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【緊急アンケート調査】コロナ禍のサービス業界への影響と今後

「緊急事態宣言」が解除されてから数週間が経ちました。少しずつ自粛ムードが弱まってきてはいますが、すでに新型コロナウイルス第2波についての情報も出てきており、依然として見通しが立たない状況です。そこで、消費動向に少しでも見通しを立て、冷静かつ迅速な戦略づくりに役立てて頂くべく、弊社では全国の登録モニター1109名に対し第二回目のアンケート調査を実施。各サービス業に対する利用意向調査を行いました。ここでは、その一部をご紹介させていただきます。


1.コロナに対する危機感の変化


下図は、コロナに対する危機感を回答いただき、第一回目の結果と比較したものです。

「10:とても感じている」と回答された方が、第一回目は全体の40%以上であったのに対し、第二回目は全体の30%未満と、とても危機感を感じている人は少なくなっていました。

一方、「10:とても感じている」~「6」の危機意識を感じている方(赤矢印)、「5:どちらともいえない」の方(緑線)、「4」~「1:全く感じていない」の危機意識を感じていない方(青矢印)と3つに区分した場合、危機意識を感じていない方の各割合は1%程の変化しかなく、どちらともいえない方(緑線)の割合も4%ほどの増加であったため、危機意識を感じている方の割合は第一回目と大きく変わっていないことが窺えます。


2.消費者の各サービス利用機会はどう変化した?

下表は、コロナ前(1月以前)と比較して、コロナ禍中(2~5月)に、各サービス業の利用機会が増えたと回答している人の割合(青色グラフ)、利用機会が減ったもしくは全くなくなった(以下「減った」と表記)と回答している人の割合(オレンジ色)を表しています。


ほとんどの業界で利用機会が大幅に減っていることがわかります。

また、コロナ前より利用機会が増えたと10%以上の方が回答された業界(ネットショッピング、中食、デリバリー等)を除いた業界のける、「利用機会が減った」の回答割合平均は79%でした。


3.コロナ後の消費者の各サービス業への利用意向


こちらは、コロナ禍中と比較した際に、コロナ収束後の各サービス業に対する利用意向(増えると思う、減ると思う)を表しています。左手オレンジのグラフが「減ると思う」と回答された方の割合、右手青色のグラフが「増えると思う」と回答された方の割合になります。

先ほどのグラフとは対照的に、現在の消費が減った業界を中心に利用意向が高い結果となりました。「中食」「デリバリー」は利用が「減ると思う」割合が「増えると思う」割合よりと同等もしくはそれ以上であるため現在の需要増はコロナ特需であることが推察されます。

下表のように、特に利用を増やしたいとの意向が高かったのは「外食(ディナー)」「外食(ランチ)」「エンターテインメント(遊園地、劇場、テーマパーク、映画館)」「商業施設/ショッピングセンター」のです。


4.コロナ禍での落ち込みとコロナ後の回復予想は?


下図は、横軸に「コロナ禍で利用頻度が減った割合」を、横軸に「コロナ後に利用頻度が増えると思う割合」を取り、4象限に分けて表したものです。

第一象限(黄色)にある業界はコロナ禍で利用機会が減ったの回答割合が半数ありますが、コロナ後の利用機会が増えると思うの回答割合も半数あり、利用機会が減った割合が大きいもののコロナ後の需要は高い業界になります。

一方、第四象限(赤色)にある業界では、コロナ禍で利用機会が減ったの回答割合が半数ありますが、コロナ後の利用機会が増えると思うの回答割合が半数より少なく、コロナ禍で利用機会が減った割合が大きく、加えてコロナ後の需要も低い業界となり、今後の戦略がとても重要になってくる業界です。

第三象限(青色)にある業界は、コロナ禍で利用機会が減ったの回答割合は半数より少なく、コロナ後の利用機会が増えると思うの回答割合も半数より少ないため、利用機会が減った割合が小さいものの、コロナ後の需要増加も低い業界となります。


また下表は、上記のグラフの縦軸の値から横軸の値を引いた割合で並べています。コロナ前より利用頻度が減った割合を、コロナ後利用頻度が増えると思う割合でどのくらい補えるのかを表しています。

「保険ショップ/保険営業面談」「カーディーラー(新車・中古車)」「アパレルショップ」「フィットネス」は、-45%以下であり、コロナ前から利用頻度が減った割合をコロナ後利用頻度が増えると思う割合でカバーしたとしても、コロナ前よりも利用頻度が減る割合が45%以上となり回復が難しい業界になります。


5.消費者の懐事情は?

