スタッフからの追加説明があるか

質問にただ回答するだけけではなく、お客様にあわせた情報を積極的に提示できた場合は満足度が高まる傾向にあった。

利用者コメント例:「夏場と冬場は少々高くなってしまうとのデメリットについてもお話しいただき安心できました」「現在の大体の電気料金を伝えると、月のKW数や料金単価、他社の単価平均を説明してくれた」


③【電話対応】お客様に寄り添った温かみのある対応か

お客様の声色から心情を察し、それにあわせた声がけや説明を先回りしてできているケースでは満足度が高まる傾向にあった。

利用者コメント例:「現契約のアンペア数が答えられずにいると一般的な例を出して説明してくれた」「不安に寄り添う言葉をかけていただけた」


サイトに対する不満要因

次にお客様の切り替え意思が低くなってしまうケース(「たぶん検討しない」「絶対に検討しない」)となる時の傾向を紹介する。


①【サイト】切り替えることで料金がお得になるのかわからない

利用者コメント例:「ガスと電気のセット割が謳われていたが料金シミュレーションではガス料金がどれくらいお得になるかわからなかった」「基本料金が安いとあったが他社と比較してどれくらい安いのかわからなかった」


②【電話対応】スタッフから契約メリットに関する説明が不足

利用者コメント例:「メリットについて伺った際、サイトで具体的な試算をしないとお得になるか説明できないと言われた」「サイトに面白そうなキャンペーンがあったが電話に対応してくれたスタッフさんからは案内がなかった」


③【電話対応】お客様に寄り添った対応ができていない

利用者コメント例:「他社と比べてどれくらい安くなるか聞いた際、ホームページを見て自分で調べるよう淡々と案内された」「一方的に話をされてこちらが話すタイミングをいただけなかった」



まとめ

今回の調査では「電力会社の切り替えに興味はあるが具体的に検討した経験はない」と答えたお客様が44%もいた。そのようなお客様を引き込むためには、「切り替えメリットがあるのかわかりやすく判断できるサイト」「契約・申込方法がわかりやすくまとめられているサイト」を作ることが大事であることがわかった。

また、具体的に検討を進めるお客様からの電話問合せ対応については、「不安になりがちなお客様の気持ちに寄り添う声かけや姿勢」「聞かれたことに答えるだけでなくお客様一人ひとりにあわせた情報提供」を大事にしたい。

すべて当然のこととお感じになるかもしれないが、その当然のことの実施率が各社でばらつきがあったというのが今回の調査結果である。ばらつきがある、すなわち、差別化要素になるということである。印象に残った点を自社に活かしてもらえたら幸いである。


文:古田顕尚




コンサルタント 古田顕尚
コンサルタント 古田顕尚
株式会社MS&Consulting リレーション本部 コンサルタント。2015年入社。調査運用部門、データ分析部門を経てコンサルタントとなる。従業員満足度調査・顧客満足度調査の実施・分析を元にした組織風土改善や人材教育に従事。飲食業、流通業、商業施設など、多岐にわたる業界の支援を担当。