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ウィズコロナの今、お客さまが小売業のサービスに求める優先順位は?

「緊急事態宣言」が解除されてから約一か月が経ちました。落ち着きを取り戻しつつある状況ですが、引き続き新型コロナウイルス(COVID-19)第2波の可能性を考え、感染防止策を継続されている企業様がほとんどかと思われます。そこで、「緊急事態宣言解除後の消費動向」として、緊急事態宣言が最後に解除された一都三県の小売業(スーパーマーケット・ドラッグストア・食物販)について、消費者モニターの来店調査を行いました。ここでは、その一部をご紹介させていただきます。

発行日:7月7日

文:木村直人


感染症防止対策のばらつき


下図は、感染防止策への評価(100点満点)を、業種別、企業別に表した結果です。


「スーパーマーケット業界」では評価が最も高かったA社が79.7、最も低かったE社が56.5と約23ポイントの差がありました。同様に「ドラッグストア業界」「食物販業界」においても企業ごとに評価点に大きなばらつきがみられる結果となりました。各社それぞれに感染防止策を行っているにも関わらず、消費者が感じる「安心感」には大きな差があるという結果になったのです。


各店舗の感染防止策により、安心・安全に利用できましたか?

下図は、実際に店舗を利用してもらった調査モニターに、「安心・安全に利用できると感じましたか?」という問いに答えてもらった結果です(回答は、①とても安心できる、②問題ない、③不安を感じたの三択)。

「とても安心できた」は全体の28%であり、「問題ない」が56%、「不安を感じた」と答えたのは15%という結果でした。「とても安心できた」と「問題ない」をあわせると約84%となり、多くの消費者が小売店舗の感染防止対策に不安を感じていないということがわかりました。

ところが、「とても安心できた」という回答と、「問題ない」という回答では、「再来店意向(またこの店舗を利用したいかの意向)」に大きな差を及ぼすことがわかりました。


緊急事態宣言解除後の消費者が利用店舗を選択する基準は?

下図は、感染防止策に、「とても安心できた」「問題ない」「不安を感じた」と回答した調査モニターに、「調査店舗をまた利用したいか」との質問した結果です。店舗を利用して「とても安心できた」と感じた調査モニターの82%が「絶対利用したい」と答えているのに対し、「問題ない」と答えた調査モニターでは14%という結果でした。

つまり、自社の感染防止策が「とても安心できた」と評価されるのと、「問題ない」と評価されるのでは、「再来店意向」に約68%も差がつくということです。緊急事態宣言解除後の現在においては、「感染防止策により、安心・安全をとても感じたかどうか」が、お客さまが利用店舗を決める際に優先順位の高い理由となっているといえます。加えて「不安を感じた」店舗では当然ながら「また利用したい」という調査モニターは0%でした。


店舗の感染防止策が「不安に感じる」理由とは?

次に、どんな時に消費者は、「この店舗は感染防止策がしっかりできていないから不安だ」と感じるのか、調査票にある「残念だったと感じた新型コロナウイルス対策・対応についてご記入ください」という設問欄に記載されたコメントを一部ですがご紹介いたします。

コメント設問の傾向をまとめると、以下7つの対策に不備があると消費者は感染防止策が不十分であり不安を感じるという気持ちになるようです。



「不安を感じる」から「不安はない」に高めるステップとは?


感染防止策において消費者の不安を取り除き、「とても安心できる」と感じてもらう最初のステップとして、「不安を感じる」という状態から「不安はない」と感じる段階に上るためには何が必要なのでしょうか。「不安を感じる」時と「不安はない」という時でどのような違いがあるのか調べてみました。そこからわかった不安撲滅の鍵は「レジ周りの感染防止策」にありました。



「問題ない」から「とても安心できた」に高めるステップとは?


次のステップとして「不安はない」から「とても安心できた」に上るためには何が必要なのか、同じようにどこに評価の差があるのか調べてみました。



このステップで最も評価の差が大きかったのは「消毒液の設置場所のわかりやすさ」でした。消毒液については店舗入口に設置する対策をとられている企業が多いと思います。しかし評価コメントを見ると「複数入口があるが、1か所にしか設置されていない」や「よく探さないとわからない場所にあった」などのコメントが見られました。消費者は自分が入店時に消毒できない、ということだけではなく、自分以外の客が「消毒せずに入店している」ことに対しても大きな不安を感じています。その観点からも店舗入り口の消毒液の設置には、「わかりやすさ」や、1つの入り口に左右2か所に設置し「並ばずスムーズに入店できる」などの工夫が効果的です。また、手をかざすと自動で消毒液を噴霧してくれるタイプや、足で踏むタイプのものが設置されていると評価が高かったです。「とても安心できる」評価のコメントを一部ご紹介いたします。

「不安はない」から「とても安心できた」に上るためのポイントを5つにまとめました。


同一ブランド内でも評価のばらつきがある

冒頭で、企業ごとに感染防止策についての評価に差があると申し上げましたが、差があるのは企業間だけでなく、同一ブランドの店舗間においても存在しています。調査コメントの一例をご紹介いたします。

                       

同じ企業が運営している同じブランドでも感染防止策の実施レベルにはばらつきがあります。緊急事態宣言が解除され時間がたてばたつほど対策実施レベルには差が出てくることも想像に難しくありません。感染拡大に収束が見られ、世の中の感染症に対する意識が低下してくる今だからこそ、全店で高いレベルでの感染防止の対策が維持できているか、確認と徹底の再通達が必要なタイミングであると言えます。


ウィズコロナの今、お客さまが小売業のサービスに求める優先順位は?

これまで見てきた通り、緊急事態宣言が解除されたとはいえ、まだまだ消費者の感染防止策に対する意識は非常に敏感であり、利用店舗を選ぶ基準においても優先順位の高い項目であると言えます。今後、新型コロナ感染拡大の第2波が起こらなければ時間経過とともにその意識は下がってくるかもしれません。しかし、企業においてこの「感染防止策」は緩めることなく継続することが現段階のおいては「お客さまの求めていること」であり、最優先事項と言えます。感染再拡大のリスク防止にもつながり、働くスタッフも安心して働くことのできる環境づくりも併せて取り組んで頂けたらと考えます。



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