下図は、コロナ前と比較してコロナ禍中の世帯収入がどのように変わったか回答いただいた結果です。今回のアンケート対象者の場合は42%の世帯で収入が減ったと回答があり、多くの世帯がコロナの影響を受け始めています。そのため、今後も消費が伸びづらいことが予想されます。


6.ターゲットになり得る層はどこか?

こちらは、コロナ後の各サービス業に対する利用意向が「増えると思う」と回答した割合の男女差を表しています。オレンジ色のグラフの値が女性、青色のグラフの値が男性です。

ほとんどの業界で女性の方がコロナ後の利用機会が「増えると思う」という割合が高く、特に、「商業施設/ショッピングセンター」「アパレルショップ」「美容室・理容室」で差が大きく表れました。

また、収入が「変わらない世帯」と「減った世帯」を比較したところ、すべての業界で「世帯収入が減った世帯」の方がコロナ後の利用意向において増えると思うと回答した割合高くなりました。

「収入が減った世帯」が利用が増えると思うと回答した割合が6%以上高かった業界は、「エステ・ネイルサロン」「ガソリンスタンド」「スクール」「ホテル」「アミューズメント」となり、生活を潤す付加価値型の業界が主に挙がっています。

※「増えた」と回答した割合は全体の2%であったため、「変わらない」「減った」の2択で比較しました。


7.「3密」や「コロナ安全性対策」への不安感は?

下図は、各サービス業に対して「3密」や「コロナ安全対策」へ不安感を感じるかどうかを回答いただいた結果です。

ほとんどの業界で「不安を感じる」という割合が高く、特に「アミューズメント(カラオケ、パチンコ、ゲームセンター)」「フィットネス」「エンターテインメント(遊園地、劇場、テーマパーク、映画館)」が70%以上の方から不安の声があがっています。

一方、「ネットショッピング」や「デリバリー(出前・UberEats等)」、「中食(持ち帰り型:弁当屋、デパ地下、総菜屋等)」は、25%以上の方に「安心」と回答いただいていますが、「不安を感じる」という回答も10%の方からいただいており、配達時の接点などに不安を感じられている方が一定数いることが表れています。

また、世帯収入別に「不安」と回答した割合を表したグラフがこちらです。

すべての業界で世帯収入が「減った」世帯の方が「変わらない」世帯よりも「不安」と回答する割合が高いことがわかります。特に「エステ・ネイルサロン」、「スーパーマーケット」、「ホームセンター」において10%近く、世帯収入が「減った」世帯の方が「不安」と回答した割合が高い結果となりました。


8.「利用機会が減る」と回答したのはコロナが原因なのか?


こちらは、コロナ後に利用機会が減ると思うと回答した人が、3密やコロナ安全対策に対して「不安感を感じる人(青色のグラフ)」、「どちらともいえないもしくは安心(オレンジ色のグラフ)」と回答した割合を表しています。

「不安を感じる」の回答割合が多い業界は、利用機会が減ると思う理由としてコロナが強く影響していることが考えられ、営業時は安心・安全対策が重要になってきます。一方、「どちらともいえないもしくは安心」の回答割合が多い業界は、コロナの感染リスクによる不安が利用機会の減少理由ではないものと考えられるため、コロナの対策以外にも対策を講じる必要があります。


9.参考

こちらは、コロナ前と比較してコロナ禍中の各サービス業の利用機会が増えたと回答している人の割合を子あり世帯、子なし世帯に分け、そのGAPが大きかった業界TOP3を表します。

コロナ禍で需要が高まっている、「デリバリー(出前・UberEats等)」、「中食(持ち帰り型:弁当屋、デパ地下、総菜屋等)」、「ネットショッピング」は、どの業界も子あり世帯の方が利用頻度が増えた割合が高く需要が高いことが分かります。デリバリー、テイクアウト、ネットショッピングの導入をしている、今後検討されている企業様は、子あり世帯への需要も取り込めると良いのかもしれません。

文:株式会社MS&Consulting 黒澤理沙